劇場公開日 2024年5月31日

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「い・いやぁ~! もうやめて!」FARANG ファラン ニコラスさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5い・いやぁ~! もうやめて!

2024年6月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

フランスで起こした事件が元でタイで隠遁生活を送る主人公、共に暮らす妻と娘(前夫の子)&お腹の中にいる子、タイで巻き込まれた新たな事件によってそれらを失い、そして主人公は……
開始から暫くはこのテンプレに収まったリベンジもの、例えるならジョン・ウィックのチャプター1・2的なのかな?そんな予想で観ていた。
上映時間が100分の本作で、タイに来て闇キックボクシングで梅である土地購入の資金稼ぎなどをするところまでの筋立てに相当の時間を食ってしまうので、そこから先の展開が急展開になってしまい、中抜け過ぎの感じもあるけれど、本作の見どころはラストへ向けての突き抜けたグロ、目をそむけたくなるようなアクションにおける殺戮シーンだった。
主人公は結構やられていたはずなのに、どんどんタフに、そして強靭になっていく。
今まで観た作品だって(ジョン・ウィックもミスターノーバディも)やられる痛みは伴っていて、観ているこちらもその痛さを想像して顔をゆがめるのだけれど、本作はそんなもんじゃなかった!
だってね、太腿裏から刺された剣が、そのまま表側まで突き抜けちゃって、主人公は痛みに悲鳴を上げながらも、その突き出た剣で相手を刺しちゃうんだよ!
それだけじゃなく、これまた腕を刺されちゃって、折れた骨がそのまま出て来ちゃってるよ(泣)
いやいや、流石に生きてられないよ、とあきれながらも辿り着いたラスボスのところ、だけどもうフラフラ、絶体絶命!その時に、なんと!その手があったか!でした。

もうね、終わった時には全身硬直して身体バキバキ言ってました。
それでも最後まで席を立たずにいられたのは、主人公の、悪いことなど思想に見えない繊細で気弱な表情と、そこから殺陣に向かうときにガラリと切り替わってアサシンの表情になるギャップが素敵だったからでした。

なんかすごかった。

ニコラス