「人が映画に選ばれるとき ヤーヤーヤーと音がする」ジガルタンダ・ダブルX A・ガワゴラークさんの映画レビュー(感想・評価)
人が映画に選ばれるとき ヤーヤーヤーと音がする
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映画作りをテーマにした映画として傑出した作りである。
イーストウッド専用劇場を作ってしまうほど映画好きのマフィア、シーザーのもとに新人警察官キルバイが映画監督の「レイ先生」を名乗って潜り込み、シーザーの暗殺を狙う。
シーザー達「ジガルタンダ極悪連合」陣営は、州首相選挙をめぐって悪徳警察署長の陣営と対立しており、キルバイは冤罪からの釈放を条件にこの暗殺を請け負うのである。
しかしシーザーは強い。マンモス強い。また裏切りものに容赦しない。前半はシーザーに正体がバレるかバレないか、逃げれば獄中に逆戻りのサスペンスとなっている。
そこで、キルバイ(レイ先生)は勝負に出て、お前もゴッドファーザーのように弱者を助けなければならないと、ならずものがはびこる故郷の森に誘い出すのだ。
そこで象の密猟を行う、怪物的ヒールと西部劇ルックのシーザーが戦い、それをキルバイが撮るというフィルムの戦いが描かれる。
これがクライマックスのように思われるが、物語は初期に提示された政治/選挙の腐敗によって、別の方向に導かれてゆく。これまで撮ってきたフィルムが意味を与えられ「映画」の役割が浮上する。
これは映画を撮るという行為によって小心なキルバイが自らの視点を社会に問う映画監督に変身する話である。
ちなみに、キルバイが持つ(映画業界の友人から借りる)カメラはCanonの「Auto Zoom 518 Super 8」。音声同録はなく、1ロールに録画できるのは3分ほどだが、フィクションなので気にしてはいけない。
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