劇場公開日 2024年9月6日

「どのツラ下げてカナ(若者世代)に向き合えばいいのだろう」ナミビアの砂漠 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0どのツラ下げてカナ(若者世代)に向き合えばいいのだろう

2024年9月6日
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鑑賞方法:映画館

映画やドラマの主人公が、逆境の中、あちら立てればこちらが立たずみたいな状況で決断を迫られることがあります。
「自分のことは自分が一番わかってるさ」
なんて言いながらクライマックスシーンへ向かっていく。

でも、この映画を見たら、
「自分のことは自分が一番分かってない!」
ということが否応なく突き付けられます。

自由奔放に彼氏を翻弄しながら、サクッと乗り換えちゃうカナ(河合優実)。

と思わせておいてからの意表をつく怒涛の展開!
映画的には決して分かりやすいとは言えないし、どちらかというとまったりしてるのに、どのシーン、どのセリフもインパクトが強烈なのでテンポ良く感じられるのです。
ひとつひとつのシーンは、無意味そうに見えて実は意味深だったり、突拍子がないように見えるのに、あー、その辺の気持ちが整理できなくて(上手く言語化できなくて)つい手が出てしまう感じ、分かるー!と共感しまくり!!

自分はいったい何にイラつき、何に怒っているんだろう。
少子化と貧困で消えていく日本。
なんてことも言ってたけれど、別に何か経済的な専門書などを勉強してからの根拠があっての発言でもない。
今の時代に生まれ育った20代や30代の世代の体感的な実相のようにも感じる。

暴走というよりは〝迷走〟するカナをもう無理〜と言いながらも必死に受け止めるハヤシ。
ハヤシは、今の日本の無責任な大人たちに向かって、こう振る舞えばとても生きづらいいまの世代の若者たちへの罪滅ぼしになるかもよ、という象徴のようにも見える。
ノーパンしゃぶしゃぶの話も、それを嫌悪感混じりに紙ストロー程度の軽さで表すことで見事な伏線となっている。

バブル崩壊や失われた何十年という〝過去の失敗〟から逃れることのできない中高年世代。
若い世代が迷走せざるを得ない世の中にしてしまった責任のある我々中高年世代は、彼らの思いを良い悪いではなくそのまま必死に受け止めて、なんとか日本を生き延びさせるために頑張らなければいけない。
そんなことを考えてしまいました。

グレシャムの法則
大吉さんのコメント
2024年9月11日

娘たちが生きているのはこういった社会なんだなと思うと複雑な気持ちになります。

大吉
トミーさんのコメント
2024年9月7日

コメントありがとうございます。
誰でも皆、自分第一って部分ありますからね。満たされるってややこしいですね、他人と比較して感じる場合とそうでない場合がありますから。カナ、最後ちょっと笑ってましたが、ふっとでも満たされた瞬間出たんですかね。

トミー
トミーさんのコメント
2024年9月7日

共感ありがとうございます。
カフェの会話の不協和感、紙ストローきらい位迄はおお凄そうと思ってたんですが、アイドルをある程度最後迄描いてしまったのはどうなんスかね? 癒された感から先に何か在るんですかね? 「あんのこと」の人々とは違う身分の世界のお話なんでしょうが。

トミー