劇場公開日 2024年9月6日

「キャストで乗り切った。2時間にまとめるのはやっぱり難しい。」夏目アラタの結婚 れいさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0キャストで乗り切った。2時間にまとめるのはやっぱり難しい。

2024年9月6日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

難しい

柳楽優弥さんが好きで、試写会にて鑑賞。

マンガ原作は結末まで大まかに読んでいて、冒頭30分程は原作に忠実で言う事は無し。ただ最初の裁判シーンの控訴審の場面から原作とは異なり(映画なので仕方ないですが)飛んでいく展開。

結論、このマンガ原作を2時間の映画に完璧に落とし込むのは、やはり無理。ただキャスト陣は合っていたし、演技もよかった。

夏目アラタのイメージと柳楽優弥さんは違っていたけれど、違和感なく見れた。ただ、原作の荒っぽさは抑えめな印象。物足りなさは少し感じた。

品川真珠の黒島結菜さんは、歯並びスタイルなんかも寄せてて再現度高く驚き。そして終始演技に惹き込まれる。情緒のコントロールがすごい。

宮前光一の中川大志さんは、演技がどうこうじゃなく、そもそも若過ぎ。配役ミスでは。弁護士で真珠の幼少期を知っている設定なのに、この若さ。年齢設定が合わない。違和感。

桃ちゃんの丸山レイさんは、思いの外、桃ちゃんでハマってた。演技が自然で驚き。番組のダンス企画を観ていたので納得。バラエティだけじゃなく演技も出来るなんて、これからも色んな作品に出て欲しい。独身OLの役でドラマにも出て欲しい。

藤田の友情出演の佐藤二郎は結構抑えてたけど、やっぱり佐藤二郎だった。あの演技が苦手な人はイラっとくるやつ。ただ、死刑囚マニアの役だから、そこまで鼻には付かず。

所長の立川志らくさんは、原作とは合わないかな。

市村正親さんと藤間爽子さんと平岡祐太さんの演技、もうちょいみたかった。

歯並び、歯の汚さ、ピエロ、バラバラ遺体、血、血飛沫、このどれか一つでも無理とか拒否反応がある人は観る事は無理と思う。グロい描写が少しでもダメな人(グロは全体の体感3割)は、誘われても観る事をオススメしない。

歯並び、汚さはリアル。5カ月かけてマウスピースで作り上げられたとか。予告が生理的に無理な人もこの映画絶対見れない。歯(口元)のアップが多すぎ。観てても結構キツかった。

血、血飛沫、バラバラ遺体。切断されたバラバラ遺体は何度か映る。ただフェイクって分かる作りの感じだからリアルさは感じない。血飛沫もあり。ただ、子供の白骨化の遺体は見た事ないが、なんかリアル。

道化恐怖症でピエロが無理な人も無理かも。そこまでガチピエロではないけど、ピエロはピエロ。

やっぱり抜けて欲しくない、原作マンガの心情の機微や繊細でリアル、汚いところとか、映画では後半崩れてた。

結局、被害者3人を殺した明確な理由(母親と同じく楽にしてあげたい)って解釈でいいのか。同意殺人だとしても、死体損壊までしてるのは、正気の沙汰じゃないから、真珠が異常と言う事には変わりないと感じた。普通の人間は、殺しも死体損壊も、とてもじゃないけど出来ない。犯行当時が未成年だからとの事だけど、殺人を犯し、死体をバラバラに損壊までしてるのはどう考えても正気の沙汰じゃない。

あと三島を殺した理由が付き纏いと金のせびりとしていたが、それで殺したのも、、なんか。鑑識弱過ぎないか。

真珠の幼少期の過去もちょっと薄い。
人格形成に影響があった故、殺人を犯したんだろうなっては分かるけども、、って感じ。

弁護士の宮前は、真珠を無罪に導く為の思いや行動がざっくりしていて、何故そこまで躍起になって動くのか、原作より大分端折られてる印象。映画は真珠の為に動くただただいい人、弁護士だった。

あと、周防英介(被害者)の妹の沙菜との描写は全カット。3人の被害者と真珠の繋がりもサラッと。

マンガ原作を知らなくても映画の理解は出来るが、、。映画では、アラタが真珠(結果、殺人犯)に肩入れする理由が伝わってこない、分からない。共感出来る部分がない。真珠のどこに惹かれて、嘘の結婚から本気になったのか。被害者の息子に頼まれた事から面会に通ってるうちにマジになって、ただただ殺人犯と結婚したヤベェ奴、夏目アラタってだけ。バイクで迎えに行くとことか。

マンガ原作はもちろんそこらへんがしっかり描かれているから、マンガを読んでから、この映画観た方がいいって強く思う。
映画の最後も少しマンガ原作とは違ってて、マンガの方がスッキリする終わり方。

夏目アラタが品川ピエロこと元死刑囚(結果殺人)の品川真珠に惹かれたと解釈していたが、(原作を全巻読み込んでいないので、解釈違いなら申し訳ありませんが)この映画からは、「惹かれる」ではなく「執着」している、と言った表現がピンとくる感じ。

死刑囚マニアや、傍聴マニアが傍聴券を求め抽選に並んだり、興味本位からくる何とも言えない不気味さとか怖さは感じられた。自分も凶悪事件と呼ばれるものを(興味本位で)傍聴してみたい、と一瞬でも頭をよぎったので、自分もそっち側の人間の素質があるのかもしれないと、怖くなった。

原作マンガの冒頭で、この話の元々の始まり、依頼主の被害者の息子が、死刑囚との文通のやり取りを面白がり始めてました。って夏目アラタが言うセリフには衝撃を受けた。そんな視点があるんだと。

キャストのファン、原作のファン、映画館の大画面で観たい、勢以外はネトフリ、アマプラとかの配信待ちで観るのでも充分かなと感じた映画。

終始、柳楽優弥さんの溢れる色気がなんか物凄くて、キスシーンとホテルシーン(何も起きない)あたり、ファンはグロくても観れるなら観た方がいいかも。

必ず最後のエンドロールの和訳まで目で追って欲しい。

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れい