「涙で滲んだ届出の文字に彼女の本心を読み解く!コレは罠か?それとも愛か。」夏目アラタの結婚 The silk skyさんの映画レビュー(感想・評価)
涙で滲んだ届出の文字に彼女の本心を読み解く!コレは罠か?それとも愛か。
今日は、ちょいと噂の「夏目アラタの結婚」を観に行きました。
もうね、事前に思ってた内容と違い、想定以上にコレは良かったですね。
久しぶりの堤監督節でしたが、最後の最後まで十分に楽しめる作品を味わう事が出来ました。これは感謝の言葉ですね。有り難うございました。
この作品の展開流れは、適当なサイコパス的猟奇殺人犯の話では決して無く、
緻密でかつ念入りに仕組まれた思惑と罠、彼女自身の壮絶な過去、そしてアラタがなぜ結婚に至ったのか。
それは偶然だったのか、必然だったのか。
本編終盤まで見えてこない 本心。彼女と彼の運命的愛とは何か。そこが最大の魅せ場になってますね。
”結婚” それは最初は何かを引き出す為の罠だった。彼女も何かをさせる為の罠でもあった。でも やがてお互いがお互いを知る。
面会室のガラス越しの 息もつかせぬ心理戦が観ている側の緊張感を最大限まで上げさせて来ます。
ラストに二人が見上げる青空の下、その想いがお互いの本心が繋がる場面に
静かなる安堵と これから向かえる希望とを 感じる事が出来るでしょう。
オリヴィア・ロドリゴの主題歌:「ヴァンパイア」が
彼等の未来を歌っています。
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原作:乃木坂太郎氏
監督:堤幸彦氏
脚本:徳永友一氏
上映時間:120分
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夏目アラタ(児童相談所職員):柳楽優弥さん
品川真珠(3人殺害遺棄犯 容疑者):黒島結菜さん
宮前光一(真珠の弁護士):中川大志さん
まず、流石の柳楽さん主役ぶりでしょうか。
心理戦の顔の表情と心の読み。今までに全く無い役作りで挑んでいるのが分かります。
そして同時に黒島さんの品川ピエロですね。
二人とも面会室のガラス越しの顔の表情が とっても凄い。
時には宇宙人顔、時にはサイコキラ-顔、そして地獄の使者的な目をした顔。
貞子も真っ青な呪われた悪霊そのものにも感じたり。
この辺り さすが堤監督ですね。そのパワ-を感じます。
”三度目の殺人”や”死刑にいたる病”等でも 面会室際の攻防戦が繰り広げられましたが それをも凌ぐ名場面の数々だったと思います。
---------展開流れ
とあるアパ-トの一室で、3人を惨殺し遺棄した品川ピエロこと 品川真珠。
彼女は太った醜い犯人と思われていたが、3人の被害者の内の息子 山下卓斗の 見つかってない父の首を見つける依頼で犯人品川と面会する羽目になったアラタ。
その姿が予想外に美人であった事に驚く。彼女は本当に、本当に殺人犯なのかと。
彼女の見事なまでの心理戦にハマる弁護士宮前とアラタの 真珠の狙いと本心を引出し何とか山下の首の在りかを訊きだしていく~展開流れ。
やがて 少しずつ見えてくる彼女の本心と狙いが・・・・
最後に 結婚・・・その意味をお互いに知る事になって行く~。
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(疑問に思う事)
・アラタが森で真珠の母(環)が埋めたトラベルケ-スを探し出すのだが
あれは多分不可能と思う。普通は数人がかりでも何日もかかるだろう。
また ケ-スが完全な形で見つかるのは極希と感じる。
・”市子”みたいな話だが、姉の2歳下の生まれ変わりで学校に行くが成長不良でそんなに虐められるのか。特殊学級扱いもあるだろうし。先生も放置だったのか。学校側の記録等は調査しないのかな。
歯医者に連れて行かなかった母の狙いも分からないでも無いが、それだけが生き代わりの条件では無い様に思う。
・20歳超えたら死刑、18歳以下セ-フって。確か18歳以下でも死刑に成る事はあったはず。そんなに17歳と言う的に焦点を当てなくてもと思う。
・殆ど小学校、中学校に行けてなかったと思ったが 介護の仕事などへは就けるんだね。母が亡くなった後の身元保証人とかは どうしていたのだろうか。
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最後に思うことは、この世の中で彼女の様に
親達から虐げられて、そして已むなく 若くして犯罪者になってしまって。
ムショを出て人生やり直し~そんな彼や彼女らは幸せになる権利は無いのかな?
素直にそれを感じた作品だった。
彼女真珠に対して 彼アラタは必然の出会いで在った事が
何より二人の運命的だったと思う。
二人共 前を向いて歩んで、そして顔を上に向けている
そんな二人へ心からエールを贈りたいな。
ちょっと怖いイメ-ジ作品かもですが
是非劇場でご覧下さい!!