「決死の覚悟で作られた映画」聖なるイチジクの種 アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
決死の覚悟で作られた映画
アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされ、日本でも先週から公開され(上映館がかなり少ないが)ジワジワと評判高まってるようなので鑑賞。かなりの長編でしたが前半はイランのちょっと豊かな家庭の情景とスマホ画面で差し込まれる実際のデモや暴動のシーンに引き込まれ、後半は拳銃紛失後の捻れた家族の関係が崩壊に向かうサスペンスに打ちのめされ、衝撃のラストで息が止まってしまいました。
夫のイマンは20年真面目に仕事し判事手前の調査官になり家族にも広い官舎に住まわせる事が出来たが、機械的に死刑を宣告するような仕事に神経をすり減らしてしまい、拳銃がなくなってからは家族の信頼を裏切る行為(友人に尋問させる等)がエスカレートする。妻のナジメは夫の体を心配し立場も尊重し娘たちに厳しくあたるが同時に母として彼女たちを守らなければいけないので葛藤に揺れる。長女レズワンは今起きていることに対し正しい意見が言える新しい考えの女性だ。次女のサナは子供だと思っていたが実は冷静に社会と両親を見ていた。彼女が拳銃を隠した理由は不明だがイマンが家族を疑い卑劣な行為を繰り返す中で自分自身の正義が芽生えてきたのだろう。結果、どうしようもない悲劇となるが、モハマド・ラスロフ監督が伝えたいイランの今の真実なのだと思う。
監督は国家安全保障関連の罪で実刑判決となるも命がけでイランを脱出し遠隔で映画を完成させたとのこと。又室内以外の街や車の中での撮影はロケなど組めないので全て盗み撮りとのこと。映画のスタッフや俳優も撮影終了後は逮捕リスクがあるのでイランから出たがナジメ役の女優は捕まってしまったらしいです(町山智浩氏のコラムより)。
決死の覚悟で作られた映画です。アカデミー賞獲って欲しいです。
正山小種さん、素晴らしい情報ありがとうございます😊とても良かったですね。
talismanさん、ありがとうございます。皆さん、決死の覚悟で映画に取り組んだ事が報われました、。
アベちゃんさんのレビューにとても共感しました。ナジメ役の方はリベラルに活動している方なので目をつけられていたのでしょうか。そんな状況でこの映画に出演すると決めた俳優、働くと決めたスタッフ全員にありがとうと尊敬の念を抱きます
メッセージ失礼します。
町山智浩氏のコラムで指摘されていたナジュメ役のソヘイラー・ゴレスターニーさんですが、本日2月19日のイラン学生ニュース・エージェンシーの記事によると、保証金ないし土地建物等の保証を提供することで、無事に釈放されたそうです。現地時間午後3時11分のニュースで数時間前と言っているので、日本時間だと今日の午後から夕方頃にかけての釈放ではないでしょうか。
釈放されて良かったと思います。