ANORA アノーラのレビュー・感想・評価
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ショーン・ベイカーの抜群の構成力
ショーン・ベイカーの脚本 下世話な題材ながらいつも通りすごくうまいですねー。
序盤アニーとイヴァンの出会いから結婚まで(ビジネスライク→微妙に本気へ)が畳み掛ける様に描かれます。18禁でエッチなシーン満載で見ててちょっと恥ずかしいですが。。
中盤はコメディリリーフなのですが、ここもドタバタコントにならないギリギリの線でクスッと笑える演出。
そして終盤アノーラとイゴールの会話を丁寧になぞり、静かなラストショットへ。車のガラスに積もっていく雪がとても印象的。
今回オスカーノミニーなのでメジャーになっていくのかもしれませんが、個人的にはいつまでもインディーズの監督のままでいてほしい逸材です。
タイトルなし
ちょっと凄すぎたか…。
ガラスの靴でぶん殴ってくるシンデレラ・ストーリー。娼婦に対する容赦ない目線と、進むも戻るも悲哀な未来を想像してしまうラストの切れ味に打ちひしがれる。けど思い返すとロシアのギャング風3人組を中心に超コメディ。
こんなに救いようがない御曹司いる?完全にお金と結婚したんだなと。
ラストシーン切なかったなあ。結局こっちに行くしかないというか。自分的には男性器が反応しなかったことによる涙かなと解釈したんだけど、これが真実の愛とは思わないというか。同情的にではあるけれど、性対象として見てくれなかった時の打ちひしがれ方のように思えたけど。指輪へのお返しで。男側が発情してたんかな…。ちゃんと見れてないかも。
5分歩く→私は歩かない→5分以上歩いたじゃない!の流れ最高。こういう会話があるからリアリティを保てる。自分にとってクラブもストリップもリアリティがないけど、こうなんだろうなと思える。
アノーラもそうだし御曹司もそうだし、過去に何があったかを描きそうで描かないのも良い。
劇伴もしつこくないし、ラストがワイパー音で終わるのも良い。
ポップでキュートでゴージャスでビター
現代版「プリティーウーマン」リアルバージョン、爽快でハイテンションでビターでした。
突然娼婦から大富豪の妻になるシンデレラストーリー、現実はそんな上手くいくわけねーだろと言われた感じ。アニーはとても魅力的だし頭も良いけど、やっぱり普通の若い女の子で、そりゃ舞いあがっちゃうし冷静ではいられなくなる。多分、頭では分かっていたけど、認めたくなかったんだろうな。
本作は予想よりもポップでユーモアたっぷりで、娯楽作品として楽しかったです。全ての元凶であるイヴァンのチェリーボーイ感たっぷりのバカ金持ち息子っぷりや、ガルニク&トロスが社畜過ぎてどんどん不憫に思えてきたり、イゴールが一歩引いて第三者の感覚で見ていて激情するアニー達に冷静に対応しようとして逆に罵声を浴びせられる感じとか、ラストのご両親登場(特にママ)のいかにもな感じ。全部絶妙で、何やってんのと思わず笑っちゃいました。
そしてアニーの表情もまた勿論素晴らしかった。序盤のセックスや会話での全然楽しくなさそうな笑顔とか、プロポーズされてからの「マジで玉の輿イケた?!」的な半信半疑の浮かれ方とか、絶対逃さないとブチギレてイヴァンを探すも電話に出もしないことから色々察して夢から覚めていく陰り方とか、全てがリアルで共感できるものでした。
若くてキラキラ輝くアニーは可愛くて美しくて魅力的だけど、男性に奉仕してお金を得るセックスワーカーが故の、無条件に優しさを受け取れない様が哀しく憐れで、なんとも言えないラスト。でも、同時に納得感もある。イゴール…頼んだぞ。
最後が何かに響いたので
独特な映画ですが、引き込まれました
シリアスな映画かと思ったらそうでもなく、コメディかと思ったら最後はなんともしみったれたクソデカ感情を残していく。すごい映画。途中までの爆走するエネルギーが半端じゃない。普通なら喋らせないモブキャラまで自己主張させてセリフが聞き取れないくらい、盛大なカオスを繰り広げる。
一生懸命頑張ったよ!が伝わってよかったです。
きっとアニーはいつか幸せになれるし、イヴァンだっていつかは自立できると信じてる。今はその時じゃなかった、ってだけ。
映画によくある、こいつマジで根っからのクズだろ、とは思いませんでした。
イヴァンにはイヴァンの主張があり、アニーにも主張があり、イゴールにもあり、トロスにも、弁護士にも、イヴァンのそれぞれの親にも、ダイアモンドにすら、それぞれの思い、信条と主張があると思います。
それがわかっちゃうからこそ切ない映画でした。
でありながら、それぞれの想いが空回りする度に、「わかるけど笑ってしまう」のでありました。
切ないコメディ映画という感じです。
それと同時に、誰が正しいかなんて誰もわからないという、メッセージがあるなと思います。
クソエロガキの巻き起こした大騒動
うるさい
勢いのある新感覚なビターなコメディ
美男美女のラブコメでもなく宣伝文句にあるようなシンデレラストーリーでもなく
だからこそ意外性があってラストの展開まで目が離せないジェットコースタームービーのようだった
決して誰かに共感しやすい内容ではないが、最後にイゴール目線で見てしまった人ならこの作品見てよかった思えるのでは?
でも、アノーラ役の女優さん体張っていたな、久しぶりに本物の女優を見た気がします
照明でキレイに見えることばかり考えたり、いい人を演じることが女優よって思ってる人たちとは全然違う、ブレイク前だからこその覚悟と輝き
それを大きなスクリーンで見れただけでも作品の価値がありましたね
ぜひ賞レースも頑張ってほしいなと マイキー・マディソンのファンになりました
*スクリームでも見てたはずなんだけどこんないい作品に出れたなんて
今後のキャリアにも期待です
いい映画だなと思ってしまう個人的ポイントはその作品の世界観をずっと見ていたいと思わせてくれること
おとぎ話のシンデレラ同様あの二人のその後のストーリーを見てみたい
続編を作れなんて野暮なことは思ってません、ただあの後の二人がどうなるのか非常に興味深かった 素敵な余韻を残したまま映画館をあとしました
脇の登場人物もみんなキャラ立ちしてました、富豪の息子なんて本当にそうしか見えない・・用心棒二人も牧師さんもスクリーン越しに息吹を感じるほどのはまり役
役者さんも監督もはじめての人が多かったので過去の作品やこれからの作品を見るのが楽しみになりました
蛇足ですが、ヘッドクォーター実在するなら行ってみたい・・・
朝でも夜でも真昼でも恋は
予告トレーラーにて、大人の女性の気持ちいいリベンジ劇かと思いきや、雪だるま式のドタバタコメディにエンタメ意識した、ちょっとロードムービーだった。
ストリップダンサーって職業に身を置くアーニャは、シンデレラストーリーの人生一発逆転に淡い思いを乗せ生きてたんだろうな。
彼女がドタバタに巻き込まれる姿は、彼女が生きて来た人生そのものを形容してたんだろうな
別に俺もセックスワーカーが汚れた者とは思って無いさ、必要悪でも無いし、そもそも悪でも汚れた存在でも無い。
ても本作見る限りヒロインのアーニャもそこまで美しいシンデレラじゃ無かったんだろな、彼女含め登場キャラ全員が自分の都合しか主張していないw全員わがまま迷惑w
もうね最初の設定説明終わったら、ラストカットまで見やす楽し笑えるドタバタ新喜劇です。
てもね、ラスト20分から人の心、アーニャの孤独、悲しみを流し出す。
差し出されたロックグラスに注がれるウォッカの透き通る美しさよ。
50度は有るだろう強い酒に向こうも見える程の透明感。
分け合う紙巻きタバコに灯る、3分で消えてしまう運命の小さな火。
やっと気づいた近くに居た理解者。
名前の意味には拘らないと言ったアノーラの切ない人生を全て絵にしたカットのラストシーンよ。
声も出せずただすがり泣きたかった彼女の弱さと本心。
エンドロールにサントラBGMも無く、無音に淡々と白文字のスタッフロールは心に余韻を刻み込む、彼女はバカで愚かだったけど、美しく本心を捨てないステキな女性だったな。
エンドロールで泣く
ほんと、馬鹿息子だよな
ニューヨークでストリップダンサーをやってるアニーことアノーラはロシア系アメリカ人。客としてやってきたロシア人の金持ちの息子イヴァンからの高額報酬の契約で彼女になる。仕事かなって思ってたら、結婚することに。えっ?2人とも、惚れた理由は何だったの?中盤までずっと楽しい2人の関係。そもそも映画館でこんなにセック○シーンを観たの、初めてだったかな。何人ものオッパイに驚いた。ちらっと見えたチ○コにもビックリ。あまりに楽しくてオチが全く想像できなかった。なんて思ってたら、結婚して2週間後にイヴァンの父親の手下がやって来て、2人を別れさせようとする。あぁ〜、この戦いがラブコメの締めくくりになるんだろうなって想像。あれ?イヴァンが居なくなったぞ?探し回るアニー達。モヤッ!次の日にはロシアからイヴァンの両親がやってきた。そりゃ息子がアメリカの娼婦と結婚するなんて嫌だよな。そして予想外のラストへ。えっ!ハッピーエンドじゃなかったのね、残念。ラストは納得出なかったが、ずっと楽しかったです。
わがままを通せるほど強くない
エロの欲望を突いてからの珍道中
中々面白い。
前半はエロエロイケイケで華々しく突っ走る。
豪華なアメリカが満載。アメリカはこんなんでいいのかと思えるほどのどんちゃん騒ぎ。
しかし、ロシアのボンボンは金の力で男の欲望を全て満たして、うらやましいと思った。
中盤はボンボン探しの珍道中。
この道中が中々面白い。
そして最後は現実に戻る。
この監督は社会の下層の人々を優しく描いてくれる。
レッドロケットもフロリダプロジェクトもそうだった。
今回のラストは前二作より余韻が残るラスト、ワイパーの音の余韻が心に染みる。
イゴーリが寡黙でまともな人で、全般的に馬鹿騒ぎ感の中のおもりとなっている。味がある役者だと思って調べたら、「コンパートメントNo.6」の人だった。
あの作品でもいい味出していた。しかもどちらもおばあさんを大事にしている。
その後彼にはハッピーになって欲しいが、そうは単純に終わらないのがこの監督。これもラストの余韻に響いている。
ないまぜになった想いが
リアルみとコメディの切ないハーモニー
幸せは歩いて来ない、だから歩いて行くんだよ
前半と後半の一変する展開が象徴するように現実社会の哀感を表していましたね。
クラブで店員と客として偶然出会った二人。しかし生活環境がまるで違う二人。
ロシアの御曹司と過ごす時間はアノーラにとってまるで別世界。
そこから結婚までの流れも若い二人ならあり得ないことでは無いでしょう。
でもあの時二人には間違い無く愛が存在していました。
でも自らの力で富を手にしたわけでもなく何の力もないイヴァンが親に逆らう術などある訳もなかったですね。
イヴァンを信じ、愛を信じて語るアノーラの声はもう届きません。
もしかしたらと願う思いと、やっぱりそうだよなと納得する思いが見ていて交差しました。
まあ現実はこんなもんだ。そりゃ巨万の富の元に何不自由のない生活は誰しも憧れの世界。
でもちょっと待てよ。それと人間として豊かに暮らすと言うこととは又別の話だそ。
アノーラにとっての幸せはアノーラ自身がこれから作っていけばいい。
何かとアノーラに好意的だったイゴールの胸で流した涙は切なさだったか悔しさだったか、あるいは後悔だったのか。
でも大丈夫。人は忘れると言う素晴らしい技を持っています。
いつの日かあの時の出来事も笑い話になる日がきっと来る。
そしてアノーラはアノーラらしく力強く生きて行くでしょう。
いい映画を見ました
終わって呆然
ここ最近で、最も余韻に浸れた映画
いわゆる「シンデレラストーリー」という枠組みをちょっと捻って活用しながら語られる、主人公アノーラの物語。
圧倒的な貧富の格差、資本主義社会でのマネーパワーの暴力性、アメリカ内でのロシアンコミュニティとロシアとアルメニアの関係性といった大きなものから、セックスワークや非正規雇用の仕事に対する見下しや偏見、労働倫理、世代間の価値観差、親子関係のあり方、セクシャリティの違いや障害に対する蔑み、職場内の人間関係に生じる嫉妬や連帯などの一人一人の内心に関わるような個人的なものまでが、リアルかつニュートラルに描かれているが、説教くささはなく、どちらかといえばコミカルで、観終わった後にほんのり温かな余韻が残る作品。
とにかく、アノーラ役のマイキー・マディソンが魅力的だが、それ以上にユーリー・ボリソフ演じる用心棒のイゴールが渋い!
どうしたら、あのように強くて包容力のある人物に育つのか。
何より、自分はラストシーンが大好き。
ここ最近の映画では、最もエンドロールで余韻に浸れた映画だった。
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