「もう二度と見ませんし、二度と思いません。」サブスタンス リュウジさんの映画レビュー(感想・評価)
もう二度と見ませんし、二度と思いません。
こわい。こわい。夢に見そうなくらいこわかった。
スプラッター的なこわさもある。物体X的なこわさももある。
なにより人間のあくなき欲望が生んだことに対するこわさがいちばんこわい。
登場人物が不幸な結末に終わるホラー映画の場合、
「自業自得やん」とか、「因果応報やん」とか、「欲をだすからやん」と思うことが多い。
でもこの映画はならなかった。
老化。誰にでもやってくる老化。
私自身が感じる老化は体力の衰え=それまでできたことができなくなることだ。
エリザベスの場合は、「美しさ」の衰えだ。
だれもが若い時を取り戻したいと思う。
時に悪魔に魂を売り渡してもいいとまで願う。
老化とは「生きる」人間にとって罪悪だと思っている。
エリザベスの存在を忘れたかったスーの気持ちもわかるし、
スーを憎み許したエリザベスの気持ちもわかる。
だれも悪くない。
悪くないと思うから
余計に彼女たちの気持ちと自分の気持ちがシンクロする。
映画のストーリーと自分の気持ちが進んでいく。
そして最期。
だから、若さを取り戻す夢をぶち壊すこの映画はこわいのだ。
ただ、一気に老化してしまったが、若い歓びを分身を通し疑似体験した(と想像した)
エリザベスは幸福だったのかもしれない。
スーは最期の舞台には立てたから、幸福だったのかもしれない。
自分の中で揺れている。
追記>
映画としても面白いと感じるところが多かった。
例えば・・・
序盤は、説明的ともいえる映像での淡々とした展開。
対比するように
終盤は、理屈に合わない「これでもか」とくるコテコテの展開。
(いつどう終わるん、まだやるの、もう楽にしたって…と思いながら見ていた)
また、コミカルな部分もある。
(物体X的なのもそうだけど、舞台で血がドバドバシーンは映画「キャリー」というより
映画「ダウンタウン物語」の子どもたちの総出のパイ投げを思い出したw)
物体X的な変貌もそれが舞台に立つことも想像できなかった。
そして最期のエリザベスのほほえみ。
あと、エンドロールに流れる音。
この映画をもう一度見ようとは思わない。
ただ心に残り続けるだろうね。
あと、デミームーア。あなたはすごい女優だわ。
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