「あり得ない・・・」シビル・ウォー アメリカ最後の日 parsifal3745さんの映画レビュー(感想・評価)
あり得ない・・・
トランプVSバイデンの対立、大統領選挙に伴って内戦がおこる可能性があると喧伝されていた時節をとらえての映画。多少なりとも期待してみたが、正直言ってがっかりだった。現状で、もし内戦が起こり得るとしたら、まず経済格差、移民問題、選挙結果に関わるデモ、反政府運動などが起こってから、分離独立を目指す運動があり、それを阻止する側との民兵や政府軍との争いから起こるだろう。しかも、共和党・民主党を支持するそれぞれの州でも支持に反対する人々もいるだろう。しかも、それが殺し合いにまで発展するとは思えない。このように情報の行き来が発達した現代、国やら州のプロパガンダを心から信じる人が州ごとに完全に分かれるとは思えない。考えようによっては、政治的な主張を避け、政争の道具にされないために、敢えてジャーナリストを中心に描いたとも思えなくない。
ジャーナリストの立場は情けなかった。なんのために国内の戦闘を取材しなければならないのか?自分の名声の為?さすがアメリカらしい。目の前で同じ国民が殺されていくのに・・・。もっと先にやるべきことがあるだろう。大統領が殺される瞬間を撮影する?最悪だ。アメリカのジャーナリズムは、もう死に絶えているという意味の皮肉ならばよくわかるが。
何故、内戦に至ったかはこの映画では描かれていない。見ようによっては、内戦だけにはしてはいけないという警句のための映画か。
トランプ大統領は、当選の後、分断を越えて、自分を散々貶めてきた反トランプ派を必要以上に糾弾せずに、これからは癒しと調和が大切であると宣言している。そうであってほしいと思う。