「ブリキマン、かかし、ライオン?」ツイスターズ 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
ブリキマン、かかし、ライオン?
【第一の関心事】
前作はペプシの空き缶のドロシー4号まで。
今作はドロシー5号以降の進化だ。
ドロシー6号試作機?から、
なんとブリキマン、かかし、まで含めたユニットへと進化をしていた。
「オズの魔法使い」キャラが、
竜巻追跡の世界にそのまま飛び込んできたような、
なんとも奇妙な組み合わせだ。
そしてセリフにもあるライオンは?
後半へのキーになる。
ちなみに「オズの魔法使い」でライオンが求めていたのは勇気、
ブリキマンは頭脳、かかしは心。
これらは、
古代ギリシャの演説論で語られるパトス、ロゴス、エトスが源流とも言われている。
パトスは感情を揺さぶり、ロゴスは論理で説得し、
エトスは話者の品格、倫理、勇気を示す。(様々な引用、悪用あり)
シナリオや演技の技術論にも頻繁に使用されている。
【第二の関心事】
「シャイニング」ジャック・ニコルソンがトルネードされたシーンだが、
本作はフランケンシュタインだった。
科学の力によって、異なるものが組み合わさる、
この不気味さと同時に、心、命、科学を意識させるためか・・・
【第三の関心事】
前作のようなハリウッド映画の王道は通用するか、
という点については、本作は一つの答えを示してくれた。
アホなことをハイパフォーマンスで、
観客を大量動員することが通用していた。
しかし、
本作では主人公の葛藤をメインプロットに組み込むことで、
より深みのある物語が展開されていた。
前作では、
主人公の葛藤はサブプロットで小さく扱われていた。
本作では、
主人公は竜巻追跡を辞するという大きな決断でストーリーは始まる。
その原因も、
前作と同じように橋の下での出来事から始まるという、
ある種のオマージュを感じさせる。
このように、本作は王道のシンプルなハリウッド映画の要素を残しつつ、
より複雑な(前作比)ストーリーテリングで観客を魅了している。
【蛇足】
タイラーのセリフ。
「竜巻はスピードや気圧で表現するのではなく、
去った後に破壊したもの、奪われたもので、
大きさを表現しないといけない」
目鱗だった。
【蛇足の蛇足】
現場で雷のライティングをする時は、
特殊な専用照明機材と、
一瞬の稲光の電力使用量が激しいので、専用に電源車が必要になり、
予算がツイスターになる。