劇場公開日 2025年6月20日

「ソドムを焼き尽くす業火は、アメリカを再生するか?」メガロポリス 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ソドムを焼き尽くす業火は、アメリカを再生するか?

2025年6月23日
スマートフォンから投稿

…いつか、ヒトは、時間だって支配できるさ。
…アムロ…刻が見える…。
     富野由悠季「めぐりあい宇宙(そら)」

 大コケしたそうですね。ただ「未来世紀ブラジル」や「時計仕掛けのオレンジ」観た方なら、何となく分かると、思いますけど…。

 古代ローマ市民と、今の私達の暮らし、あんまり変わらないらしい。強いて言えば、キリスト教的な戒律が、あるかないか程度の差が、相違点だとか。その戒律も、時代と共に絶対的なものから、多様化しています。そういう意味では、今、アメリカ市民が古代ローマの衣装を身に纏うのは、お似合いですね。
 かつて人種のるつぼと言われたアメリカですが、今は格差と分断のるつぼです。これまでディストピア映画は、いくらでも造られました。でも、気づいたら、リアルな世界が、ディストピア。「シビル・ウォー」なんて映画もありましたね。アメリカ合衆国は、パンドラ合衆国に。天より業火が降り注ぎます。コッポラ御大は、パンドラの箱の最後に残るものに、賭けているようです。
 そう、この映画はディストピアの先のあるユートピアを描いています。でも、それは、遠く儚い存在。(人の夢と書いて、はかないと読むなんて、皮肉が過ぎますね。)ディストピア映画、あるいはディストピアなアメリカに慣れた私達にとって、御大の描くユートピアは、眩し過ぎたかな。それが、大コケの理由かも。
 あ、そうだ「地獄の黙示録」を、御大の描く激烈なる道徳映画と解釈された方がいます。今、世界レベルの興行で成果を残すエンタメ映画に、未来を示さんとする道徳観は通用しないかな。

 そこまでして、コッポラ御大が遺したかったもの、何だと思います?。

 個人的には、宮崎サンの「君たちはどう生きるか」に通ずるものがあるように思えます。

 ひょっとしたら、未来の私達は、時間を止めることも、できるかも知れない。それでも、未来が止まることはない。この映画のラストシーンに、そう思いました。
 アメリカだけの話ではありませんが、世界は確実に混沌へ。バンカーバスターが、天と地を回しました。(昔、極東の島に、回天と云う兵器がありました。調べてね。)先は見えません。そんなタイミングで、この映画を観る羽目に…。
 色々言われてますけど、まず観てほしい。理解する必要は、ありません。私を含め、他者の判断に従う必要も、ありません。圧巻の映像と、その先にある、流行り廃りを超越した御大の熱意。それだけですが、そこに、何にも替え難い総てがあります。

機動戦士・チャングム
機動戦士・チャングムさんのコメント
2025年6月24日

コメントありがとうございます。コッポラ御大、私財を投じてでも、世の中に言いたいことあったみたいですね。

機動戦士・チャングム
ノーキッキングさんのコメント
2025年6月23日

道徳を語る! コッポラ老いたり!と私はおもいます。

ノーキッキング
ノーキッキングさんのコメント
2025年6月23日

トランプの4年が終わっても分断は続くでしょう。

ノーキッキング
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。