「社会派SFホラー」サブスタンス 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)
社会派SFホラー
面白かったけど、かなりグロかったです。逆も真なりで、かなりグロかったけど、面白かったです。見終えてから、女性監督と知って何となくホッとしました。美しさ、若々しさ、スリムかつセクシーであることに非常に大きなアドバンテージが与えられる反面、その型から外れてしまうと全く価値がないかのように扱われる、若しくは女性自身がそう感じてしまうことへの強烈なカウンターパンチを放つ作品でした。作中で「理想」の女性とされるスーを体現したマーガレット・クアリーは確かに魅力的で、彼女に群がるオジサンやマッチョな若者たちの反応は、デフォルメされてるとはいえ、なかなかリアリティがありました。マンション隣人のリアクションが滑稽すぎて、大好きなシーンです(笑)。裏を返せば、イケメンに群がる女性たちも根っこでは繋がっているように思いますが、いまだ男性優位社会ゆえに、女性たちが理想(幻想)を押しつけられて、コラリー・ファルジャ監督がいう「女性の監獄」となっている面があるのだろうと思えました。自分と分身という設定がとてもユニークで、それゆえに驚愕の顛末となるのですが、これが絵空事と言い切れない面白さも感じました。少し前に本で読んだのは、身体全体或いは頭部のみを冷凍保存して未来の機械人間の時代まで延命させるという生命延長財団やバイテク技術で寿命を500歳まで延ばそうとするベンチャー企業が現実にあるらしく、ついに人類は太古からの不老不死という究極の欲望をテクノロジーの力で現実化させつつあるようです。映画なら笑って終わりですが、現実の方が空恐ろしいと感じます。「ゴースト/ニューヨークの幻」(90)の可憐な容姿に恋した映画ファンの一人として、今作のデミ・ムーアの熱演に心から拍手を送りたいと思います。
ひな様
長文のコメント、ありがとうございます。
>グロ耐性ゼロの私は、この映画が観たくても行かれずにいます🫢
確かにこの作品のグロさはなかなかでしたのでオススメはできませんね(汗;)。私もスプラッターは苦手ですが、ある作品をきっかけにホラーが好きになり、ホラー作品の中にはグロいシーンもあったりして、仕方なく慣れてきました(苦笑)。
>『サブスタンス』の予告を観た時、デミ・ムーアの半生、母親による売春・アルコールと薬物依存症・3回の離婚・全身整形・衝撃の回顧録…と重なりました。
あの可憐なモリー(デミ・ムーア)がそんな壮絶な人生を歩んでいたんですか!今作のエリザベス役を演じるには十分過ぎるほどの経験をしているわけですね。
>『サブスタンス』に登場するハリウッドは、実はカンヌ映画祭の会場で撮影、フランス人監督のハリウッドに対する皮肉と風刺だというインタビューを読みました。
そうなんですね。コラリー・ファルジャ監督の映画は初めて観ましたが、皮肉、風刺を盛り込んだかなり尖った作風だと思いました。個人的には、予定調和的で万人受けする映画よりも面白みを感じました。
>私の生涯ベスト1は『ガタカ』という映画で、子どもをDNAでデザインして産み分けるという、残酷なまでに美しい近未来のSFです🥲
「ガタカ」(98)は10年くらい前にDVDで観ました。殆ど忘れてしまってますが、着想がユニークで、優生思想の問題をはらみつつ、人類はきっとこういうことをやるんだろうなと思わせる作品だったという感想を「ぴあ映画生活」に書いてました。人間の欲望は、テーマとしてとても興味深いです。
赤ヒゲでした。
赤ヒゲさま
グロ耐性ゼロの私は、この映画が観たくても行かれずにいます🫢
レイフ・ファインズ、トム・クルーズ、デミ・ムーア、3人は同い年なんですね…
デミ・ムーア、私も『ゴースト』が大好きで、その後育休で一度ハリウッドを離れる頃まで出演作は観ていました。
『サブスタンス』の予告を観た時、デミ・ムーアの半生、母親による売春・アルコールと薬物依存症・3回の離婚・全身整形・衝撃の回顧録…と重なりました。
ブルース・ウィリスと結婚して、3人の子育てをしていた頃が、プライベートもキャリアも充実していたように思えます。
『サブスタンス』に登場するハリウッドは、実はカンヌ映画祭の会場で撮影、フランス人監督のハリウッドに対する皮肉と風刺だというインタビューを読みました。
フランスの刑事ドラマ『アストリッドとラファエル』を5シーズン見ていますが、ハリウッド規格体型や日本のアイドル体型の女優は1人も登場しないので、目から鱗です。
私の生涯ベスト1は『ガタカ』という映画で、子どもをDNAでデザインして産み分けるという、残酷なまでに美しい近未来のSFです🥲
※レビューみたいな長文コメント、失礼しました。
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