「アドレノクロム」サブスタンス CR7さんの映画レビュー(感想・評価)
アドレノクロム
原色を使った画面構成とテクノ調の音楽。キャラ設定をはじめエロスとか、ボディホラーとか、さまざまに強調された演出がとても映画的で面白い。この監督は演出の才能があるな。
カンヌで脚本賞取るだけの脚本の深みもある。まさに女性監督だからこそこの内容が撮れる。戯画化しながらも人の苦しみの本質的なところをえぐっている。とてもうまい。
デミ・ムーアをはじめ、マーガレット・クアリー、デニス・クエイドの怪演振りも見事。
芸能人なんかで整形を繰り返し、だんだん顔がモンスター化していく人をたまに見かける。そういう人たちの心理的葛藤って、この映画で描かれていると思う。
ありのままの自分に存在価値が見いだせない。美しく若い自分には価値があるが、そうでない自分には価値がない。自分が醜く見える。
世界がとても醜く見えて、正さなければならないことがたくさんあり、悪の原因となっている敵を選び出しそれを攻撃する。戦っているエリザベスとスーは、まさに自己受容ができずに自分自身を攻撃する多くの人たちである。
条件付きの愛と受容。そこから生まれる恐怖と葛藤、虚無感、孤独。
人が神との分離という幻想を生きるこの世の特性。
最後の方はホラーに寄りすぎかなとも思うが、テーマが深く映画としても面白い。
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