「聖戦」聖なるイチジクの種 uzさんの映画レビュー(感想・評価)
聖戦
期待していた作品だが、ちょっと散らかった印象。
冒頭、ナジメに銃を見せるイマンの指が引鉄にかかっているのが凄く嫌…
序盤は主人公家族に加え、過熱する抗議運動とそれに対する弾圧の様子が、実際の映像を交えて描かれる。
しかしこれが、あくまで背景にしかなっていない。
家族の誰かが関わることもないし、サダフの件も途中から忘れられるのに、力を入れ過ぎでは。
職務に対するイマンの葛藤もあまり伝わってこない。
中盤を過ぎてようやく銃の紛失が起こる。
家族のために出世や保身を望んでいたかに思えたイマンの、ナジメ曰く“本性”がここから顕在化していく。
その目的は銃からウソへ、そして罪へと移り変わり、行動はエスカレート。
家族へのそれもだが、故郷への道程で出くわす夫婦に対する蛮行はイカレてます。
最も印象的だったのは、ナジメの母性。
家族第一主義でありつつサダフを冷酷に扱いきれないのは、“娘の友達”だからではなく“誰かの娘”だからだろう。
夫への「服従と信仰」を捨て、最後まで“母”であった彼女が主人公では。
銃を盗んだ動機はぼんやり想像できなくもないが、いつ存在を知って、どう盗んだかは不明。
(主題でないのは分かるが…)
最後の鬼ごっこや落下はコメディに見えてしまった。
あそこで終わりというのも半端だし、ここまで長尺にする必要があったかも疑問です。
とはいえ動きのない話で緊張感を途切れさせない演出や演技は見事。
もう少し重心を明確に短く纏まってれば秀作だった。
共感&コメントありがとうございます。
仰る通り。
この作品で一番衝撃的だったのはどう観てもスマホ映像でしょう。監督渾身の演出の数々も・・うまく行かないもんですね。