「怖い怖い」シビル・ウォー アメリカ最後の日 かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
怖い怖い
超大国アメリカが南北戦争以来のシビル・ウォーだなんて突飛な話、さすがA24。
でも、大統領選の両陣営の対立見ていると、あながち突飛ではないかも、と思えてしまうところがアメリカだと思う。
一切説明無くいきなりアメリカが内戦状態というところから始まる。
テキサスとカリフォルニアが中心の反乱軍と政府軍の戦いらしいが、政府軍は圧倒的に劣勢という状況。
「ソウルの春」を連想した。
兵士の話かと思っていたら、戦場カメラマンの話だった。
特ダネをものにしようと、ニューヨークからワシントンD.Cに向かう老若男女4人のロードムービーらしき部分は、遭遇する各地のニンゲンが怖い。どさくさに紛れて大量虐殺実行中の赤サンのアタオカレイシストには、出身を聞かれたらなんと答えるのが正解なのか、州名を言ったところでアジア系の二人は、殺られただろう。
アメリカはひとつの国だが、多様性、といえば聞こえは良いが、時代が変わろうが関係なく頑固頑迷に自分、または自分たちの主義主張や生活習慣を貫き通して他者を理解しようとか歩み寄ろうとかまったく考えない人たちがそこそこの力を持って存在しているのだとよく分かる。
自分たちの正義のみがこの世の正義、反するものは暴力で排除するのも正義、な人々は、かなりの数が脈々と、現在でも生息し続けているのだ。
歴戦のヒーローのはずのリーは、ワシントンD.Cの戦闘にビビってすくんでしまうが、ジェシーは怯まない。
そして、戦場カメラマンにあるまじき、「人助け」をしてしまうリー、それは、一流の戦場カメラマンの資質が劣化していることであり。代わりに、自分を庇って撃たれた先輩の一連の死に様をカメラに収め、値のつく写真をモノにして平然とその場を去っていくジェシー、鮮やかな世代交代劇だが、戦場カメラマンは、人間らしいところがあっては一流になれないということがよく分かった。自分のわがままで周囲に多大な迷惑をかけても、犠牲者を出しても全然平気なジェシーには、その素質が備わっていると思う。
この映画、ヒトの「怖さ」のバラエティを見せつけていると思う。
そして戦争は、それらの坩堝、集大成のようなものなのだ。
ワシントンD.Cの市街戦が大掛かりでど迫力の臨場感、激戦を渦中で見ているようだった。
お金がかかっていて驚き。頑張ったね、A24。
こんばんは、コメント&フォローありがとうございます。いつも拝見しています。たがが映画かもしれませんが、みなさんのレビューを読んでいると、「ああ、こういう見方、考え方もあるんだなぁ」と
感じる時が多々あります。引き続きよろしくお願いいたします。
A24て「ムーンライト」とかもそうなんですね❗️意外と観てた😱
それら過去作と比べるとスケールは格段に大きくなってますね。DCの市街戦は迫力ありました❗️
コメントありがとうございます。
リーは最初からジェシーの身を心配していましたから、彼女をかばう行動には私は納得できました。
ジェシーは、極短期間で修羅場を経験し、感覚が麻痺したのではないかと思いました。
ジャーナリストには人間性は必要だと思います。
状況を冷静に見ていても、決して人を冷徹に見ているわけではないと。
その場に興奮して、刺激的な写真を求めはじめたジェシーは、ジャーナリストではなくなっていたのではないでしょうか。
共感ありがとうございます。
ジェシーの変貌ぶりが最恐でした。ああなると人間要らない、決定的フィルムを納めたカメラだけ残ればイイという気持ちになってしまいます。