「戦争映画から「主義」を取り除くと、苦痛しか残らない。」シビル・ウォー アメリカ最後の日 ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)
戦争映画から「主義」を取り除くと、苦痛しか残らない。
戦争は概ね正義と正義、主義と主義の戦いである。
なので、戦争映画から「主義」を取り除くと、とてつもなく空虚なものになる。
そして、戦争映画から「主義」を取り除くと、「物語」も無くなる。
物語の無い映画は苦痛しか残らない。
この映画は、徹底的に主義を取り除いた、仮想記録としての戦争映画なので、
記録的なドキュメンタリー映画のようにも一瞬見えるが、
事実に基づかない記録映画でもあり、
そうすると、何を見せられているのか、段々わからなくなる。
人が凄惨に殺される戦争映画を観て、はじめて眠くなった。
こんな経験は未だしたことがない。
1度目、映画館で観た時、10分ほどで眠りにつき、起きた時はラストの戦闘シーンだった。
話題性の高い映画なので、念のため2度目をサブスクで観た。
10分で苦痛になり、早送りしながら再生させた。
一瞬見所があったのは、仲間が捕まって、解放させようと記者が兵士と交渉したシーン。
「お前はどこのアメリカ人だ?」の問いかけるくだりで、一旦は没入しかけたが、
以降はやはり早送りに戻った。D.Cに迫る戦闘シーンは確かに見所のひとつだとも思うが、
これより面白い戦闘シーンのある戦争映画はいくらでもある。
人間の「主義」は、時として醜く見えるが、それこそが人間の味わいであり、
やっぱり主義を排除したら面白くなくなる。2度も観たので、3度目は二度とないだろう。
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