「1作目のスピンオフは薄味のホラーだった」エイリアン ロムルス コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)
1作目のスピンオフは薄味のホラーだった
1 エイリアンシリーズ7作目にして1作目公開から45周年の記念的作品。
2 シリーズは最初の3作品しか見ていないが、1作目と2作目が傑作だった。1作目の緊張感と恐怖の醸成、クリーチャーのまがまがしいフォルムそして最後のカタルシス。2作目はその鋳型に加えアクションの全面展開そして女王とヒロインの魂の闘いがあった。3作目は初作の道具立てを生かした焼き直しにしか思えず以降興味を失った。その上で、本作は監督の作風の違いを楽しむためのリメークとして捉えた。
3 粗筋は次のようなもの。1作目で宇宙に放出されたエイリアンの成体を企業が活用しようとして探索。確保して宇宙船に取り込みしばらく経過した頃の出来事。地球外の星で鉱山掘りなどをしていた若者たちが、近くの小惑星の周回軌道に放置された宇宙船を見つけた。新たな生活を夢見た彼らは他の星に移動しようとこの宇宙船に侵入した。そして・・・。
4 若者達が忍び込んだ宇宙船は邪悪なモノが潜んでいる構造物であり、そこでの惨劇と脱出行は、典型的なホラー作品になる資格を得た。良かった点は、本作は時系列的にリプリーが1作目において脱出後のロングスリープ中の出来事でもあり、新たなヒロインが登場したこと。線が細そうだが機転が利き、何度も危機を乗り越えた。気になったのは、ホラーを構成する恐怖感が薄かった。エイリアンに関する情報はすでに持ち合わせていたので、恐怖を加味する新たな要素が必要だったが不十分であった。ラストのクリーチャーは出方は不気味であったがその見た目は”なんじゃこりゃ”だった。船内進行中のサスペンスはまずまずだったが、最後のタイムリミットの効果は薄く、緊張と緩和をもたらすカタルシスがないまま終わってしまった。