「良かったのですが」夏目アラタの結婚 オチアイさんの映画レビュー(感想・評価)
良かったのですが
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終始惹きつけられるし、いい作品だと思いますが、構成について少し。
たとえ可哀想な目で見られたとしても、真珠はハンカチの記憶を幼少期から大事にしてたわけだから、その人に出会えた以上は、こんな難解な謎解きをアラタに経由させる必要が有ったのでしょうか。真珠に駆け引きする気が無いなら、はじめから素直に告白する方が自然です。見下されたくないなら、見下されても仕方ない程の狂気の振る舞いを敢えてしたのは何故でしょう。もしわざとそう振舞って、「無意識に真珠を見下していること」をアラタに気付かせようとしたなら、まさに映画の為の設定という印象が残ります。アラタをスーパーマンにしなければ解けない謎だからです。法定の最後の場面になってから真珠に露骨に告白させ、ようやくアラタの理解に繋がります。観客に感情移入させるには、リアリズムを感じさせることが必要ですが、それよりも猟奇性の表現で引き込むことを優先したのでしょうか。また、いくら刑務所で時間あっても、この生い立ちで刑法の本独学で理解するのは大変だし、更に規定のスキマを見つけるなんて無理です。観てる間は感動出来ていいのですが、人物設定の仕方によっては、鑑賞後に疑問点を浮かばせることになります。
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