アンジェントルメンのレビュー・感想・評価
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マッチョ揃いのハイテンション・スパイアクション
『オペレーション・ミンスミート』と同じく、イギリスでは今なお、長らく機密扱いだったファイルの封印が唐突に解かれることがある。本作はそれに基づいて書かれた2014年の書籍を映画化したもの。つまり史実のリアルなスパイ作戦に基づくわけだが、我らがガイ・リッチー兄貴はこれにボリューミーな味付けを施しハイテンション・アクションに仕立てた。それも一眼で「カタギではない」と見破られそうな凄腕マッチョたちを一気に投入して。いつもは二転三転するプロット、誰が勝ち逃げるかわからないバトルロワイヤルを得意とする監督が、本作ではあまり小手先で話を転がさず、ただただ豪快に走りきる。リッチー作としては『UNCLE』のラインに近いだろうが、しかし実質は『エクスペンダブルズ』と『イングロリス・バスターズ』を足して二で割ったものに近いかも。やや大味過ぎる気もするものの、日頃ため込んだストレスを一気に解消させたい人には最適。
憎き敵兵を殺しまくる痛快戦争活劇……が実話ベースだと単純には楽しめない2020年代の現実
ガイ・リッチー監督作には大好きな映画がたくさんある。ルールに縛られないワルたちの活躍、スタイリッシュな演出とテンポのいい編集、皮肉の効いたユーモア、絶妙なサウンドトラックのセンスといった長所が、この「アンジェントルメン」でも健在だ。本作ではそれぞれが優れた能力を持つ面々(殺し屋、弓矢とナイフに長けた怪力男、計画の達人、熟練の船乗り、泳ぎの得意な爆破の専門家、秘密通信のプロ、女優兼歌手で射撃の名手など)が、第2次大戦下の英国首脳部が秘密裏に計画した作戦のために集められ、ナチスドイツ軍のUボート(潜水艦)を無効化する目的で補給船を爆破すべく、少数精鋭で大勢の敵兵に立ち向かう――という胸アツな展開が繰り広げられる。
正義の主人公側チームが決死のミッションを遂行し、憎き敵兵たちをばったばったとぶち殺していくカタルシス全開シーンの連続に快哉を叫ぶ……フィクションなら気兼ねなくそうするのもいい。だが、このストーリーが実話ベースであることが、喉に刺さった小骨のように引っかかり続ける。
戦争とは国と国との利害の衝突や主義・思想・宗教の違いから争いが始まり、どちらも自国が正義、敵国が悪とみなして武力を行使するもの。狂った独裁者に従う敵兵たちも悪者だから皆殺しにして何が悪い、というのは戦勝国の理屈として合っていても、敗戦国側の心情として、兵士全員が絶対悪、単純な憎まれ役として描かれるのは理不尽な気がする。ドイツの軍人も一様な悪ではなかったはず。もちろんヒトラーに心酔して暴虐の限りを尽くした者も大勢いただろうが、厳しい組織の中で上の命令に仕方なく従い、愛する家族のもとに早く帰りたいと願いながら戦った兵も少なからずいただろう。
ましてやこの2020年代には、ロシア・ウクライナ戦争とイスラエル・パレスチナ戦争が継続中で、戦災地の悲惨な状況が日々ニュースやSNSを通じて目に入ってくる。それを見て、どちらか一方が絶対的に悪いのだから、悪い連中は殺されて当然、などと思う人はまずいないだろう。「アンジェントルメン」で描かれる英国側の特殊部隊とナチス兵らの戦いも、半世紀以上昔とはいえ、現在と地続きの、実在した人々が関わり、命を落としていった出来事だととらえるなら、敵兵の殺戮をまるでシューティングゲームの場面のようなエンタメとして描くことも、観る側がエンタメとして消費することも、どちらも不適切で不謹慎なのではないか。
そんなのは考えすぎだとか、もっと気軽に楽しめばいい、といった反対意見もあるだろう。価値観や倫理観は時代や国・地域によって異なるものだし、個人差ももちろんある。希望的観測ではあるが、実際に起きた戦争や戦闘を題材にする劇映画は、将来的にヒューマンドラマやサスペンスアクションのジャンルでは作られ続けるとしても、敵の殺傷をエンタメタッチで描く娯楽活劇として作られることは減っていくのだろうと、本作を観て感じた。
実録版ミッション・インポッシブル
誰もが知るところ
第二次世界大戦中、ドイツのUボートの脅威から北大西洋を解放すべく非公式の極秘任務を与えられたイカれたメンバー達の物語。
予告やポスタービジュアルから、ただ滅茶苦茶にドンパチやりまくるだけのシンプル作品かと思いきや、実話をベースにした思いの外ドラマパートにも時間を割かれている作品。
とは言え特に小難しい話は無く、コミカルさと激しいアクションを頭空っぽにして楽しめる作品に仕上がっていますね。
それでいて極秘任務は矢張り手に汗握りますね。
Uボートは勿論、味方の英海軍にも見つかってはいけない。そんな中漁夫の利じゃないがタイミングよく脅威が…このあたりの流れはグッドですね。
クライマックスはちょっと暗くて観づらい感が無いこともなかったが、期待通りのドンパチでアツくなったし、終わり方もワタクシ好みでナイスガイの揃った分かり易い作品で面白かった。
…ただ、マージョリーの射撃の腕前のクダリって必要だったかしら??
ガイ・リッチー節が光るオシャレアクション
スクワッドの面白さ満開
ガイ・リッチーの最高傑作となったハチャメチャ痛快戦闘スパイアクションである。挨拶代わりのオープニングバトルから5週巻き戻しての時系列や司令塔のアップルを救出する島への上陸作戦を(きっちり撮影はしているのだろうが)テンポよく贅沢に端折ってつないだ編集などクライマックスに向って流れるように見せる構成も見事できっちり120分におさめて見せた。何といっても007のモデルになった実話、第2次大戦下チャーチル首相直属の特殊部隊が訳あり連中のアンジェントルスクワッドで、Mやイアン・フレミングも登場するし、戦局転換のターニングポイントとなったUボート無力化作戦を描いているのもポイントが高い。何といっても極悪非道のレッテルが貼られたナチス相手なので無制限殺し放題のやりたい放題。いいかげんドイツ兵達が可哀そうで同情したくもなってくるほど痛快に殺りまくるのだ。おきまりのガーターベルトからピストルを取ってぶっ放すシーンがたまらん紅一点のマージョリー・スチュワートも実在の人物だというのだから驚きなのだが酒宴で歌ってユダヤ系だとバレるシーンがちょっと理解できず残念。血で汚れた手を洗い流すシーンが最近流行りなのだろうか?
どうした、スーパーマン⁉
久々の第二次大戦秘話は非紳士的戦争省
往年の戦争アクション『ナバロンの要塞』や『荒鷲の要塞』みたいな、久々の第二次大戦中の特攻部隊もので思わず嬉しくなりました。旗色の悪いイギリスが大西洋を制圧するナチのUボートを無力化するため、ならず者部隊を使って補給船を爆破する実話ベースのお話しです。ならず者部隊の漁船がナチの駆逐艦を爆沈させるオープニングからして快調で、お約束の一癖も二癖もあるメンバーもなかなか愉快です。一応史実に則っているので、ミッションはUボートの補給船爆破と地味な感じだけど、途中での仲間の救出ミッションでのド派手なドンパチや列車内でのナチの秘密文書を奪って元に戻すサスペンスなど、あの手この手で楽しめます。補給港までの日数制限があまり意味ないことや、メンバーの特技を発揮するシーンがあまりないのがちょっと惜しいけど、頭を空にして観られる戦争ものは今時珍しいです。できればシリーズ化してほしいです。役者では、ヘンリー・カヴィルが髭面と軽めの演技でスーパーマンのイメージを払拭。女スパイのエイダ・ゴンザレス、怪力無双のアラン・リッチソンも、インパクトがありました。
ひとりだけシス(フィンランドのヤツ)がいます
戦争時代の映画なのにオシャン!
ガイリッチー作品の中で一番「小振り」
やはりダンディでスタイリッシュで面白かった
ガイ・リッチーの撮る映画って映画紳士っぽいダンディさとスタイリッシュさが漂う。現代の話だった「ジェントルメン」は当然だけど、第二次世界大戦を舞台にした本作もやはりそうだった。他人が着ているコートを欲しくなってしまうガスのキャラがその象徴。ガイ・リッチーのブレない姿勢が見えてくる。
本作の主人公たちは非公式な部隊で、さらに英国軍に捕まっても投獄されるくらいの隠密作戦。もちろんナチス軍に捕まったら拷問されて殺害される。だから派手なドンパチは控えめで、ひっそりと相手を殺していくシーンが多い。アクションは全体的に地味な印象だ。でも、それでも作戦の困難さが前提にあるし、作戦遂行上の突発的なトラブルもちゃんと用意されている。スパイものとして面白いのだから文句は言えない。
ドイツのUボートを無効化することがアメリカの参戦を可能にするという作戦の意図はなるほどと納得できるものだ。実際にあった非公式の部隊がモデルというのもなかなかの驚きだ。ナチスとの戦争で必ず勝たなければならないというチャーチルの置かれた立場も考えるとこんな無茶な部隊による無茶な作戦も理解できる。そんな政治的な側面も興味深かった。
それにしてもヘンリー・カヴィルは、「コードネームU.N.C.L.E.」、「アーガイル」に続いてのスパイ役。すっかりスパイ俳優としての立ち位置を確立して、スーパーマン俳優から完全に脱却したと言える。これからも彼のスパイ役を楽しみたい。
モリコーネではない・・・
曲調がああで字幕のフォントがあれだからすっかりあの人の作曲なのかなと思ったり・・・ウエスタン的なものが何でもかんでもあの人だと思うなよ!悲哀な響きは皆無だったし─
テンポよくがんがん進むし、無法な感じなれどしっかり大義名分もある(けどいいか悪いかそれをあんまり感じない)歴史的物語なんでしょうけど、諜報的であり明るみにされていない部分を描いているため相当リアリティに欠ける・・・でも、それだからこそのエンタメ的な描かれ方だと思ったし、めっちゃ楽しませようという意志は伝わってきます。なので爽快感は相当なものはありますが、個人的に、自分はこの監督の作品との相性があまり良くないみたいです。エピローグ、へー!、そうー!、と最も気持ちが高ぶったわけで、故に作品そのものを楽しめた感じは希薄かなと・・・
実話ベースだけど、ほぼフィクション
そうだねナチスに人権なんてないもんね
2025年劇場鑑賞116本目。
エンドロール後映像無し。
内容あんまり知らずに観たのですが、実話ということで、ナチス絡みの実話映画は失敗パターンもあるので油断できません。日曜にゲッペルスの映画を観たのでナチスへの嫌悪感5割増です。映画で人が死ぬにしても、上からの命令で動いている兵士や、CIA、警備員や警察官が死ぬのにすごく胸が痛むのですが、ナチスとイスラム国関連は全く胸が痛まないので安心です。だってあいつら分かっててやってんだもん。
ガイ・リッチーも同じ考えなのか、まぁとにかくナチスが訓練用の人形かってくらい簡単にやられていくので、ハラハラも何もないのですがスカッとはします。ちょっとダレますけどね。これ軍人が卑怯な手を使って作戦を成功させるという見方をしていたのですが、007の作者のイアン・フレミングが出てきた時点でリアルスパイものだと思って観たらもっと楽しめたかもしれません。それでもメガネマッチョが血まみれで斧を笑顔でかわいく振るあのシーンだけで一見の価値ありかと。その分主人公の印象全然ないけど!
最後エンドロール前に流れる、実際の人物の豆エピソードで1人笑っちゃったのと、えっ、そんな事になる伏線あったっけ?と思いました。
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