「カメラマン志望の子供にイラッとした」シビル・ウォー アメリカ最後の日 落ち穂さんの映画レビュー(感想・評価)
カメラマン志望の子供にイラッとした
あらすじとしては、受賞経験もある著名なカメラマン、カメラマン志望の子供、カメラマンとペアの記者、老練だが身体が良く動かない記者の4人が大統領へのインタビューを目論みますが、道中で老練な記者と著名なカメラマンがカメラマン志望の子供を庇って命を落とし、その子供ともう一人の記者は大統領の最期の台詞を聞き、大統領殺害という歴史的瞬間に立ち会えたというものです。
カメラマン志望の子供が、とにかく無知で無謀。
著名なカメラマンが震えあがるような銃撃戦の最中に、アドレナリンが上がりくまっているのか、周囲の状況も全く把握しないまま前へ出ていき、下手な写真を撮りまくります。
最後まで精神的に全く成長することがなかったのはリアリティがあって良かったと言えますが、無謀な行動のツケを命で贖うことなく生還するところは所詮は映画だなと感じました。
とにかく、この子供を全く好感の持てないキャラにしたのはどうしてなんだろうと不思議に思うほどの不愉快なキャラ設定にしたことが凄いです。
走行中の別の車に無理に移動して、同乗させてもらっていたはずの車に対し中指を立てて見せますか?
自分を救うために命を落とした人の血を拭くカメラマンを見ても、手伝う素振りすら見せないのはどういう意味ですか?
自分の盾になって蜂の巣になっている最中のカメラマンのことを撮りますか?
それでも、この子供は大統領殺害直後の写真を撮ることができたので、名前の残るカメラマンになってしまうのでしょう。
著名なカメラマンが「受賞の写真を撮った時に自分はたいしたことはしていない」というようなことを吐き捨てるように言っていましたが、それをこの子供がまた繰り返しているといったところなのでしょうか。
また、命の危険のある道行きと十分わかっていながら、自分の下半身のために素人を車に同乗させる記者にも嫌悪感を抱きました。
内戦の実態を初めて見てショックを受ける子供に、執拗に「一晩そばにいようか?」と言うところなども、ショック状態になることを予期し、弱気になったところを狙ってくる魂胆が見え見え。
後で、カメラマンとして経験を積ませるとかいう話ではなくて、単に狙っていたから同乗させたことを仲間に暴露されてしまいますが、戦場記者というものは、こんな弛んだ意識でみんな戦地に赴いているのものなのかと呆れてしまいました。このくらいの精神レベルでなければ戦地になど飛び込めないという話なのかもしれませんが。
「どの種類のアメリカ人か?」のシーンについては、かなり取沙汰されているようですが、内戦中ですから、どちらの陣営に属しているか確認されるのは当たり前のこと。
同じアメリカ人なのになんて発想は、内戦時には命を落とすだけです。
もし、日本で国を二分する内戦が起きても、同様の質問があるでしょう。
食い倒れ人形の眼鏡をかけた軍人に聞かれます。
「自分はどこの日本人や?」
「・・・ワイは生粋の関西人やぁ!」
多分バレバレで即銃殺だと思います・・・。
とは言え、
「てやんでぃ!ちゃきちゃきの江戸っ子よぅ!」
と言ったら、当然銃殺なんでしょう。どちらにせよ逃げ切れないわけですね。怖い怖い!