ANORA アノーラのレビュー・感想・評価
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ある意味プリティウーマンの対極?
性を売りにして生活しているが故にいつも明るく振る舞い、故に夢は見るが現実も知っている。
この辺りのテーマを極端に面白可笑しく、そして厳しく描いた作品。
ショーン・ベイカーの映画にはいわゆるセックスワーカーが何度か登場することもあり、多くの人に取材をしたのだろうが、プリティウーマンなんて夢物語で現実はだましだまされ、時には不条理に力でねじ伏せられながらも皆逞しく生きているという「リアル」をちょっぴり厚めのオブラートに包んだ状態で世間に見せたかったのではなかろうか。
ラストで最後まで意地を張り続けた彼女の矜持とかくやしさとか感謝とかいろんなものが入り混じってああいった行為に至ったのかも知れないが、けっして後ろ向きには思えず、これを乗り越えてまたいつもの日常に戻るが、違うのは隣に見守ってくれる人がいる、みたいな未来を思わせる終わり方は良かったと思うし、こここそがアカデミー脚本賞と女優賞を獲った大きなポイントだったのではないかと勝手に思ってる。
家の中でアノーラと格闘するところからイヴァンを探し出すまでのくだりは少し長すぎで途中で飽きたけどw、良い映画だったと思う。
遙かなる山の呼び声
アノーラが魅力的
ウオオオオほっぺガリガリガリィィィ💢💢
今を生きる23歳女性の珍道中
彼女は毎日、身を粉にして働いていました。
幸運にも、お仕事を通じて知り合ったお金持ちの男性と結婚することができました。
ところが、親の同意を得た結婚でなかったため、てんやわんやのハチャメチャな騒動に巻き込まれてしまいます。
あげくに、夫のダメ男ぶりに気付かされ、結婚はなかったことになってしまいます。
でも、いろんな経験を通じて、彼女はほんの少し自分を見つめ直すことができたんだとさ。
こうしたストーリーをテンポ良く、コミカルにもみせてくれましたが、途中少し中だるみを感じてしまったのは私だけでしょうか。
それでも、「おしまい」の部分の演出、アノーラの反応と行動が作品をギュッとしめてくれました。怒り、焦り、呆れ、反省、不安、安堵、感謝等といった彼女が抱えただろう複雑なすべての感情を丸ごと体現してみせたマイキー・マディソンの演技が秀逸でした。
「歩いて5分だろ」
「シンデレラストーリー」というところが注目されがちだが、初見の感想はラブストーリーというより、どうも人間臭いコメディ。
キャラが濃いキャラクターがどんどん登場するが、どのキャラもどこか共感できるような描写があり、つながりを感じるところがあるのではないか。
徒歩5分の場所なのに、車で移動しようとするメンバーに向かって、また駐車場を探させる気かと怒鳴るシーンなんて大スクリーンで観るにはなんともバカバカしく笑えてくる。
今作品はロシア人の友人と一緒に観たが、ロシア語が分かる人にとってはこの映画はよりおもしろいようで、横でドタバタ劇が始まってからずっと大ウケ。
話している内容だけでなく、ロシア語の言葉の選び方(訳せないほど汚い)や挙動がかなりリアルなよう。ビニール袋にダイレクトに入れ冷凍してあるペリメニで折れた鼻を冷やしたりするところなど、アルメニアやロシアでの「あるある」やジョークが散りばめられているよう…
最近のオスカーでは、どうも気が重かなりすぎなものが多かったので、こんな風に人生の「悲劇」も笑い飛ばせるような余裕をもった作品が注目されるのもいいなぁと思える鑑賞だった。
強いていうなら、他の方々がコメントされているとおり、もう少し性的描写を減らしてより広いオーディエンスにアプローチできる作品なら、気軽におもしろいよと家族にもおすすめできるのにと思う。
見事な顔芸をご覧あれ
それでも女は負けてない・・・
アカデミー賞作品賞受賞作。俺が観賞したのは発表の前で、結構良い作品だとは思ったのだけど、結果を聞いたときは「そうか、これが取ったんだ」と少々意外だった。
【物語】
ニューヨークの風俗店で働くアノーラ(マイキー・マディソン)。ある日店を訪れたロシア人の男がロシア語を話せる女性を要求したため、アノーラが呼ばれる。イヴァンと名乗る男(マーク・エイデルシュテイン)はアノーラを気に入り、自宅に遊びに来るように誘う。
アノーラが訪れた男の家はとんでもない豪邸だった。イヴァンはロシア富豪の御曹司であることを知る。イヴァンの提案で高額の報酬で1週間の契約彼女になることに合意。パーティーやショッピングなどを楽しむ。 ラスベガスにも足を延ばして享楽の夜を過ごした2人は衝動的に教会で結婚する。
しかし、ニューヨークでのイヴァンのお目付け役が事態を知り、部下を連れて2人のいる家を訪れる。彼らは両親の指示で2人の結婚を無効にしようと強硬に迫るが・・・
【感想】
観賞前に現代の“プリティー・ウーマン”という形容を目にして、勝手にコメディータッチな明るい作品を想像していたが全く違った。 確かに富豪と風俗嬢の短期契約彼女というところまでは一緒なのだが、作品のトーンがかなり違う。アノーラが彼女を取り抑えようとするイヴァンのお目付け役の男達を相手になりふり構わず抗うシーンはかなり笑えたが、声を出して笑えたのはそこだけだった。後半から結末にかけては、哀愁感たっぷり。
最後に痛快な結末が待っているのかと少し期待したが、それも無い。世の中の不条理というか、非情と言うか、庶民あるいは社会の底辺にいる人間の無力感を味わうことになる。ただ、他人のレビューを読んでなるほどと思ったのだが、そんな中でもアノーラは僅かながら風俗の世界に生きる女の矜持というか、誇りと言うか、もっと平たく言えば意地を捨てていないところが本作の救いなのかも。
凡庸な感性の俺には本作を絶賛する気にはなれないけれど、それでもオープニングシーンの音と雰囲気にいきなりワクワクさせられたりするなど、映画として質の高さは感じられる作品だった。
シンデレラストーリーもシビアになりました
現代版「プリティウーマン」だそうです。
相当昔に見たその作品の記憶はすっかりおぼろげだけど、たしかもっと品があって夢もある感じじゃなかったか???
現代でシンデレラストーリーを作ると品も夢もなくシビアになるんですよ~というようで、ちょっと悲しかった。
そもそもシンデレラとか玉の輿とか、今はもう死語ではないの。
人生は男任せにするんじゃなくて自分の努力でつかみ取るものってのが主流だと思ってた。
んだけど、今も残る少数派はむしろシンデレラを夢見る濃度が昔よりぎゅっと濃縮されているんだと感じました。
だって、そうでなきゃ、どうみてもダメ男のイヴァンにあれほど執着しないよね。
離婚上等!こんな男いらない!とは全くならないのが切ない。
そもそも、大富豪ではあるけれど明らかなポンコツとの結婚を、アノーラは有頂天で「幸せになる」と表現するし、同僚は妬む。うん、まぁそうね。そうだよね。
アノーラにとってイヴァンは天から降りてきた蜘蛛の糸。
それをつかんで上へ上れば今いる世界から足抜けできて最上級の未来が約束されている。
だから、私はアノーラにあまり同情はできなかった。
イヴァンに執着するその思いが恋とか愛とかそういう美しいものとは思えなかったから。
ただ、一瞬は手に入りそうだったけれど、ジタバタ抗ってもみたけれど、結局やっぱり蜘蛛の糸は切れてしまいましたとさ。そんなお話。
この先20年後30年後にもまたシンデレラストーリーは作られるんでしょうかね。
その時世の中はどうなっていてどういった内容になるんだろうか。
ところでアノーラとイヴァンのはちきれんばかりの笑顔の宣材写真。これって2人の結婚式の場面でしょうか。絶頂の時ですよね。この後2人はああいった経路を辿ってああいった結末になるわけですが、さてそれでどうして絶頂の笑顔の2人を宣材写真に採用したのか。
ちょっと制作側の思惑を聞いてみたいところではあります。
あと、これはあまり賛同は得られないかもしれないけれど、終盤のイゴールとのからみ。
あれは蛇足かなと個人的には思いました。
どうせやるなら、取り返した指輪を投げ捨てる、くらいしてほしかった。
アノーラを演じる女優さんの体当たりの演技は素晴らしかったです。
(どんな顔して見ればいいのというシーンもちょいちょいあったが)
シンデレラストーリーと思って観ました
絵に描いたような幸せなどあるはずがない
24年のカンヌ国際映画祭パルムドール、25年米アカデミー賞で作品賞、監督賞など最多5部門を受賞したロマンチックコメディー。
監督はこれまでもマイノリティや移民、貧困層など社会の片隅で生きる人々を誠実に描いてきたショーン・ベイカー。
今作もロシア系移民のストリップダンサーの悲哀を描いている。
ストリップダンサーのアノーラ(マイキー・マディソン)は店に来ていたロシアの富豪の御曹司イヴァン(マーク・エイデルシュテイン)と出会い、故郷に帰るまでの7日間、1万5千ドルで彼女になる約束をする。
仲間を連れてラスベガスで豪遊するうちに、勢いで結婚することになる。
ここまでは「プリティ・ウーマン」よろしくのシンデレラストーリーなのだが、イヴァンは両親の財産で豪遊しているだけのとてつもないバカ息子でうまくいくはずがない。
そもそもイヴァンはロシアに帰りたくなく、結婚することでグリーンカードが欲しいだけなのだ。
結婚の噂を聞いて見張り役の司祭と手下のイゴール(ユーリー・ボリソフ)とガルニク(ヴァチェ・トヴマシアン)が2人がいる豪邸にやってくる。
映画としては中盤のここからのドタバタが見どころ。
なんとイヴァンはアノーラを置いて逃亡してしまう。
この後アノーラと3人の男たちとの30分近く続く壮絶な戦い(?)が圧巻。
アノーラが繰り出す下品な言葉や絶叫、殴る蹴るの大暴れはある意味痛快。なんとか落ち着かせて、ここからはアノーラと男3人のイヴァン探しの珍道中が始まる。
ストーリーはある意味よくある話で、伏線があるわけでもオチがあるわけでもなく単純。
この映画はストーリーを語りたいのではなくアノーラというロシア移民の強く、逞しく生きる姿を描く。だからタイトルはずばり「アノーラ」。
ただ、アノーラがなぜストリッパーとして働いているのか、家族のことなど彼女の置かれている背景はほとんど語られない。
自分では英語名のアニーと名乗り、ロシア語はわかるが喋らないことがポリシーというところにロシア移民の出自を嫌う何かがあったのだろう。
ロシアからイヴァンの両親が飛んできたあとの顛末はおおかたの予想通り。
全編通してアノーラの悲喜交交、今を逞しく生きる姿に引き込まれる。アノーラ役のマイキー・マディソンの全力の演技はアカデミー主演女優賞に値する。
降り頻る雪の中でのラストシーンは悲しくもあり温かい。
クラブのド派手なオープニングと対比する、車のアイドリング音とワイパーの音のみの静かなエンドロールは心に染み入る。
若者たち
アノーラ役のマイキー・マディソンの魅力に尽きる
ANORA (映画の記憶2025/3/9)
アカデミー取ったということで普段観ない系作品を観たつもりだったが、恋愛映画ではないな。
総じて言えばコメディ映画か?
ちなみに当たり前だがお子様はNGだな。
内容的には実話ベースだから良くできてる。途中からこのペースで前半部分やったら飽きられるなと感じたのかコメディ化が始まった。
実話と比べて脚色部分がどこか調べてみたいよね。この話。
前情報入れてなかったから、もっとロミオとジュリエット的な流れかと思ってたわ。
主演女優の方はポールダンスやら風俗店での振る舞い方だったり覚えるの大変だっただろうな。
思いの外悪くなかったが、これがアカデミー賞で良いのか?(本命のSNS炎上で消えたとかあったとしても)
(個人的評価6.5点/10点中)
え!?これが?!
まるで落語!!
廓話の様です。
遊郭に遊びに来た大店のアホボン。
ノリで女郎を請け出したものの、その身代金は親の金。
怒った親が来ると聞いて、尻尾を巻いて逃げ出しちゃったからさあ大変。
大旦那の言いつけで若旦那を探す番頭さん手代さんの面々が、どいつもこいつも間抜けで、本当に落語!
そして実は、大旦那より怖いのは女将さんだし。
ヒロインのアノーラが、これまた、ちっとも大人しくしてないよ、あんたはチャキチャキの江戸っ子かよ!!
大笑いしながらも、しんみりもさせられる人情噺に仕上がってましたね。
この映画をアカデミー賞に選んだ審査員に、川島雄三の映画を見せて感想を聞いてみたいと、ふと思いました。
ヒロインが、タイタン太田光代社長の若い頃にちょっと似てるので、太田光さんにも(勝手に)おすすめしたい(笑)
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