「凄いよ、凄い。アカデミー賞かな?!」シビル・ウォー アメリカ最後の日 CBさんの映画レビュー(感想・評価)
凄いよ、凄い。アカデミー賞かな?!
観たよ。Amazon、未だ上映期間にも関わらず、早々の配信をありがとう。
内戦を繰り広げる米国内で、主人公のカメラマンがホワイトハウスに向かうため、ワシントンD.C.への1379kmを、記者仲間に飛び込んで来たカメラマン志望の若者を加えて、危険すぎる旅をする話。
前半部分で、主人公さんは言う。「(何が正しいとか間違っているとか)考えても無駄。質問はせず、記録に徹するの」
前半部分での若者からの語りかけ。「私が撃たれて死んだ時にも、あなたは、それを撮る?」
この二つのセリフは記憶しておいて損はないので、まだ観ていない皆様へ。
-----注意 これ以降は内容を書いてますので、また観てからどうぞ。-----
もし内戦になったら、という風景が、ワシントンまでのそこかしこで描かれる。
明るい陽光の中のガソリンスタンド。
裏手には残酷な光景が。
300ドルじゃガソリンを入れるどころか、サンドイッチしか買えない。カナダドルなら(暴落していないから)ガソリンが買える。
PRESE(報道)と車に書いてあるという点だけが、攻撃されないことを期待するわずかな希望。
「写真で警告しているつもりだったのに結果は内戦。国家は崩壊。報道的価値すら見失いそうになる」 主人公の口からつい出る愚痴。
残り800km強。明日からは戦場。
同僚が言う「ひとりで怯えるな」
報道に携わる人たち、つまり相対的には強い人間たちですら、こんな言葉を掛け合う。
残り500km弱。ウエストバージニアに入る。
野営場あるいは難民キャンプ。
農場にいる家族は、内戦は見てみぬふり。
途中の平和な街。
内戦は知ってるけど、関わらないようにしてる。
その街で、ワンピースを試着し、何日も見ていなかった鏡で自分を見る違和感。
残り300km弱
かって小さなエンタメ施設だったような開放的な光景。
暖かな陽光の中で、建物に潜むどこの誰ともわからぬ敵と静かに対峙し続ける兵士。
とある場所
兵士たちによる拘束。会話にならない会話。問答無用に訪れる死。夥しい(おびただしい)数の死体。
こうしたシーンが、静けさの中で、あるいはポップな音楽、フォーク調の音楽が流れる中で。それがかえって、無秩序で明日知れぬ毎日という、ごく緩やかで逃れることのできない不安を我々に与え続ける。なんか、すごい。
西部勢力(WF)軍事基地のシャーロッツハイツ
そして、首都ワシントンD.C.
30分以上続く果てしない銃撃戦
「リー、金になる写真を先に撮るなよ」 と言い捨てて、先を急ぐ同業者たち。そして…
やるな。A24
やるな。「エクス・マキナ」のアレックス・ガーランド監督・脚本。
主張がないかのように見せかけるこの脚本。ただ、光景を描いてみましたよ、と言うかのようなこの映画は、何を語っているのだろう。
今のように「"分断" を票集めのために助長するかのような態度」を取り続けていたら、こんな風になってしまうかも知れないと想像しなさいよ。想像できないなら、映画にしてあげるから、観なさいね。ということなのだろうか。
俺が感じたこと、友人が感じたことを羅列しておく。いずれにしても、とても静謐な感動。素晴らしい映画だと俺は感じた。
俺が感じたこと
「撮る」
それだけが私にできることだから。報道にできることだから。
思っていたほど、簡単ではなかった。しかし、受け継がれていった。
友人が感じたこと
「当事者」
アメリカ外では災害でも戦争でも悲劇の中で、ただ冷静に撮れていた主人公が、最後は撮れない。全く撮れないという描写。
途中の平和な街も、なかったことにすることで、当事者である現実から逃れたいという思いのあらわれ。
おまけ2025/1/24追記
カリフォルニア・テキサス連合というあり得ない組み合わせをあえて設定していることからも、内戦の背景ではなく、「分断の果てに行き着く(危険性がある)内戦というもの」をその中にいる自分たちを疑似体験してほしかったのでしょうか? そうであれば、俺は見事に体験しました!
おまけ3 2025/2/5追記
「怖い」という気持ちを生み出して、観た人にあらためて考えさせる、映画の力というか役割を感じさせる映画でしたね。俺は、観て感じることしかできず、行動はないのですが、それでも「(楽しくなく共感もできなくても)観なければならない映画というものがある」とだけは思っています。
こんにちは〜。
インド映画よいですね改めて思いました
お勧めのは泣けるですね
ぜひ見てみますね
家で長尺だと、集中できない事もあるし、
大作は映画館で観たいですね
こんばんは〜。
バーフバリに共感コメントありがとうございます
下書きになっており、コメントできないので、こちらにしました
2作連続で観られて
凄いですね
TELASAで配信されていたので、近いうちに観ます
CBさん、新年から素晴らしいレビューありがとうございます!私も同感共感しました。新米カメラマンの変貌を否定的に捉えるレビューが多かったことに私は少なからずショックを受けました。「撮る」ことがどれだけ魂を吸い取られる程に辛いことか。そして「当事者」意識が如何に私達に欠けているかを思い知らされました