お母さんが一緒のレビュー・感想・評価
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罵り合いの先にあるのは?
3姉妹の壮絶な罵り合いがひたすら続き、最後にようやくお互いが素直になり分かり合えてHappy End。
とにかくずっとがなり合い&罵り合いなので、鑑賞しながら猛烈に疲れてしまいました。
映画とはいえ、やはりネガティブワードのオンパレード&がなる・・・というのは、精神的なマイナスダメージが強いです。
予告で「笑えそうなコミカルな作品に違いない」的な印象を持ったものですから、それが鑑賞きっかけとなったのですが
私はしんどかったです。
一方、主役3姉妹を演じている江口のりこ・内田慈・古川琴音の演技はすごく面白いんですよ。
特に江口のりこがめちゃめちゃ面白い。
ひとり芝居か!?というシーンが複数あるのですが、役者の演技だけ観ていたら猛烈に面白いんです。
そこが楽しめたポイントではありました。
ラストの数分は心が和みつつ終わっていくので、その終わり方は好きですが
やはりそこに至るまでの時間は辛かったですね。
※大きな地震後で私も精神的に疲れているためか、上記のような印象をもってしまったのかもしれません。
もっと元気なときに観ていたら違う感想になっていたかもです。
三女の魚が
3人寄ればかしましい。
母親の誕生祝いに企画した温泉旅行で宿泊から翌朝までの短い時間の三姉妹の話。
長女、次女、三女の姉妹間の今までの鬱憤や妬み、お互いへの不満、母親への不満で何度も言い合いに。
それでも血の繋がった家族、姉妹、当然ながら罵り合っても情はある。あるからこそ我慢して腹にしまっておいてあることも。
リミッターが外れてその不満を吐き出してしまい喧嘩になる。
いろんな些細なきっかけから喧嘩が何度も繰り返されるのだが、3人の演技も相まって面白く、時に目頭が熱くもなる。
自分が子供の頃の母親の歳になった時に、当時の母親は幸せだったのだろうか、苦労ばかりではなかったのではないだろうかと、ふと思うと優しい気持ちになれるんだよね。
自分自身も年老いた母や父を見るに連れ、口うるさく言われた親が鬱陶しくて口応えもすることもあった、今この歳になって思えば悪いことしたと反省するが、こればっかりは親子関係の永遠のテーマなんだろう。
一言、感謝の気持ちを口にするだけで丸く収まるものをその一言が言えずに関係がギスギスするって親子、兄弟、友人、職場の同僚と関係が薄くなるほど容易く言葉に出来るのに深いほど言えないって言うおかしな話だよな。
そんな誰にでもある日常の親子、兄弟の間の軋轢が面白く表現されていて面白かった。
キャストが最高の「やっぱり猫が好き」
星はいつも三つです。
江口のりこ、内田慈、古川琴音の三姉妹が母親を温泉旅行に連れていく。母親は最後まで姿をあらわさないが、けっこうな毒親キャラらしい。
三姉妹の力関係や敵味方があっという間に入れ替わる集合離散の力学を自在に描いたペヤンヌマキの脚本を前にして、どん
なふうにカットを割るか、どういう空気を作り出そうか、橋口監督はさぞかし力が入っただろう。
面白くならなかったら監督のせいとしかいいようのない脚本と文句なしの三女優を得て、緻密でダイナミックな演出。
温泉宿の一室で、三女優とも多くのシーンで浴衣を着てのやりとりが続く。ところどころで姉妹同士の小突きあいや取っ組み合いが行われ、頭からガラス障子に突っこみそうだったり障子を蹴破りそうだったりするが決して画は乱れない。
女優もスタッフも、「さすが」としか言いようがない。
主要キャストのなかでただひとりの男優の青山フォール勝ちも、とてもいい奴。
最初から最後まで笑い通しで、しかも泣かされました。
待っていた、橋口亮輔監督作品
9年ぶりですか、撮りたいと言えば撮れるであろう大物でここまで寡作な監督は珍しいと思います。今回、挑みたいテーマだったのでしょうか。
思えば、同性愛から始まって、友情、夫婦、不器用な普通の人達、過去作はどれも異なるテーマだったと思います。そこに時代背景を入れて、直近2作は結構重くできていたように感じました。
今回は家族です。でも家族の形は実に様々なので、家族とはみたいに余り重く考えないで、楽しいホームコメディと解釈すればいいのかと思いました。とっても楽しみました。やっぱり演出力と言えばいいのでしょうか、力量が凄い監督なんだと思います。
内田さんも江口さんも、思い出せば過去作にも出てましたね。今回は内田慈さんが今更ながら新鮮でした。古川琴音さんも負けてないと言うか、一歩引いてそうでしっかり目立ってましたね。
監督は同性愛をカミングアウトしてますから書いていいと思いますが、青山さんみたいな体の男優さんよく使いますよね、ラストの風呂とかサービスショットだと思いました。
いやー、タカヒロは本当にいい奴だ!
わたしは、親を主体とした家族には本当に感謝しかしていないから、感情的には三姉妹と一緒にはなれませんでした。ですので、身を持って理解してしまった、夫婦を描いた「ぐるりのこと。(面倒くさいけど、いとおしい いろいろあるけど、一緒にいたい)」の感動には少し及ばなかったかなが結論です。
橋口監督にはもっと撮って欲しいですね。
スーパー・エキセントリック・シスター(ズ)
古川琴音を初めて知ったのは「どうする家康」の千代役からだったが、その後「ねこのめ美じゅつかん」の“画家のうた”コーナーですっかりはまってしまった(かわいい)。この映画でもクセの強い姉二人の間で、くるくる変わる表情が見飽きない。
江口のりこは、やはり江口のりこ。
青山フォール勝ちというキャスティングには意表を突かれたが、オファーを受けた役をそつなくこなしている。
タイトルはEテレの子ども番組のパスティーシュなんだろう。実際の映画では「お母さんが不在」だけど。よく笑わせてもらったが、悪口雑言バトルの乱れ打ちには、ちょっといたたまれない感も。監督は男性だが、元の舞台の脚本は女性と知ってさもありなん、まず女性にしか書けないシチュエーションだろうと思った。
舞台となった温泉旅館は実在するのかな。映画の中でえらい言われようだったので、風評が心配になった。
あるあるだけに、辛辣
ちょっとつらかった。
リアルだと、自分の価値観で他人を勝手にジャッジして相手を傷つけ、偉そうに上から目線でマウントを取ってくるくせに、自分にはない他人(姉妹)の特徴を羨んで嫉妬し、コンプレックスをこじらせる。
「家族だからゆえの甘えで、素直になれず、歪んだ愛情で『貴方のために』と口にするが、実は『自分は間違ってない』を肯定してもらうため、自分の失敗を家族のせいにする。挙句は情に訴えかけるダメ人間ぶり」という、「あるある」だけど、典型例家族が崩れるパターンを強調していて。
作中、「本当は仲いいの」的なまとめをしていたけど。
私にとっては絶対に近づきたくない唾棄すべきクズな人間たちなので、困ったなぁ、と。
合わせ鏡のように、自分の内面の嫌な部分に気付かされたりはしたのですが。
そんな、よくできた作品。
「ネルソンズ」の青山フォール勝ちが、すごくいい味を出していた。
彼が本作最大の見どころかも。
いいストーリー、演劇っぽい
三姉妹
普遍的な家族の話
橋口亮輔監督の作品は劇場デビュー作の「二十歳の微熱」に衝撃を受けて以来、劇場で見ています。
今回の作品が今までとずいぶん違うのは、人の原作のせいもあるだろうけど、やっぱり監督自身が変化しているのかもしれない。
客層が今までの橋口作品にはないくらい高齢者が多くて、かつ今までで一番笑いのある作品でした。
うちは三姉妹ではなく姉弟、この3人の「お母さん」のように40過ぎの娘に誰でもいいから結婚して孫の顔を見せろなんてことは言わなかった(ちなみにそんな親は今でもいくらでもいると思う)。
けれど、そんな細部はどうでもよくて、これは大人ばかりになった家族の普遍的な物語だと思いました。
橋口監督がそんな話を撮るのがちょっと意外で、ちょっとうれしい。
家族ってなんというか袋小路だ。
でもそれだけじゃ終わらないのが、とてもめんどくさい。そしてそれは悪いことばかりでもない。だからますますめんどくさい。
そこの描き方が監督らしく容赦ない。
そんな物語でありました。
理屈っぽくなく、文句なく楽しめるコメディ
元々は舞台作品(2015年の舞台の写真をみるとタカヒロのいでたちが赤いクルーネックセーターとジーンズで映画と全く同じなのは笑った)。
登場人物は四人だけ、お母さんはほぼ姿を現さない、でもお母さんの影響力は終始、示されているという仕組みが極めて演劇的(ゴドー待ちのような)なのだが、長女・江口のりこと次女・内田慈の怪演で、理屈を吹き飛ばすコメディプログラムとして立派に成立している。
三女は、長女、次女の抗争に巻き込まれる被害者であったり、冷静な傍観者であったり、ちゃっかり漁夫の利を得る末っ子であったり、都度、立場が変わる難しい役まわりだとは思うのだが、古川琴音はマイペースで演じており、掴みどころがないところがむしろいい感じである。
三姉妹、全く顔が似ていない。性格はもちろん、行動特性にも似通ったところはない。まあ年齢がある程度経った女きょうだいなんてそんなものかもしれないけどね。
なお、古川琴音さんについては、違う映画だけど、「言えない秘密」のレビューに「古臭い顔」という悪口があった。それはちょっと気の毒で、そういうときは「古風な顔立ち」っていうんです。英語で言えば「archaic」(アルカイック)。
仏像によくあるアルカイックスマイルっていうやつです。そういえば江口さんも仏像みたいな顔立ちですね。内田さんは違うかもしれないけど。
タイトルなし
実はジェンダー的には古い。結婚できないとか子どもを作るとかの呪縛はなくなってきているのて、距離感がなく、脚本の古さを感じざるを得ない。とはいえ、永遠の家族のテーマというか、あまりにもあるある感があり、ここまで罵り合っても優しさが残ってたり、次の日は笑い合えるストーリーは素晴らしい。江口の体当たりというより、化け物的演技力、しかもコミカルであり、琴音ちゃんも一見、優しい末娘のキレたときの底力の表現もすごい。お母さんを一度も出さないままがすごい。温泉も家族旅行の定番ゆえ、浴衣など小道具の使い方も上手い。江口が末の妹を取り込もうとし、自分が被害者側に回るなど、脚本の設定も演技も上手い。眼鏡の伏線は呆れるほどコミカル。酒屋の長男はいい人なのはわかるけど、折り鶴を踏み潰す無神経さと凡人。とはいえ、琴音ちゃんを受け止める包容力とあえていえば鈍感力。それも上手く演じていた。3人というきょうだいが二人ずつになるときの関係も上手い。家族とは不思議なものだと思う。
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