「正しいことを」ガール・ウィズ・ニードル 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
正しいことを
第一次世界大戦下のデンマーク、コペンハーゲン。
カロリーネは戦場へ行った夫の帰りを待ちながらお針子として必死に働いていたが、アパートの支払いもできないほど生活に困窮していた。
やがて勤め先の工場長と恋に落ちたカロリーネは妊娠し、彼との結婚を約束する。
しかし、そんな時に死んだと思っていた夫が帰ってきて……
うーん……期待してただけに……
良くも悪くも言いたいことありすぎる。
まず、期待してるような胸糞人怖ホラーではなかった。
実話ベースだとどうしても真面目になってしまうし、真面目になるってことはホラーじゃなくなる。
もちろんそれが悪いことではないんだけど、あれだけトガってますよ感を出しておきながら、思った以上にガッチガチで、しまいにはあんなヌルい結末なので、ちょっと、それはね…
全体的にとっ散らかっちゃった印象。
当然ホラーでなければミステリーでもないし、社会派作品かと思えばドラマ展開。
やりたいこと全部ぶち込んで結局何がやりたいのか分からなくなっちゃった感じ。
何かしら1つ方向軸を定めて、それに向かって映画を作って欲しかった。
結局何がやりたかったのかが見えてこない。
なんとなくは分かるけど、他の要素も主題に限りなく近いせいでメッセージ性弱いよ。
あまりにも主人公がアホすぎる。
はじめは時代や環境のせいで、彼女たち女性の権利といった面で共感できる物語になると思ったのだが、結局彼女の問題では。
まあそういうカロリーネを作り上げたのも親や周りの環境、そして時代なんだと思うけど。
本当に申し訳ないんだけど、勝手に恋に落ちて、待ち受ける将来を予想もせずに飛び込み苦しんで、覗かなくても良い深淵を覗いたのはお前だろうがと。
お産を手伝ってくれたおばちゃんや旦那さんなど、彼女に手を差し伸べる優しさは身近にたくさんあったのに、それに気付けない、助けの求め方を知らない。
そんな彼女が哀れに思えると同時に、そういった生き抜く術を教えてもらえなかったんだと思うととても悲しい気持ちにもなった。
そして救いを求めた相手はよりによって…
そういう運の無さというか、人を見る目というか。
現代社会、身近でもこういう不幸続きの人って、何故かこういうものを持ってないよなと思う。
一体なんなんだろう。
能力なのか、学習できるものなのか、はたまた運なのか。
だから頭ごなしに否定はできないんだけどね。
正しさとは。
ダウマのことは責められないし、私は彼女の意見を大いに肯定したいけど、殺人を犯している時点で全くの肯定はできない。
鑑賞者側もあのシーンだけは正しさと悪さの境界がぐちゃぐちゃになって頭を抱えたと思う。
法廷シーンだけ見たらかなり好き。
途中で「はいはい分かった分かった、子殺しの話ですね」ってなってからは普通に飽きてしまって、あんまり乗れなかった。
途中は本当に退屈って声に出したいくらい退屈だった。
さらに、せっかくおばさんのところで強烈なパンチラインを残したくせに、再会からの引き取りとかいう激ヌルラストが本当に嫌すぎて、上がりかけた点数戻した。
陰影の使い方とかは良かったけど、映像もそんなに印象に残るほどではなかったし、音楽も雰囲気に合ってるようで微妙にあってない気がしてそこも残念。
かと言って、全体をボロクソにいうほど悪くもない。
ただ、やっぱり冒頭で合わないかもと思った作品はだいたい合わないな。
ラストが好きじゃないとさらにダメ。
予告編の煽り方が1番怖かった。
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