「戦場に身を置いてみるということ」シビル・ウォー アメリカ最後の日 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)
戦場に身を置いてみるということ
いやぁ、すごい映画だった。久々に米国映画の底力を見せつけられた。近未来映画といってもいわゆるSF的要素は無く、一昔前の第三次世界大戦ものみたいとでも言うべきか、要するに一種の架空戦争映画だが、戦争を娯楽的またはシミュレーション的にとらえたものでもなく、南北戦争(英語ではAmerican Civil War)以降本土が戦場となったことのほぼ無い米国が戦場の狂気を疑似体験してみるといった感じの映画。実際にガザやウクライナでも行われているであろうような、目を背けたくなる戦場の恐怖と狂気がこれでもかと描かれていく。音響も素晴らしく、銃声や爆発音が鳴るたびにビクッとしてしまった。ところどころで流れるロックやヒップホップなどの音楽も印象的で心に残る。
主演の戦場カメラマン役のキルスティン・ダンストはいい女優になったなあ。もうすっかりおばさんで中年体型になりながらも、それすらも魅力に変える演技派ぶりを遺憾なく見せてくれている。初見はたぶんドラマ『ER 緊急救命室』でのゲスト出演だったと思うが、まだ10代の可愛い少女ながら抜群の存在感を見せていた。その後、『スパイダーマン』シリーズでの大ブレイクを経て、実力派若手スターから今ではすっかりベテラン女優になりました。そして彼女に憧れる新人カメラマン役の若手女優ケイリー・スピーニーって子も良かった。今後、要注目かな。ラストがややあっけなくて少々拍子抜けなのがちょっとだけ残念。
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