「意表を突きたい監督のラストは亜流脚本。 途中からネタバレ ★2.9」シビル・ウォー アメリカ最後の日 レオンさんの映画レビュー(感想・評価)
意表を突きたい監督のラストは亜流脚本。 途中からネタバレ ★2.9
まず、よくこんな大層なタイトルを付けれたもんだ!
私が内容から付けるなら、せいぜい「新人戦場カメラマンの欲望」だ! (欲望と付くのはラストに起因)
恐らく多くの方とは真逆の評価に。
内戦というぐらいだから、序盤から時事がドンドン進行すると予想したが、本筋以外の描写シーンに時間をとり、物語がタイトルの様にシリアスに進まない・・。
そして描写とは相違なる、アッケラカーンとしたBGM。 シリアスシーンにあえて "明るい曲調" を使うというのは、黒沢明監督が「野良犬」や「生きる」で使った "コントラクンプト" という斬新な手法。 だが、本作はそれを模倣してるだけで、そこだけミュージック・ビデオの様に見えてしまう違和感が。
そして物語はほぼ、カメラマン達のロードムービーに、
小規模戦闘が挟まれる形で進行し、その戦闘描写がややシリアスというだけで、内戦の実情説明はなく、西部勢力がワシントンに侵攻するという稚拙で大まかな物だけ。
作品の全体像が、かなり中途半端でまとまりなく感じて、ぶっちゃけ大いに期待外れ。中盤まで私的に★3.2~3.3ぐらいに感じた。 (最近、鑑賞中にその時点での★点数が、頭をよぎる癖が♪)
それに、戦場最前線で敵建造物に侵入するという、最も生死が分かれる瞬間に、足手まといになるプレス関係者が、ほぼ一緒に行動してるのにも、違和感・・。
ショッキング映像を単純物語に挿入して、さも奥深い作品です、という誤魔化した様な浅はかさが私には伝わる・・。
が、終盤ホワイトハウスへの大規模攻撃シーンで、ようやくハリウッドらしくなり、★がやや上がった時、ラストシーンに唖然・・・。
その、観客を欺きたいだけの描写にあきれた・・。
★が2点台に急降下・・。
唯一、キルスティン・ダンストは、DCヒロインから年月を経て、女優では稀少なしっかり顔になって、重厚な演技を示せる存在になっている。 この様な役が自然に演じる事ができれば後年も活躍するだろう。
↓ ネタバレ含む
ラストシーン
ジェシー役のケイリー・スピーニーが、通路の真ん中にまで出てカメラを構えた時、ああ、やはりこんなエンディングか・・。
それをダンストが、かばって犠牲になる・・。
と瞬間に悟った。
ラストに誰かの死を持って、作品に奥深さを増す私的に、“逃げの脚本”だと。
ダンストが、ほぼ撃たれに行ってるような不自然な動きも、わざとらしいし・・。
が、それだけに終わらず、なんとジェシーはそのダンストを写真に撮り、彼女を無視してまだ撮ろうとする・・。
唖然を通り越し、なんと無謀で亜流な脚本か。
自身の欲望のみで動く姿は、常人として100%あり得ない行動。
憧れを持って近づいた人物が、自分を助けて目前で絶命したのに、人の死で嘔吐していた者が、突如心のない機械の様に無表情で次の行動なんて、まさにフィクション描写。
この監督は、意外性を濃く描写して、観客を驚かせたいだけと感じて、一気に冷めた。
私が敬愛するハリウッド俳優・監督である、イーストウッド、デンゼル・ワシントン、スタローンなどが、もしこの作品の制作に関わっていたら、絶対こんな恥ずかしいラストにはしていない。
彼らは自分の作品に誇りを持っていて、あり得ない様ないい加減な人物像は絶対描かない。
昨今、こういう意外性や曖昧性が強調された作品が多く、
それを評論家が高尚な作品と言わんばかりに絶賛し、アカデミー候補にもなったりする・・。
が、それらの作品はTVで何度、再放送されても、それなりの視聴率を獲る名作・・には当然至っていない。
シビル・ウォー アメリカ最後の日上映中
>uzさん
反対意見かと思いきや、uzさんもかなり批判レビューですね♪
確かに問いを投げかけるのがダメではなく、私はあのような奇をてらうかの安直エンディングが、名監督ならしないと感じました。
ラストは、ジェシーが立派な戦場カメラマンになったと取るか、人の心を失くしたと取るか…
個人的には、ここは製作者なりの考えを示してほしかった。
問いを投げかける作品がダメなわけじゃないし、良しとできるかは感覚でしかないのですが。