ANORA アノーラのレビュー・感想・評価
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シンデレラストーリーと思って観ました
今どきのロシアに絡む話で、アカデミー賞を受賞したシンデレラストーリーと思って観ました。裏切られました。全く違いました。テンポの速いカメラワーク、カメラのレンズに映り込む陽の光が美しかったです。どのよう終わるんだろうと観ていました。ラストシーンにやられました。深く心にささるラストでした。
絵に描いたような幸せなどあるはずがない
24年のカンヌ国際映画祭パルムドール、25年米アカデミー賞で作品賞、監督賞など最多5部門を受賞したロマンチックコメディー。
監督はこれまでもマイノリティや移民、貧困層など社会の片隅で生きる人々を誠実に描いてきたショーン・ベイカー。
今作もロシア系移民のストリップダンサーの悲哀を描いている。
ストリップダンサーのアノーラ(マイキー・マディソン)は店に来ていたロシアの富豪の御曹司イヴァン(マーク・エイデルシュテイン)と出会い、故郷に帰るまでの7日間、1万5千ドルで彼女になる約束をする。
仲間を連れてラスベガスで豪遊するうちに、勢いで結婚することになる。
ここまでは「プリティ・ウーマン」よろしくのシンデレラストーリーなのだが、イヴァンは両親の財産で豪遊しているだけのとてつもないバカ息子でうまくいくはずがない。
そもそもイヴァンはロシアに帰りたくなく、結婚することでグリーンカードが欲しいだけなのだ。
結婚の噂を聞いて見張り役の司祭と手下のイゴール(ユーリー・ボリソフ)とガルニク(ヴァチェ・トヴマシアン)が2人がいる豪邸にやってくる。
映画としては中盤のここからのドタバタが見どころ。
なんとイヴァンはアノーラを置いて逃亡してしまう。
この後アノーラと3人の男たちとの30分近く続く壮絶な戦い(?)が圧巻。
アノーラが繰り出す下品な言葉や絶叫、殴る蹴るの大暴れはある意味痛快。なんとか落ち着かせて、ここからはアノーラと男3人のイヴァン探しの珍道中が始まる。
ストーリーはある意味よくある話で、伏線があるわけでもオチがあるわけでもなく単純。
この映画はストーリーを語りたいのではなくアノーラというロシア移民の強く、逞しく生きる姿を描く。だからタイトルはずばり「アノーラ」。
ただ、アノーラがなぜストリッパーとして働いているのか、家族のことなど彼女の置かれている背景はほとんど語られない。
自分では英語名のアニーと名乗り、ロシア語はわかるが喋らないことがポリシーというところにロシア移民の出自を嫌う何かがあったのだろう。
ロシアからイヴァンの両親が飛んできたあとの顛末はおおかたの予想通り。
全編通してアノーラの悲喜交交、今を逞しく生きる姿に引き込まれる。アノーラ役のマイキー・マディソンの全力の演技はアカデミー主演女優賞に値する。
降り頻る雪の中でのラストシーンは悲しくもあり温かい。
クラブのド派手なオープニングと対比する、車のアイドリング音とワイパーの音のみの静かなエンドロールは心に染み入る。
若者たち
アノーラ役のマイキー・マディソンの魅力に尽きる
ANORA (映画の記憶2025/3/9)
アカデミー取ったということで普段観ない系作品を観たつもりだったが、恋愛映画ではないな。
総じて言えばコメディ映画か?
ちなみに当たり前だがお子様はNGだな。
内容的には実話ベースだから良くできてる。途中からこのペースで前半部分やったら飽きられるなと感じたのかコメディ化が始まった。
実話と比べて脚色部分がどこか調べてみたいよね。この話。
前情報入れてなかったから、もっとロミオとジュリエット的な流れかと思ってたわ。
主演女優の方はポールダンスやら風俗店での振る舞い方だったり覚えるの大変だっただろうな。
思いの外悪くなかったが、これがアカデミー賞で良いのか?(本命のSNS炎上で消えたとかあったとしても)
(個人的評価6.5点/10点中)
え!?これが?!
まるで落語!!
廓話の様です。
遊郭に遊びに来た大店のアホボン。
ノリで女郎を請け出したものの、その身代金は親の金。
怒った親が来ると聞いて、尻尾を巻いて逃げ出しちゃったからさあ大変。
大旦那の言いつけで若旦那を探す番頭さん手代さんの面々が、どいつもこいつも間抜けで、本当に落語!
そして実は、大旦那より怖いのは女将さんだし。
ヒロインのアノーラが、これまた、ちっとも大人しくしてないよ、あんたはチャキチャキの江戸っ子かよ!!
大笑いしながらも、しんみりもさせられる人情噺に仕上がってましたね。
この映画をアカデミー賞に選んだ審査員に、川島雄三の映画を見せて感想を聞いてみたいと、ふと思いました。
ヒロインが、タイタン太田光代社長の若い頃にちょっと似てるので、太田光さんにも(勝手に)おすすめしたい(笑)
おしゃべりなセックスワーカー
ココロに響くかはあなた次第。
アカデミー賞
A285 予告編のこの声の方は変な方向に想像をもって行く
2025年公開
全然シンデレラストーリーでない。
私の立ち位置は風俗嬢としてそんな甘いものではない。
日々戦っているんだよ!というポリシーが垣間見れる。
普通ならあーそうだよね、風俗嬢と大富豪となら
釣り合いとれないよね。両親が怒るのも無理ないわ。
と諦め気味になるところを
やかましいわー
契約優先やろうが!
徹底的に抗ってやるぞ!と常に対決姿勢。
客に惚れられるのも行き過ぎはどやろか?と躊躇しながら
あーやっぱコイツはマザコンのヘタレやな
最後はプロとしての意地見せて落とし前つけたるわ、感が
凄い。
けどそれでも悔しいんだよ、悲しいんだよの
ラストシーンは胸打つ。
テンポは速いものの端折ることなく、時系列をグダグダにせず
丁寧な演出もイイ。
エロシーンも多いもののF文字の連発がR18さもありなん。
凄く正統派の現代ドタバタ劇。
なんですがオスカー獲るほどかな、とも思うのだが。
75点
鑑賞 2025年3月9日 イオンシネマ草津
配給 ビターズエンド/ユニバーサル
見事だが、120分にまとめなきゃ。
ついに観ました。アノーラ。
ストーリー、脚本はショーン・ベイカー監督の構想が見事。アカデミー賞監督賞も納得。
アメリカの性風俗業界のスタッフに光を当てるのは見事。作品全般は見事。
ただ、減点は時間と主演の2人。
主演のアノーラとイヴァン役の俳優の演技が軽い印象を受けた。
もう一点は時間。時間は長すぎる。120分にまとめられた作品。
マイナス材料は多いが、良かったのはラスト。アノーラの涙と用心棒役のユーリー・ポリゾフの優しさは素晴らしいラストだった。後は我々観客がどうラストを解釈するかだろう。この作品は用心棒役のユーリー・ポリゾフが素晴らしかったのでおまけの4点。
ロードムービーとロシアと
底辺層の人々へのエール
アカデミー作品賞を取った映画だからと身構えて観るとたかが外れる。風俗嬢と富豪のバカ息子のから騒ぎを描いたおバカコメディですから。
風俗嬢だけど実は過去に××〇があって身を粉にして働いているとか、バカ息子に見えて実は小説家とか役者になりたい夢があるとか、そんなのは一切なし。
風俗嬢はよくある家庭環境の問題からなっただけで教養もしつけない女性。バカ息子はただ遊びたいだけの本物のバカ。だからこの映画のカップルはまさにバカップル。
お金とセックスのために生きてるだけ。
だけどだけど、これがこの映画の要で良いんですね。
彼らは偽りのない本音の生き方。
もしお金とセックスが不自由なく手に入れられたら、毎日朝から晩までベッドの上でセックスして疲れたら寝て、セックスに飽きたらテレビゲームする。
そんな裏のない生き様を長々と描くから、観る人によっては冗長と感じてしまうだろう。
でもそんな人生甘くないのが後半のテーマとなる。必死に抗うアローラの人間性が爆発しまくり、それが何とも言えないチャーミングさを感じさせてしまう。これが映画マジックだろう。
監督のショーン・ベイカーは60〜70年代の東映映画のエロ・グロ・ナンセンス映画が大好きらしいが、アノーラにはその影響が強く出てますね。それはかつて日本映画が得意としていた底辺層への人間讃歌でもあり、この映画が愛される理由だと思う。
世間からゴミ扱いされる人間だって一生懸命生きてるんだ!
日本の予告編が随分とミスリードに感じたThe Japanese trailer felt quite misleading
そういう世界を全く知らないので、
全編に亘って共感する部分は皆無だった。
予告編のキッチフレーズにもあった
「シンデレラストーリーのその後・・」
のつもりで見に行った身としては、
ずっと「?」だったので、
一体何を見せられているんだろう?
という疑問が頭から離れなかった。
映画としては、
面白かったのかもしれないけれど、
自分には全く合わなかった。
知り合いに、
主人公のような仕事をしている人がいれは
もう少し見方が変わったのかもしれない。
その意味では、
まだ知らない世界がかなりあるんだろうな
とも考えてしまった。
Since I have no knowledge of that kind of world, there was not a single part throughout the entire film that I could relate to.
I went to see it expecting “What happens after the Cinderella story…” as suggested by the trailer’s catchphrase, but I kept feeling puzzled the whole time. I couldn’t shake off the question, “What am I even watching?”
As a movie, it might have been interesting, but it just didn’t resonate with me at all.
If I had a friend who worked in a job similar to the protagonist’s, maybe my perspective would have been different.
In that sense, it made me realize that there are still so many worlds I know nothing about.
アルメニアに帰りたい
イヴァンの捜索中、疲れ果てたガーニックがつぶやく。故郷から遠く離れた悲哀は、作品全体を通底するテーマだと言える。
ヒロインのアノーラやイゴールも含めた皆が、祖父母世代の選択や社会の要請によってたどり着いた自由の国と故郷の巨大資本のわがままに振り回され、心と体を疲弊させていく様がゆっくりと、丁寧に描かれていく。
この作品の白眉たる点は、やはりそれらを悲惨に描きすぎることをせず、「みんなそれぞれ大変だよね。」くらいのメッセージに止まらせ得るコメディ性と、イヴァン君も世界に振り回される、満たされない1人の男の子だということを、キャラクターを通して描き切っていること。
アカデミー作品賞を取ったことで色眼鏡を通して鑑賞されるようになるでしょうが、アメリカ社会のあり方を丁寧に写した名作です。
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