「緊張感がすごい」シビル・ウォー アメリカ最後の日 sumiさんの映画レビュー(感想・評価)
緊張感がすごい
音の使い方(緩急)がすごくて、視点も面白かった。
題材であるカメラマン視点であり、スナイパー視点のような不穏さもあり。
印象的なシーンがいくつもありました。
レビューというかメモ代わり。順不同
『あなたはわたしが死んだら写真を撮る?』
墜落したヘリを撮るシーンで、ジェシーがリーに聞いたこと。
リーの方が先に死ぬなんてきっと思ってない。
そりゃまぁ駆け出しの新人とベテラン(ヒーロー)だから、その認識も間違ってはいないと思うんですが。
実際はリーが死に、ジェシーは一瞥するだけで撮らずに進む。
人間らしく感情的だったジェシーと、冷静にジャーナリズムを説いていたリーが、ここで入れ替わる。
前半のジェシーはまだまだ新人というか子どもっぽさというか純粋さが残っていて、“危なっかしい”印象。でもリーはそれに救われて(癒されて)いたのかな。
「あの子に厳しいんじゃない。君は自分に厳しい」とサミーに言われていたリー。少なからず昔の自分をジェシーに重ねていただろうなと。
後半、さまざまな経験を経て、ジェシーはどんどん前に、どんどん撮る、どんどん進む。
成長する姿は頼もしくもあるけど、違う“危うさ”を孕んでいって、リーにどう見えていたかな。それが最後に繋がったのかも。
『お前はどの種類のアメリカ人だ?』
ここ、本当にゾクゾクしました。ぞわぞわ。
白い粉(?)を撒いてるときも、死体が荷台に引っかかってても、どこの誰かも分からん記者が必死こいて命乞いしてても、全体的にあんまり興味なさそう。
興味なさそうっていうか、感情の動きがないというか。
何が正解か分からない。
必死に、慎重に生存ルートを探るジョエルたちと、淡々と作業し、淡々と問い、淡々と殺す赤サングラスの兵士(本当に兵士なのか)の対比。
このシーンから狂気がどんどん加速していく。
『いい知らせだ。』
こんなに不穏なことある?ってくらいえげつない空気感から始まり、来ると思っててもびっくりしちゃう銃声。
運転手ジョエルの判断、さすが慣れてる。
「相手は何だ?」
「分かった、お前バカなんだな。」
相手が何だとか、誰だとか、そんなん言ってられない。
撃たれたから撃つ。殺られる前に殺る。
お前バカだな。そんなの当たり前だろ。
こんな世界でよ。言わせんじゃねぇよ。
一瞥すらくれないスナイパーも合わさって、
個人的にはめちゃくちゃ好きなシーンだった。
『なるべく関わらないようにしてるの。』
観客にも刺さった人がいるんじゃないかな。
わたしはぶっ刺さりました。
ぶっ刺さってなお、映画を観終わって、好きな音楽を聴きながら平和な街を歩いて、安全な水とごはんでお腹を満たして、のんきにレビューなんて書いている。
あの街の優雅な生活や人々がわたし達なら、戦地の日常や狂気もまたわたし達のものであり得るということですね。