「イベントの寄せ集めを簡単に仕上げたナンチャッテ・アグリゲーション・フィルム」シビル・ウォー(原題) Paula Smithyさんの映画レビュー(感想・評価)
イベントの寄せ集めを簡単に仕上げたナンチャッテ・アグリゲーション・フィルム
Lee: 300. For half a tank and two cans.
Pete: 300 buys you a sandwich.
We got ham... or cheese?
Lee: 300 Canadian.
Pete: ... Okay.
ガス・ステーションでの何気ないやり取り... 信頼性から国際決済通貨や基軸通貨として、世界で最も多く利用されている通貨グリーンバックス (greenbacks:俗称)が作中、アメリカの惨状を物語っている。
VAMOS, STEELERS
ワシントンDCへ行くまでに彼らは迂回すると言っていたけど... 橋の横にかかれた手書きによる横断幕より... 2度の連覇を達成した唯一のチームPittsburgh Steelers、(略称: PIT)より
ところでイギリスの新聞 "The Guardian" の電子版では、こんな事も
More than 40% of Americans think civil war likely
within a decade
日本と中華の位置をゴッチャにしているのが常識のアメリカ人とは言え、彼らが別に心気症の集団とは考えにくい... だからなのか? そんなことをしり目に
何処でもなくアメリカの実際の社会政治的な亀裂に無関心なロンドン出身の監督は...
The director added that the journalist’s job is
to make other people ask questions — and
that “Civil War” is acting as that reporter,
provoking questions from the audience.
ライフル協会推薦のアジテーション・亜流モキュメンタリー・フィルムとしての存在が、人間の尊厳を憐れむ普遍的な心とそれとは真逆に極端なコンサバさが、人をゴア表現でまるでゴミ屑のように描き、人の残忍性を視聴者は直視できる。その振り切った左右の両極性をジャーナリズムのプロとして視聴者に伝える行為そのものが、感情や心の揺れ動きを一切かなぐり捨てた冷酷なほど冷徹さへと人間性を無くしていく過程をこの作品は、シンボライズしている。
全編を通じて作中の一つのタグラインとしての主人公達の最終目的が達成された瞬間... 似非モキュメンタリーとしての安直さがはき違えたプロパガンダへの違和感を生むシーンとなっている。
Joel: I need a quote.
Don't let... Don't let them kill me.
Joel: Yeah, that will do.
白人至上主義を悪者にすることで反って彼らに快感を与える。この言葉を聞けばのお話...
Joel: There has to be some mistake.
We're American, right?
Soldier: Okay. What kind of American are you?
You don't know?
本質として、黒か白か、共和党か民主党か、保守かリベラルかという次元ではない。そして、ある意味、その事が説得力の裏付けとなっている。なぜなら、本作は、自分たちと映画の主人公たちとの考え方がどれほど明確で漠然としていて危険であるかに観客の注意を向けさせている為に!? でも製作者の無関心ぶりは浅はかで、まるで部外者から聞いたかのように感じられる。