「シリーズファンに向けたファンサービスとしては合格」室井慎次 生き続ける者 タランティン・クエンティーノさんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズファンに向けたファンサービスとしては合格
「室井慎次はその後どうなったのかが知りたい」というファンの期待に対するファンサービスとしてのドラマとして観たら、十分合格だと思った。
前編がスローテンポな人間ドラマだったので、後編は事件の方にフォーカスを当てた刑事ドラマになるのかと思いきや、後編もスローテンポな人間ドラマだった。予想とは違っていたが、これはこれで良かった。
もちろん、ツッコミどころが無いわけではない。というか後編はかなり多い。
怒涛の改心パートも、登場人物たちに一体どういう心境の変化があってああなったのかはさっぱり分からない。が、スタッフが「室井さんに幸せになってほしい。そしてそのために室井さんと関わった周囲の人達にも幸せになってほしい」という思いだけで理屈抜きでそうしたのなら、僕は今作に関してはそれでいいんじゃないかと思う。
逆にこれは明確にマイナスだと思ったのは日向真奈美の役回りである。
これは今作に限らず、日向真奈美が出てきた作品全般に言えるのだが、はっきり言って日向真奈美というキャラクターは制作側が思っているほど魅力的なキャラクターではないので、なんで彼女に大量の信者がついて相手を自在に洗脳してコントロール出来るのかもよく分からないし、「相手を洗脳して意のままに操る」という能力が、犯人の動機や行動の理由を考えないための言い訳にしかなっていない。「日向真奈美がそうしろって命令したからそうしました」で片付けられても困る。
日向真奈美の娘が登場するのは本作のテーマにも沿っているのでそこに異論はないのだが、今回の殺人事件の犯人が日向真奈美の信者だったという設定は個人的にはいただけなかった。
ラスト、青島俊作がついに登場しましたけどすぐ戻っちゃいました。戻る大捜査線でした。