「肉フェチ映画のフルコース」サブスタンス ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
肉フェチ映画のフルコース
面白かった。長〜いエンドロールが終わって明るくなると、各所でケラケラ笑うカップルたち、という感じ。その多くはここまでやってるとは思わなかった、という感じか。僕もまったく同じでここまでやってるとは、だった。言ってみればピータージャクソンの「ブレインデッド」というか、遅れてきたジャンル映画好きが細部にあれやこれや好きなものをぶち込んで、作り手がめっちゃ楽しんでる感じ。映画祭では盛り上がっただろうな。ザ・フライ、遊星からの物体X、ソサエティ、ZOMBIO、諸星大二郎に大友克洋まで80年代変態SFホラーにアート味を加えて撒き散らす感じ。
加えてなんと言ってもデミ・ムーア。よく出たな。青春のアイコン、トム・クルーズも身体張って頑張ってるが身体の張り具合はこちらも、というかこちらの方が凄まじい。比較対象のマーガレット・クアリも含めてもう完全なる肉映画。もっと言うと尻映画。ここまで尻が映される映画はそうはない。顔ではなく、美も若さも尻なんだというのを監督がよくわかってる肉フェチ映画。一年前の『チタン』とはまた違うフェチ。しかし世界的にクロネンバーグの与えた影響は大きかったことを痛感する。ボロボロの肉から果物のように弾ける肉まで、そして肉を割き、肉を縫い、肉を破裂させるフルコース。
お話は誰もが思う「世にも奇妙な物語」「笑うせえるすまん」的と言うのはやはり「サブスタンス」が説明ないから丸ごと悪夢玉を飲み込んで観た悪夢でしかないのでドラマはかなり薄い。そのためMV映画にしかみえない残念さはある。実際残念だな、と思ってるところではじまるクライマックスの年末番組前夜からのしつこさが圧巻。ぶっちゃけあそこまでいる必要はどこにもない。ないけどステージにあの格好で登らせて、血飛沫を浴びせ、逃げ出させてあそこで終える(オチがきっちり決まるので笑ゥせぇるすまん風)のでやはりなぜか拍手したくなってしまう、そんな映画
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