「 ハリウッドお得意のディザスターを見世物にする娯楽大作。驚異の災害...」ツイスターズ クニオさんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッドお得意のディザスターを見世物にする娯楽大作。驚異の災害...
ハリウッドお得意のディザスターを見世物にする娯楽大作。驚異の災害の恐ろしさを冷房の効いた椅子に腰かけて楽しむわけで、いったいに本作の中だけで幾人の犠牲者が生じたのか。なんてそんな罪悪感を感じさせたら商売になりません。ド迫力を大画面で味わって頂ければ、それはそれで自然の脅威を感じ取って十分でしょ。オクラホマが舞台で実際に竜巻が頻発するエリアで、しかも本映画を優先的に現地公開したら、超人気殺到だそうで、割り切って楽しめられればよろしいかと。
その意味で自伝的映画「ミナリ」の韓国系監督リー・アイザック・チョンがよもやの本作を監督ってほうに興味がわく。ほとんどプライベートなデリケートを描き評価され、オファーされたのがハリウッド大作。依頼する方も相当な度胸でしょうが、監督としての勢いをスタジオは優先するのですね。「ノマドランド」の中国系米国人クロエ・ジャオ監督も同様ですよね、いきなりマーベルの超大作「エターナルズ」を任せられてしまった。残念ながらこれは興行的に失敗に終ったようですが、この「ツイスターズ」は大ヒットを得られたようで。
その理由はまさに単純明快で、シンプルな構成に、互いに反りの合わない男と女を絡め、必然のごとくラストにはラブラブに至らせる。その過程でド迫力映像で飽きさせない。まさにこの映画の鉄則を照れもなく実践した賜物でしょう。だから驚くほどに何にも残らない、心にしまいたくなる要素は皆無。だから駄作ではなく、だから良作なのです。ヘレン・ハントとビル・パクストン主演の「ツイスター」1996年 も旬なスターを配し、スティーヴン・スピルバーグのブランドで売れば間違いなく大ヒット。完全にそれの焼き直しであって続編なんて意識はゼロ。
「ザリガニの鳴くところ」で勢いに乗ったデイジー・エドガー=ジョーンズが、暗い感じから一挙に美人度を上げて登場。巻頭しばらく現れず、焦らされてやっと登場のグレン・パウエルの禍々しい色男フェロモン充満ぶりに、乗りに乗ってる旬のスターぶりを見せつけられる。「トップガン マーヴェリック」で誰?このイケメンは? と思う間もなく「ディヴォーション: マイ・ベスト・ウィングマン」で魅惑のパイロットで主演、そして「恋するプリテンダー」でイケメンスター確立のラブコメを成功させて今がある。で、白人2人では配慮不足は当然で、プエルトリコ系の大人気役者アンソニー・ラモスが良い味で本作を締める。そのジャビのサポート役に色白の若きメガネのイケメンが登場しますが、彼こそが次のスーパーマンに大抜擢されたデビッド・コレンスウェットで、これからイケメン・スター街道まっしぐらなのは間違いないでしょ。
製作費約230音円!は、破壊され尽くしたオープンセットの巨大さに、どこまでCGなのかVFXなのかまるで見分けがつきませんが、十分に理解出来ます。もう一つ、竜巻と言えば「オズの魔法使い」1939年であり、ドロシーを筆頭に、案山子、ブリキ男、ライオンをたっぷりオマージュを捧げる辺りも好ましい。自然災害は避けようがなく対処も無力なのが現実で、一瞬で人体を持ち上げられたら、高度数百メートルからあとは落され地面に叩き付けられるのみ。舞台をトランプ支持者ばかりのエリアで、カントリーがしっくりとハマる。