「新しい3DCGの体験として面白い作品で、初代を知っていると泣けてくるかも」トランスフォーマー ONE Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
新しい3DCGの体験として面白い作品で、初代を知っていると泣けてくるかも
2024.9.24 3D字幕 MOVIX京都 ドルビーシネマ
2024年のアメリカの3DCG映画(104分、G)
実写版『トランスフォーマー』シリーズの前日譚として、オプティマス・プライムとメガトロンの誕生を描いたSFアクション映画
監督はジョシュ・クーリー
脚本はエリック・ピアソン&アンドリュー・バラー&ガブリエル・フェラーリ
原題は『Transformer ONE』
物語の舞台は、サイバトロン星のアイアコン・シティ
そこでは、枯渇したエネルギーを見つけるためにロボット鉱夫たちが日夜労働に励んでいた
かつてサイバトロン星は栄えていた星だったが、侵略者との戦争の末に戦士たちは犠牲になり、それによってエネルギーの源であるマトリクスは失われてしまった
鉱夫の一人、オライオン・パックス(クリム・ヘムズワース/中村悠一)は、その行方を探すために古い記録を盗み見るために資料室に侵入していたが、監視人ダークウイング(アイザック・C・シングルトン・Jr/稲田徹)に見つかってしまった
友人のディー(ブライアン・タイラー・ヘンリー/木村昴)の助けを借りて逃げ切ったものの、それ以降二人はダークウイングに目をつけられてしまう
彼らは鉱夫長エリータ(スカーレット・ヨハンソン/吉岡里帆)のグループで働いていたが、ある日の坑道崩落によって、エリータは降格させられてしまった
そんな折、宿敵クインテッサと戦っていた英雄センチネル・プライム(ジョン・ハム/諏訪部順一)が戻ってきて、いまだに「マトリクス」は見つかっていないと告げた
落胆する住民たちだったが、センチネルは「アイアコン5000」というレースを開催することを宣言する
それはプライムたちをはじめとする「トランスフォームできるエリート」たちのレースだったが、そこにオライオンは参加しようと目論み、ディーを巻き込んでしまうのである
映画は、のちにオートボット(自立したロボット)のリーダーであるオプティマス・プライムになるオライオンと、メガトロンとしてディセプコンを立ち上げるディーの友情とその崩壊を描いている
冒頭にて、オプティマスの回想として「今の敵はかつての友だった」という感じで回想する流れになっていて、堅い絆で結ばれた二人がどうしてこうなったのか、を描いていく
ディーはセンチネルに憧れを抱いていたが、それ以上にメガトロナスを敬愛していた
そんな彼がセンチネルの裏切りによって殺されたことを知り、彼の激情は友情では支えきれないほどの業火へと変貌してしまうのである
個人的には、ディーを応援する感じになっていて、綺麗事で止めようとするオライオンがうざったく思ってしまった
それぐらいディーの悲しみが伝わる内容だったが、オライオンをコアに投げ捨ててでも復讐を果たすというところに一線を超えたなあという感じで、距離感ができてしまったように思う
この一連の流れがとても印象的で、大義のために死にかけているオライオンをゼータ・プライムたちが助けるという流れは感動的だった
オライオンはオプティマス・プライムに変わっても綺麗事をいうタイプなのだが、最後の決めポーズで講釈を垂れるというのは、中の人(コブ)の影響なのかな、と感じた
映画は、前日譚としてはきちんと過去作に繋がる内容になっていて、単体作品としての完成度も高い
これまでのCGに慣れていた人が今回の絵的な部分をどう評価するかはわからないが、ポスタービジュアルで感じた違和感を映画中はほとんど感じなかった
ドルビーよりもIMAX、強いて言えば4DX向けの作品だと思われるので、鉄が衝突する音を堪能したい人のみドルビーで良いのではないだろうか
いずれにせよ、人間が出ていないためにフルCGになっていて、いわゆる実写というよりはアニメに近い印象があった
これまでは人物、背景などでかろうじて実写化感が残っていたものの、今回は全てCGで作られているので、このあたりをどう捉えるかだろうか
地球に来るまでは人類は登場しないので、今後の続編に関しても、当分はこの路線になるのだろう
どのような形で過去作に繋げるのかはわからないが、おそらくは地球に到達するまでに数作品以上はかかると思うので、徐々に過去作のビジュアルに似てくるんじゃないかな、と感じた
また、今回をZEROにしていないので、今後ZEROとしての作品も生まれると思う
それは今回の少し前というよりは、サイバトロン星が生命を持つことになった起源に迫るものだと思うので、ぜひ映画化してほしいと感じた