劇場公開日 2024年9月6日

「乾いた瞳」ナミビアの砂漠 サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0乾いた瞳

2024年9月8日
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鑑賞方法:映画館

笑える

単純

寝られる

河合優実を見る映画。彼女の底知れぬ表現力にとにかく魅せられる。ただ、ホントそれだけの映画で、引くくらい河合優実頼り。彼女なしでは成立せず、言い換えれば良さが最大限引き出された作品ではあるんだけど、この1本の柱で支えられているような、深みのない不安定な脚本が個人的には刺さらず、決してつまらない物語、というわけでは無いものの、心に訴えかけるような何かがまるで足りない。しかも、あまりにスローペースであるため、140分弱の長尺に対して密度が異常に低く、納得のいく満足感が全然得られなかった。

長尺もフィルム風な影像も、意味があってしているのなら何ら問題は無いんだけど、どれも機能している、意を成しているとは思えず、気をてらっているようにしか見えない。カットが掛かるのがヒジョーに遅いため、ワンシーン事に退屈が来てしまうし、故に無駄も多い。もしかしたら意図したものがあるのかもしれないけど、少なくとも脱ぐ必要はなかった。何でもかんでもやればいいという問題じゃない。むしろ、このテイストであれば無駄を排除した洗練な作りをして欲しかった。

これに関しては個人的な好みだけど、終盤にかけて明かされるカナの真の姿が、あーそっち方向に行っちゃうのねとガッカリしたことが上手く乗れなかった大きな理由だと思う。そこに辿り着かなくても良かったんじゃないかと感じちゃったし、こうなると途端に評価しにくくなる。変にメッセージを込めず、もっとエンタメに振り切った作りの方が面白かったろうし、ここに行き着くのであれば、前述の通り多くを語らない、洗練した作りの方が深みのある作品になっていた気がする。ちょっと見せすぎかな。

だが何度も言うように、河合優実は本当に素晴らしく、彼女のプロモーション映画という側面では一見の価値のある秀作。河合優実の影で活躍する、他のキャストもすごく良かった。情けない寛一郎は意外で笑っちゃった笑笑
どうしようもなくつまらない話とか独りぼっちなキャンプとか、共感する部分は結構あって、ハマる人はめちゃくちゃハマる、そんな映画だと思う。何より、唐田えりかに幸あれ。

サプライズ