「室井二部作 観て良かった」室井慎次 生き続ける者 いくり丸さんの映画レビュー(感想・評価)
室井二部作 観て良かった
20数年前に踊る大捜査を観て興奮して熱狂していた自分が50代になって今回の室井慎次二部作を鑑賞出来て、大変満足している。
今回の作品は、登場人物の感情をゆっくりと丁寧に表現していた。
仕事を長く続けること、自分の思い通りにならないこと、今までやってきたことが本当に良かったのか疑問を持つこと、50代になってようやく理解出来た。
実生活では大きな事件は起こらない。日々の生活が淡々と過ぎて行く。朝起きて、ご飯を食べて、寝る。
踊る大捜査の登場人物が実際に年齢を重ねて歴史が顔に皺として刻まれている。フィクションなのにドキュメンタリーを観ているようでした。
家族でいられる時間は短い
本当にそのとおり。だから毎日の日常を大切に愛おしく感じられる。
犯罪被害者、加害者の家族の苦悩。子どもと大人がお互いを理解することの難しさ。社会の中ではお互いにけん制しながら生活する息苦しさ。
事件はきっかけに過ぎず、事件の後の人生が本当に困難であること。起こった事件は報道されるが、事件によって家族には大きな困難と向き合わなければならないという事実は報道されない。
この映画はバブル世代の中年が今だからこそ観るべきだ。お祭り騒ぎだった時代を体験した人たちに、今の時代をどのように生きて行くのか、ひとつの道しるべとなる。
自分が死んでからも生きて行く子どものことをどのようにすればよいのかを考えさせられる作品でした。
加藤浩次の最後の表情が印象的でした。
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