「アメリカの終焉を予感させる」シビル・ウォー アメリカ最後の日 sasさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカの終焉を予感させる
わざと?というか、ドキュメンタリー&ロードムービー風に作っている。コレはアメリカ人に対する警告orレクイエムor懐古なのかもしれない。
話は現在のアメリカの市街地の貧困と騒乱の延長線上の様な混乱と国内紛争から入っていく。
警察や州兵が水を求める市民に向かって暴力を振るいながら秩序を維持しようと努める中にアメリカ🇺🇸国旗を持った女が自爆テロで突っ込んで辺りを吹き飛ばす。アメリカ自体も西部軍と政府軍の内戦真っ只中、もう目も当てられない有り様だ。
一見客観性を保っていそうな報道の主人公の女性(と言っても若い方でなくスパイダーマンの彼女のキルスティンさんの方)は冷静にスクープを追いかけて同僚と車でNYから大統領のいるD.C.を目指す。
もう1人の主人公の女性(若い方)は、freshmanなのは束の間、古き良きアメリカは遥か彼方、人の死と暴力とクソみたいな道中を経験してあっという間に報道写真家稼業に魅入られ、戦争とは違う狂気の世界に嵌りこんで行く。
若い方の主人公のジェシーは、最後自らを庇って死んだリーの死に際まで写真に撮り、屍さえ無表情に踏み越えて大統領の銃殺というクライマックスとエクスタシー向かって突き進む。
取り立ててすごい戦争映画的映像は出てこなかったし、感動的で心温まる人間ドラマも無い、若干軽めで薄め、砂のようなシャリシャリ感のある映画ではあるが、それでもなおタイムリーというか、現実の21世紀が暴力と階級間や国家間での憎しみをモチーフに始まるのを見届けている現代人の心に酷く刺さる…。
現実のアメリカが帝国化するのか、この映画の様に国内市民間での内戦に沈んで行くのか、想像力を掻き立てることこの上ない。
ヘリの爆音うるさい! 首都決戦に投入された戦闘ヘリの銃撃が凄い、コレはもう大量破壊兵器じゃないのか?
移民の国、多様性のるつぼも各々銃を手にすれば、こうなりそう感が有りますね。