「アンチ・ロマンの極北」雨の中の慾情 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
アンチ・ロマンの極北
プロローグからして猿の交尾のシーンが挿入されていたのをはじめ、序盤から観客を幻惑させる物語でした。物語がスタートして最初のシーンも、主人公・義男(成田凌)がバス停らしき場所で女と出会い、雷雨の中で徐々に服を脱いでいき、やがて2人が田んぼの真ん中でセックスを初めるんだから、訳が分かりません。
そんな謎めいた雰囲気で始まった本作、初めは昭和中盤頃の日本の何処かのお話かと思って観ていたものの、一部の登場人物の言葉遣いが日本語のネイティブスピーカーのそれではないらしいことが分かり、また場所についても、”北町”とか”南町”という話は出て来るけれども、具体的な所在も不明なまま。そのため、度々セックスシーンが出て来るものの、その不安定なシチュエーションのせいであまり”慾情”を掻き立てられることはないままに物語は進んで行きました。
そしてそんな不安定な状況は、この物語の大半が、主人公・義男(成田凌)の夢だったことが分かり、ようやく氷解するに至りました。結果夢オチだったんだなと了解し、間もなくエンディングかなと思っていたところ、実際はその後も夢と現実を行き来するシーンが延々と続くことに。夢オチで終わるならまあ何となく許容出来たのですが、さらにしばらく物語が続いたせいで、正直飽きてしまいました。
無理矢理まとめればアンチ・ロマンの極北にある作品ということになり、理解する努力は不要なのかも知れませんが、最後まで”?マーク”が頭の中に浮かんだ作品でした。
そんな訳で、本作の評価は★3.0とします。
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