「役者陣の奮闘が素晴らしい!」ナミビアの砂漠 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
役者陣の奮闘が素晴らしい!
「あんのこと」で印象的な演技を魅せてくれた河合優実が、また熱演を魅せてくれました。ただはっきりとしたメッセージ性が感じられた「あんのこと」と異なり、本作のストーリーはかなり難解で、その点好みは分かれるかなという感もありました。
まず序盤は、河合優実扮する主人公・カナと寛一郎扮するホンダの同棲生活が描かれます。手の込んだ食事を作ったり、何かとカナの面倒を見る優しいホンダだったのに、カナは何が不満なのか金子大地扮するハヤシと二股を掛けている。その後ホンダの前から突如姿を消したカナは、ハヤシと同棲を始める訳ですが、今度はハヤシに暴力を振るったりと無茶苦茶なカナ。
この辺りを総合的に観ると、一体何を見せられているんだという気がしましたが、落ち着いて考えてみると一般的な男女関係の逆転現象が描かれているような気がしてきて、そういう見方をすると何となく合点が行きました。浮気にDVと言えば、何となく男性の専売特許という気がしていましたが、別に女性だってそういうことをやる可能性はあるんだと、変に納得した訳です。
ただそうしたカナの一見奇異にも思える行動の原因が、最終的には双極性障害であることが分かり、その点はちょっとしっくり来ませんでした。病気が原因となれば何でもアリになってしまうので、個人的にはもう少し捻りがあっても良かったように感じたところでした。
そう言うはあったものの、河合優実の演技は全編に渡って力強く、しなやかで、かつ美しかったし、寛一郎の弱々しい男の演技や、カナの暴力を受け止める度量がありつつも、何となく薄っぺらい感じのハヤシを演じた金子大地も素晴らしく、役者陣の活躍ぶりは満点でした。
そんな訳で、本作の評価は★4とします。