「アンジェントルメン作戦」アンジェントルメン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
アンジェントルメン作戦
第2次大戦下、ナチスドイツの侵攻で苦境に晒されていたイギリス。
時の首相ウィンストン・チャーチルが密命を下す。ナチスドイツの脅威であるUボートを無力化せよ。
手段は一切問わない。尚、何が起きても関与しない。
そんな“ミッション:インポッシブル”を託されたのは、スーパーマン!…じゃなくて、
“SOE”=特殊作戦執行部。
指揮を執るイギリス陸軍准将。通称“M”。
その部下にイアン・フレミング。同姓同名じゃなく、そう、アノ人。
結成されたチームリーダーは、007=ジェームズ・ボンドのモデル。
こ、これは…! 007好きには堪らない…!
にしても、これが実話ベースだとは…!
部隊も作戦も。登場人物たちも。
後に小説家になったイアン・フレミングはこれを基に『007』の世界観とジェームズ・ボンドのキャラを創ったそうな。
それらも驚きだが、作戦…と言うより、やり方もぶっ飛び!
チャーチル勅命ながらも、非公式。
ハチャメチャ、無謀、大胆不敵。
リーダーのガスは命令無視の問題児。
集められた仲間も、怪力担当、頭脳担当、航海士、爆発のスペシャリスト。
いずれもキャラが立ち、何よりナチスを憎んでいる。
ナチスをぶっ潰せ!
“非紳士(アンジェントルメン)”な奴らたち!
実質任務遂行の彼らと並行して、ビジネスマンとしてナチス将校に接近して情報収集する諜報員。マージョリーとRH。
マージョリーはユダヤ人。バレたらヤバい…!
勿論バレなければ話は盛り上がらない。接触していたナチス将校が気付き…。
ガスたちにも問題発生。
命令無視や無鉄砲さが祟って軍上層部から睨まれる。作戦中止の圧力…。
さらに、そもそもUボートを無力化…つまり、小部隊で破壊するなど到底無理。まあ端から分かれば確かにそうなんだけど、任務遂行は不可…?
ならば、作戦変更。Uボート自体にアタックするのではなく、Uボートへ重油や武器や乗組員たちの物資を供給する路を絶つ。
一見地味な作戦に見えて、補給路を絶つは戦略的。
ただハチャメチャなだけじゃなく、頭もキレる。
根城の港も厳戒態勢。ナチス将校が目を光らせ、果たして打破出来るのか…?
戦争やナチス題材ながら、小刻みなテンポにユーモアのガイ・リッチー印。
クライマックスはド派手なアクションと大爆発。プロデューサーのジェリー・ブラッカイマー印。
この2人の初コラボもワクワク!
マカロニ・ウエスタン風音楽もユニーク。
超人から名スパイのモデルになったヘンリー・カヴィル。ダニエル・クレイグと6代目ボンドを競った事があり、漢気やカッコ良さはもし抜擢されてたら充分だったかも。
仲間では怪力担当のアラン・リッチソンの丸太のような腕と分厚い胸板に驚き。
ティル・シュワイガーも憎々しさ。
キャストで魅せるは、エイザ・ゴンザレス。
度胸や話術に長ける上、美貌も。タイトなドレス姿やセクシーなダンスや美声も披露。コスプレも。これぞリアル峰不二子ですよ。
実話ベースながらかなり脚色はあるだろうし、ご都合主義な部分も。ナチスがちと間抜けに見える。それはそれでいいんだけど。
マージョリーはどうやってあの窮地を脱した…?
腑に落ちない点もあるが、『007』×『イングロリアス・バスターズ』なガイ・リッチー印の戦争×スパイアクション上々エンタメ!
ミッション・コンプリート!
が、命令無視や無鉄砲作戦で軍法会議に掛けられ、皆軍刑務所へ。
そこへ現れたのは…! 労いの豪華食事と粋な計らい。
今後は正式に…? それともやっぱり非公式…?
その後も多くのミッションに。それらも是非見たいが、あまりヒットはしなかったようなので無いかな…?
もし機会あれば、次回作でまたお会いしましょう。
アンジェントルメンな奴ら!
EDで実際の彼らを紹介。
ここでびっくりもう一つ。
後にガスとマージョリーは結婚。
本当に事実は小説より奇なり。