「听不懂」ナミビアの砂漠 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
听不懂
河合優実さんファンとして新作は観に行かねばと思いつつ人が少なくなったタイミングを見計らっての鑑賞。
ポスターや予告の感じからあまり得意なタイプの映画ではないんだろうなと思いつつも、若手監督がどんなものを作り上げているのかの興味もあって期待半分不安半分で観に行きましたがガッツリ不安の方が的中しました。
初っ端から友達の話は真面目に聞かない、酒に酔っての暴言、タクシーからの嘔吐、2人の男をたぶらかしていたりと人間性にかなり難ありな人だなとは思いつつも人間の正直な部分を集結させた様な人だなと思ったら案外飲み込めました。
ハヤシとは浮気をしていて、後々彼氏になってという結滞な流れからのダラダラとした関係性、対面座位で一緒にトイレをするところとか日常生活を過ごしていてこんなシーン思う事今まで一回も無かったなと新体験でした。
ホンダは彼氏だけど優しさが先行しすぎて人間味が無く、それにカナもどこか飽きてるのかな、依存させたいのかななんて思うくらいのっぺりとした人でした。
優しいだけじゃダメっていう意見が飛び交うんですが、それってあまりにも求めすぎでは?とバラエティなんかを見て思っていたんですが、ホンダはそれを体現した様な存在だったのでこの描写だけは良かったと思います。
導入自体はまだ良かったんですが物語に起伏もなく淡々と進んでいくもんですからダラダラしていますし、喜怒哀楽の怒の部分ばかり描かれるもんですから観ていて気持ちのいいものではないですし、それによって考えさせられる事も見応えがある部分もとても少なく辛いところが多かったです。
中盤から後半にかけてはもうハチャメチャ滅茶苦茶で、ただただカナとハヤシが取っ組み合う様子を見せられてもうほとほと呆れながら観ていました。
なんで2人は同じ空間に住んでいるんだろう、なんで離れないんだろう、取っ組み合ったあとなんで普通に会話できるんだろうと未経験なものが目の前で繰り広げられているのを加味してもこの2人の心情が全く読めず気持ちが悪かったです。
ハヤシの仕事を物を投げて邪魔したり、中絶した人の事について無関係のカナが攻めたり、衝動的になってすっ転んで怪我したりと、ハヤシにも問題があるにしろ、当事者ではないカナがなんでそんなに頭突っ込んでいくのかがさっぱり分からず、それが後々精神的な病気だと分かってもやはり理解するには遠く及ばずでした。
ホンダも情緒不安定になって怒鳴ったり、ストーカー紛いの事をしたりするので、優しい人の面の皮を被っていただけというのが分かってからのホンダがもうグチャグチャに倒れ込んだりするのを笑って見てるカナの底意地の悪さよ…と引きながら観ていました。
2人が取っ組み合ってるシーンをランニングマシンで走っている脳内のカナが映されるシーンもこれまた唐突で、脳内で淡々としたテンポで自分を見つめているという比喩表現なのは分かるんですが、それをわざわざ物語を中断してまで挟み込む必要性があるのか?とそのシーンが映った時は本気で思ってしまいましたし、これを撮ってる時の河合優実さんは一体どんな心情だったんだろうと思うところがたくさんありました。
邪推な見方をしてしまうんですが、制作チームは河合優実さんのキャリアと体を汚したかったんじゃと思ってしまうくらい彼女だからできた演技だけど彼女を起用してまでやる事ではないと思うところが多かったです。
自分と近しい世代の人物はこういう風に見られているのかと思うとショックですし、真っ当にしっかり生きてる人間も多いはずなのにZ世代だなんて囲まれているのには少し怒りを感じてしまいした。
今年はワースト近辺は例年に比べればまだ平和だなと思っていたところに今作が来てしまいました。
何度も劇場を出ようかと迷いましたし、自分の周りに劇中の人物の様な人がいないというのもありますし、確実に相性はあると思うんですが、自分には全く合わなかったです。いやーキツかった。
鑑賞日 9/25
鑑賞時間 18:05〜20:30
座席 E-12