「静と動、陰と陽」エイリアン ロムルス サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
静と動、陰と陽
本当はvsシリーズを除く全6作品を鑑賞してから挑みたかったんだけど、1と2の間の作品っていうのを聞いてちょっとサボってしまいました。一先ず、IMAXで見れないとなると超後悔しちゃうから、1だけ予習して劇場へ。
ファンからの評判が高く、ポスターも予告も何から何までクオリティが高かったから結構期待していたけど、、、これは面白いっっっ!!!全作見ている訳じゃないからマニアックな話は出来ないけど、1はこれ本当に70年代の映画?と感じさせる近未来っぷりなのに、本作は本当に新作?と感じさせるノスタルジーっぷりで、原点である1に対してのリスペクトがとにかく凄まじい作品だった。続編という名のリブート。古いのに新しい『1』と、新しいのに懐かしい『ロムルス』。愛とセンスが尋常じゃないって!(嬉)
聞いた話にはなるけど、ジェームズ・キャメロンがメガホンを取った『2』はアクション映画に一新されているらしく、再度リドリー・スコットが撮った前日譚においても原点である『1』とはかなりテイストの違う作品のよう。往年のエイリアンファンでもやはり、『1』を愛する人が多く、次いで『2』が好まれているみたい。恐らく、今回監督を務めたフェデ・アルバレスもそうなのだろう。
そうして作られた最新作である本作は、最も愛されれる『1』と『2』の間に起こった話。映像と技術は進化したものの、舞台や設定を変えることはなく、展開や演出に至ってもスコット愛がドバドバと溢れている。直前に見てもこんなに興奮したんだから、こんなのファン歓喜間違いなしでしょ。何十年も年月が経っているのに、違和感なく続編だと認識できる。70年代、80年代の名作の続編を作るのが流行っている昨今、ここまでの作品を当時とは別の監督が撮れるなんて、本っ当にすごいことだと思う。相当な熱量と愛がないとなし得ない偉業。あっぱれ👏
エイリアンの造形だとかホラー映画としての品質だとか、褒め讃えたい箇所は沢山あるんだけど、40年以上続けてきた映画シリーズ、ここにきてメインであるエイリアンではなく、人間側で面白さを出してきたことが本作で最も感心した部分。アンディというキャラの深さ。魅力的すぎる。これはぜひ劇場で感じて欲しいんだけど、このキャラとその設定こそが、アルバレスなりの『1』へのラブレターだったんだと思った。そう。『1』が好きな理由は、実はそこも大きかった。彼らの苦しみもしっかり描かれていて刺さる。今を生きる人々が抱える、未来への恐怖。そして、未来を生きる映画の登場人物たちが抱く、今を生きる不安。まさに絶望。SFとしてもあまりによく出来ていた。
本当に怖かった。そして最高に気持ち悪かった。静と動、陰と陽。IMAXで体感するエイリアンは想像以上に常軌を逸していた。そして思う。この空間にいる人たち、みんなエイリアンのこと大好きなんだろうなって。始まると、物音一切立てない。みんなスクリーンに釘付けになって夢中で見ているのが、劇場の温度感・空気感から伝わってくる。これは今からでも本気で全作品見て、もう一度挑まなければ。あの空間にもう一度包まれたい。いやぁ、怖いのに幸せな時間だったな...。劇場すらも無重力空間だったよ。。。