「まさかの反骨エンタメに変貌」ジガルタンダ・ダブルX 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
まさかの反骨エンタメに変貌
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前作の『ジガルタンダ』を未見のまま鑑賞。あらすじを読むだけだとちょっと前作がどんなテイストだったのか想像できないのだが、単体の作品として楽しませてもらった。
インド映画はいくつものジャンルが絡み合い、ストーリーも二転三転していくことが多く、これも例に漏れず、後半になってまったく違う映画であるかのごとき変身っぷりを見せる。だったら前半の悪党っぷりと整合性取れるのかとか、あの8ミリカメラで音とかどうやって録ってんの?とか、まあ細かいことはいろいろあるけれど、怒涛のエモーションとメッセージで持っていかれて感動すらしてしまう力技は、隙はあってもいい映画の証拠だなと思うと同時に、このアプローチを流用すればプロパガンダ的に感情の操作もできてしまいそうな怖さもある。まあ、映画とは本来怖いものだと折に触れて思い出させてくれることはありがたいが。
とはいえ『シビル・ウォー アメリカ最後の日』ともスピリット的なものが共通していて、ルックは古いが、今日にも通じるメッセージが胸に刺さる。娯楽の根幹に反骨であることに好感を持たずにはいられない。「純度の低い正論は響きません」というセリフが朝ドラ「虎に翼」に出てきたけれど、(多少雑でも)純度の高い正論をぶつけてくる映画だと思う。
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