「カメラを持つと人が変わるクラスタが、写真について語る映画【ニコン応援】」シビル・ウォー アメリカ最後の日 たちつてとんさんの映画レビュー(感想・評価)
カメラを持つと人が変わるクラスタが、写真について語る映画【ニコン応援】
AF一眼レフ登場以降、今も昔も世界の報道のプロ用カメラといったら日本のメーカー品以外の選択肢はない。
この映画においてアメリカ内戦は単なる客寄せのエサ。
つまりカメラのタフネス映画なんだけど、面倒な地域まで行って戦争撮るのがやっぱりめんどくさいから近場で撮ろう。
LAだと遠すぎるからNY→DCでよくね?って企画に見える(当方には)。
配給会社の宣伝文句は煽りでありこの映画を表現してない。
写真というものについて語る映画である(少なくとも当方には)。
映画開始時にどーんとソニーのロゴが出てくる。で、映画が始まってみれば主人公らしき姉さんが持ってるのがα7。
さて次に出てきた女子。現場でフィルム巻き上げてんだが!ザワザワ……。
FE2だよ、父ちゃん……。
言わずとしれたニコンのすっごい売れたカメラである。中古カメラ屋でまだ売ってる。
そんなFE2だって当時は世界を旅する欧州のフォトグラファーに「電池ないと撮れねーじゃんww」みたいに言われてたとか。フィルムの一眼レフだ(α7に「レフ」はありません)。
オートフォーカスがまずない。ピントは自分で合わせる。この映画においてそのへんがなんかのメタファーになって……そうでなってない(かな?)。
連写オプションなし、縦グリなし、フィルムもつないでなかった(と思う)。
女子ジェシーの撮影したショットが挟まれるがちゃんといい写真。もしかして現場で俳優が撮ったんだろか。モノクロの方が過酷な現場で撮っても現像やプリントでどうにかしやすいというのもあるだろう。
令和のカメラだってまともに自分の意思を持って写真を撮ろうとしたら、シャッタースピード絞り構図などさまざまな要素をカメラに設定する(伝える)必要があるが、昔のマニュアルカメラはその数倍めんどくさい。再生モニタもない。ISOなんてフィルム入れたら変更(増感?)できない。それでもレンジファインダーなどなどの時代からしてみれば随分便利に見えただろう。
フィルムというものも今で言ったらギガが足りなくて1枚1枚写真を消しながらスマホで写真撮ってるみたいな、1枚へのリソースがとても貴重なんである。そこは写ルンですも同様である。
ちなみになんで登場カメラがキヤノンではないかといったら最近もソニーがニコンに撮像素子を供給してるからだろうか……あ、当時のキヤノンはシャッタースピード優先でしたな。
ソニーのスチルのレンズで撮られたっぽいシーンもたくさんある。わざとらしくわかりやすくピントの移動なども行われ「カメラの映画ですよ〜」ということを知らせてくれる。
登場人物がポータブル現像セットやフィルム、スマホへ読み込むアダプターとかわざわざ購入して撮ってんだよ。カメラ映画でないわけない。
いちいち画面下あたりにEXIF出して欲しくなる人向けの映画だと思いました。
1カットも無駄なく写真としてムービーとしてきっちり意識して撮られた映画です。