「生にしがみつくな、生に居座れ」ナミビアの砂漠 ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
生にしがみつくな、生に居座れ
21歳のカナ。彼女の生い立ちは、なんとなくぼかされている。
でも、彼女がなぜ平常心が保てないかは、うすうすわかってくる。
河合優実のミステリアスなムードが冴える。
貧困、少子化の日本を憂うカナは、自分にもふりかかる状況に、ひとこと「生存」が大事とたかをくくる。
ふたりの男の間を揺れ動きながらも、表の優しさには長けているふたりに、なぜか満足できない。
悪態、暴力、そして心の病。
この世は生きにくい。生きにくいからこそ、ただ生きることを選択する彼女。
「今日は何もしなかった。とんでもない言いぐさだ。あなたは生きてきたではないか」
モンテーニュは言っている。カナへの行動を後押し言葉だ。
ナミビアの砂漠で、オアシスで生きながらえる、馬のような動物の映像。
生にしがみつくな、生に居座れ。
広大な砂漠の映像は、そう語っているように見えた。
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