劇場公開日 2024年7月12日

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「母を不在に全く感じさせない三者三様血縁会話劇」お母さんが一緒 サスペンス西島さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0母を不在に全く感じさせない三者三様血縁会話劇

2024年11月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

2024年劇場鑑賞58本目 優秀作 74点

小道具が効いたり、感情のジェットコースターといい、上質な会話劇にやられましたね〜〜

キサラギやゆりに首ったけ同様、不在の中心を不在に感じさせないのがこの手の会話劇が上質になるかを握っていると思っていて

それは、不在を中心に添えた登場人物達が単に不在の人物像をを説明するような語り口だと、面白みにかける

これは一人が見ている不在の中心の僅かな一面に過ぎないということと、直接的でなく間接的に複数人が多方面で、語るのではなくぼやく程度だからこそ、その存在を知らない観客が第三者として不在の人物像を構築していき、その上での登場人物のドラマが展開されていき、また途中でその不在が絡んでくるというのが、こちらが最も楽しめるこの手の作品の構築の正解である

そんなストーリー展開と登場の仕方だからこそ、不在を不在に感じさせないのだと思う

上記2作品やスオミはその対象と恋愛関係や下心がある対象として描いていたのに対して、今作は血縁関係ということで、タイトルのお母さんが一緒というのは実に見事で、それも女同士だからこそ結婚だとかコンプレックスだの、女の幸せと僻みと歯向かう強さや品なのか弱さなのか定かでない逃げの弱さなど、分かり合えないけど、わかりあってしまう三者の"この際だから"に便乗に便乗を重ねたあの空間はカオスそのものだった

江口のりこの目にコンプレックスをもっていて、少しでも大きく見せようとするあのマツエクが、40歳という設定もあって、若い頃にあーゆーメイク流行ったよなぁ、それから取り残されたんだなぁとかも感じるし、それはメイクの流行りもそうだけど、女として所謂わかりやすい幸せである結婚の婚期としてもだし、引け目に対して向き合い前向きになるという自分に対しても足踏みしてるのがわかるが、この温泉旅行を通して一皮剥けたのは言うまでもない

2024年は今作、お母さんが一緒やあまろっく、愛に乱暴とどれも江口のりこのイメージっぽい、しゃんとした女性がどこか承認欲求や卑下してる女性を演じ切った1年だったが、どれも入賞しなかった日本アカデミー賞は本当に名ばかりで、くだらない圧力や格好ばっかりで、本当の名優の活躍を知らずに情報を搾取する多くの映画を見ない日本国民に多くの偏った認知を広げてしまうのが些か不愉快だ

3年前も優秀主演女優賞5名に茜色に焼かれるの尾野真千子と由宇子の天秤の瀧内公美がノミネートされなかった時も酷かったなぁ

作品自体は現代日本のニーズに合っていると思いますよ、それが映画ファンにとって相応しかったり正しいかはいったん置いといて

是非

サスペンス西島