「 映画予告を観て、民主党と共和党で二分する現在のアメリカを舞台とす...」シビル・ウォー アメリカ最後の日 hiroishiさんの映画レビュー(感想・評価)
映画予告を観て、民主党と共和党で二分する現在のアメリカを舞台とす...
映画予告を観て、民主党と共和党で二分する現在のアメリカを舞台とするタイムリーな戦争(内戦)映画を想起させますが、その題材で始まったら2時間の映画時間枠で収まるはずも無く、そんな映画ではありませんでした。
ベテラン・シニア・駆け出しの4人のジャーナリストたちのロードムービーであり、R指定の残虐なシーンもありますが、なかなかどうして深く、重く、想定とは違いましたが、魅せる内容だなと前半は上々な立ち上がり。しかしアジア系二人のジャーナリスト仲間がファンキーに登場した時のジェシー(ケイリー・スピーニー)の行動は、次にくるこの映画で最もショッキングなシーン(昔の映画「ディア・ハンター」のロシアンルーレットの名シーンに並ぶスリリングさ)へのきっかけ作りとはいえ、成人女性としてはあまりに軽率であり、戦場カメラマン見習いというより、単純に野次馬根性を満たすためにカメラ持っている軽い子に見えて興覚め。また終盤、ジャーナリスト視点であっても、自分とどう関わった死体かで、同じ死体でも見方も変わる、その差異を表現して欲しかったなと。(ケイリー・スピーニーにではなく、脚本・演出への意見)
後半は映画予告通りの戦争映画っぽさが出てきますが、全体を通じてもはや4人の行動に焦点が当てられたストーリーで来てしまっているので、別に米国を内戦させなくても、世界の数多ある紛争地区が舞台で成り立つ話かと思いました。逆に米国を舞台にしたがゆえに、「で、アメリカさん、この後どうすんの?」と思わせられたまま放られてしまいます。
リー(キルスティン・ダンスト)とジェシーの師弟以上に母娘を思わせる関係、殺し合っている場所に咲く小さな花、幻想的に焼けていく森など、いくつか秀逸な映像・シーンもあって良かったのですが、イイ所、惜しい所と凸凹した印象でした。