ANORA アノーラのレビュー・感想・評価
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ただ20代なだけ
同日公開のシャラメか、R18+か。
ANORA アノーラ
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若い二人が満面の笑顔で幸せそうなポスター。そしてその横に、「ううん、現実」とある。
まあ、そういうことなのだが、なぜか、主演女優のほうのアノーラばかり肩入れ、感情移入をする傾向がある。
オレは、セックスワーカーではないから、彼女の気持ちはわからない。
だが幸せになれると有頂天になっての、掴みかけたものが奪われる悔しさはわかる。この映画の彼女のキャラクター設定については、幾多の作品群と何ら変わりはない。ただし、本作の場合は、「奪われた」ということだけではないところがちょっとしたミソだが、それでもよくある話だ。
オレは富豪の息子ではないので、彼の苦悩はわからない。
20代前半は、金を持とうが持つまいが、多くの人は人生で一番自由。彼はおそらくはいつも酔った勢いで(必要もないのに)通うアノーラの店に行ってしまうのだろうが、富豪で、女友達(そして、性欲を満たすだけの関係の相手)もいるはずの彼が、アノーラと契約し、勢いか、適当か、結婚をするのか、も分からない。
だが、貧乏学生だったオレが、そんなところに行って、勝手に恋に落ちても、契約なんかできないから、オレが20代だったら、そいつをバカだとは思いもせず、むしろ憧れたことだろう。
これは、「プリティ・ウーマン」の現代版、若者版、「ううん、現実」版、ということで片を付けてもいいのだが、オレはどうしても、カレは実は「描かれていない部分で」十分にもう一人の主人公だったと思う。
主人公の裏でカレが、20代らしく、羽目を外し、豪遊し、結婚を口にしたり、ヤバくなると、逃げ出す。
そしてまた酔って、「逃避」の場所へ行く。このことは実は別にアノーラでなくてもよかったんじゃないか、と思わせる重要なシーンであるが、面白おかしく描かれるところが素晴らしい。
悪役のように登場するカレのママ。だがこれはアノーラだけでなく、カレにとっても脅威。そしてパパはバカ息子というが、アノーラの捨て台詞に不気味に笑う、こちらも少し理解しがたいパパ。
だがカレをバカ息子と言っていいのは、父親、そして彼をクズと言っていいのは、目付で世話を焼く取り巻きだけだ。
とてもじゃないが、オレのようなおっさんは彼をバカやクズとは言えない。彼はただ20代前半なだけなのだ。
監督がショーン・ベイカーだから、これまでの作品群からして違うのかもしれないけれど、ポスターにあるあんな素敵なシーンの一人なのだから、彼はもう一人の主人公。
追記
今どきあり得ない聞き込みという形を言い訳にしているところが見えはするのだが、中盤にロシア系の生活が主人公たちが移動しながら描写される。アメリカ映画であんまり見ないなあ、と興味深い中盤だった。
追記2
ハゲの人
顔がまんまロシアな人だが、ちょっとある要人の顔も想起される顔で、こういう優しい(そして奥手)設定が、なかなか「ブルータリスト」と対になって面白いなと思った。
中盤のスラップスティックな転調に驚き、爆笑
今年のアカデミー賞の有力候補「ANORA アノーラ」はノミネート6部門、「名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN」は同8部門でともに2月28日日本公開。あちらはティモシー・シャラメ主演、こちらの御曹司イヴァン役マーク・エイデルシュテインは「ロシアのティモシー・シャラメ」と呼ばれているそうで、ちょっとした奇縁も感じさせる。
「マイ・フェア・レディ」から「プリティ・ウーマン」へ受け継がれてきたハリウッド好みの“プアガール・ミーツ・リッチマン”の鉄板プロットをなぞるかと思わせる前半。ただし恋に落ちるのがロシア系アメリカ人ストリップダンサーのアノーラとロシアの超大物の放蕩息子で、出会ってほどなくエッチしまくり、早々に結婚してしまうのが今どきなインスタント・ラブというか、タイパ時代の視聴者向けというか。あけすけな性的描写は「そんなに必要?」と思わせるほど多く、わざと品格を下げているように感じられるのは自分が歳を取ったからか。
2人がエッチ三昧の日々を満喫するイヴァンの家に、親の命を受けたお目付け役たちが到着してから、突然スラップスティックな喜劇に転調する。これには大いに驚き、また爆笑してしまった。この意表を突くシフトチェンジが実にうまい。お目付け役2人のうち若いほうのイゴール(ユーリー・ボリソフ)がはじめ少し不気味で、だんだん情けなくなり、いつのまにかすっかり彼に同情していた。登場人物の中で一番好きなキャラクターだ。
昨年のカンヌでのパルムドール受賞作でもある。同賞は過去にも「アデル、ブルーは熱い色」や「TITANE チタン」など、既存のモラルに挑戦するような過激な映画が数年おきに受賞しており、傾向としてわからなくもない。さてアカデミー賞ではどんな結果になるか。
どうしようもない現実の重みが心の奥深くに突き刺さる
ニューヨークでストリップダンサーをしているアノーラはくだくだな生活にうんざりしている。暮らしに希望は持てないし、仕事はキツいし。それでも日々明るく、気丈に振る舞うアノーラの前に、客としてロシアの新興財閥、オリガルヒの御曹司、イヴァンが現れ、アノーラはいつものようにお決まりのサービスで対応していた。でも、屈託のないイヴァンを側で眺めながら、彼女の顔が一瞬真剣になる瞬間を見逃さないで欲しい。アノーラは迂闊にも、そこにイヴァンとの未来を見てしまうのだ。
『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』や『レッド・ロケット』でアメリカ社会の最下層で生きる人々にカメラを向けてきた監督のショーン・ベイカーのタッチは、今回も鋭く、時に優しいが、過去作と異なるのは、途中からアノーラとイヴァンの暴走を食い止めるための刺客が現れて、ガイ・リッチーの群像コメディに似たカオスに突入する点。そこでの速いテンポと間を外さない笑いは、映画の観客層を広げる役目を果たしている。
やがて訪れる痛ましいエンディングは、ベイカーならではの複雑な味わいだ。根強い人種差別、職業差別、性差別と懸命に格闘しても、どうしようもない現実の重みが、アノーラを介して心の奥深くに突き刺さるのだ。
正にBitter End、現実は厳しい🤣
面白かった‼️観終わったら、カンヌのパルムドールに加えて、今日アカデミー作品賞を受賞したと知り、納得👍
(W受賞ってこれまで3作しか無いんですね)
映画冒頭Bitter Endと表示された通り、プリティウーマンのようなおとぎ話はありませんでした😂
登場人物すべてがキャラ立ちしていて面白かった!
コメディーっぽい内容の中にリアリティもあって、没入感がある
この映画のショーン・ベイカー監督の前作「レッドロケット」もそうですが、男女の関係性のネジれや辛い部分を描いた後に、ドタバタ劇が入ってきて、最後は本心を曝け出した上で一つの方向性を示した終わり方がなんとも後味がいいです。
「24時間ホワイトチャペル」から突然ギャグパートに入った感じで、ある意味悪ノリしたような展開になって、カオスな会話劇になるのですが、合間合間のシリアスなシーンにぽろっと大事なホンネの台詞が挟んであるのがたまらない。
女の体の価値をよく理解していて、それをお金に変えていたアノーラは、資産家の息子に見初められて結婚まで漕ぎ着くが、根本の所では遊び楽しむための価値でしかなかった事に気付かされて傷ついてしまう。
一方で冴えない平凡な男で、さらに女好きでもないのでアノーラの価値を全く理解しないイゴールに、優しさを感じて泣いてしまう。
信じていた価値が実は重要なものではなかったので、ショックを受け傷ついてしまった。
だけどそんなものが無くても優しくしてくれる事を知って、嬉しくて泣いてしまった。
シーンとしたエンドロールでそんな事を考えさせられるいい映画でした。
長い
なぜパルムドールなのか、わからなかった
面白くないわけではないけれど、不完全燃焼というか、なぜパルムドールを取る程評価されたのか全くわからなかった。
ドタバタしているだけで、心情が表現される場面はほとんどない。アノーラが最後に泣いた訳も、愛が終わったからなのか、みじめな日常に戻るのが嫌だったのか、さっぱりわからない。自宅でぼんやり観るならいい作品。
アニー
信じられない・・・オスカー受賞の評価ポイントが全く理解できなかった
終始、主人公アノーラを演じるマイキー・マディソンさんがセックスしまくるのと、“F ワード”の嵐、そして怒鳴り合うシーンが多くてうるさい
ので絶対にデートで選んではいけない作品
と、作品自体に全然魅力も見どころも無く、最後の方はいささか眠気にも襲われたほど退屈な作品だった
セックスしまくると言えば昨年の「哀れなるものたち」(2023)でオスカー受賞のエマ・ストーンさんの熱演が記憶に新しいですが、向こうはとてもアーティスティックで品があるのに対し本作はただのエロいシーンでヒドい、それが全編に散りばめられているので全くもってもう一回観ようと思えない代物
オスカーノミネート作品(観終わったらちょうど“オスカー作品賞、監督賞、主演女優賞”受賞のニュース・・・信じられん)なので見どころ、見応えのある作品かと思って期待し観ましたが全く期待ハズレ
前半のひたすらバカっぽいノリから転じて中盤からの不穏な雰囲気はなかなか良くて、そこからタランティーノ作品の様に予想外の方向に転げ落ちていくストーリー展開と期待したけど、全くノレない展開に飽き飽き
皆さんのレビューや解説動画で勉強させてもらおうと思います
過度な期待は禁物...笑えないコメディ、共感できない恋愛?映画
カンヌ受賞は知っていたものの、アカデミー授賞式前に鑑賞して幸運。
アカデミー賞席巻後に観ていたら、素晴らしい映画に違いないというフィルターが掛かってたかも。
余談ない感想としては、コメディとしては然程笑えないし、Rotten tomatoesの評が信じられないくらい恋愛要素を感じない。
前半、ひたすらsex。
後半、徹底的にアバズレ扱い。
ラスト、セックスワーカーとしてしか感謝を示せないヒロインの涙にこそは共感したが...。
本作の何処らへんが、アカデミー賞に相応しのか疑問符だけが残る映画。
アノーラの生き様に何を感じる?
とにかく自分。
そうなるよね~ そんな展開
前半部分は最近稀に見るようなおっぱいの連続!
結婚してからは「うーん、予想通りだよ、だろうね」な展開になります。
21歳のイヴァンは肉欲に溺れ、それを恋だと思い違いして結婚を願う(永住権取得のための皮算用もあるとは思いますが)のは理解できるとしても、アニーは結婚を決める決断のタイミングがどこだったのかがわかりませんでした。
それは、これから先の生活が苦労することはなく面白おかしくなるだろうとか、今の生活から脱却できるというような打算は大いにあると思うのですが、その割には離婚や婚姻の無効に対して文字通り体を張った抵抗を見せるのが不思議でした。
そんなワタシの疑問とは別にスクリーンで展開されるあんなこと・こんなことにクスっと笑いや爆笑が客席に巻き起こります。楽しいです。
そしてワタシがいいなと思ったのはイゴール!澄んでいて優しいまなざしが人の好さを表していますね。
イゴールという名前には勇者の意味もあるとのことで、私の脳裏には古の格闘家イゴール・ボブチャンチンが浮かんできて、いつロシアンフックが炸裂するのだろう?なんて本筋とは関係ないところでワクワクしてしまいました。
レビューを書いているのはアカデミー賞の発表前、果たして受賞する部門はあるのでしょうか?
現実という世界の切なさ
ストリップダンサーのシンデレラストーリーと思いきや、ちょっと違った感じの作品。 本年度ベスト級。
結構、賞を取ってるしアカデミー賞にもノミネートされている作品だけど自分的に満足度は低め。
そんな中でも主演のアノーラ(源氏名アニー)を演じたマイキー・マディソンさんが美しく素晴らしい演技だった。
ストリップダンサーとして生活するアニー。
ロシア人の御曹司のイヴァンと1週間の恋人契約を結び、ヤリまくる感じ(笑)
ここまではエモい映像や音楽が素晴らしかった!
でも、それ以降は雰囲気が一変!
ドタバタコメディー映画に変貌(笑)
ラスベガスで勢いで結婚するものの、イヴァンの父親が結婚を解消しようと部下をアニー達の元に送り込む展開。
アニーは部下のイゴール達に拘束されイヴァンは逃亡。
アニーやイゴールがイヴァンを車で探しに行く感じ。
イヴァンが逃げ込んだ先も最低だった。
まあ御曹司のイヴァンがクソ過ぎて観ていて気分が悪くなる(笑)
アニーを応援したくなる。
アニーを拘束したイゴールが意外と優しい人だった。
ラストのアニーとイゴールの車の中のシーン。
意外にも敵対する2人の間に絆が生まれた感じ。
本作の中で好きなシーンとなりました( ´∀`)
アノーラには幸せになってほしい
先週から体調を崩してしまい、観たい作品を何本も逃してしまいましたが、今日はちょっと体調が回復したので1本だけ観ようと思い、上映時間の都合のよかった本作を鑑賞してきました。
ストーリーは、ニューヨークでストリップダンサーとして働くアノーラが、たまたま店に訪れたロシアの富豪の御曹司イヴァンに気に入られ、15000ドルの報酬と引き換えに彼が帰国するまでの1週間を「契約彼女」として過ごすことになり、イヴァンの友人たちも巻き込んで贅沢三昧に遊びまわった二人は、その場のノリと勢いで結婚してしまうが、ロシアにいるイヴァンの両親はその噂を耳にして激怒し、すぐさま息子のもとに配下の者を遣わし、自らもアメリカに乗り込み、アノーラとイヴァンの仲を引き裂こうとするというもの。
序盤からテンポよく展開し、サッパリしたアノーラの性格も手伝って、なかなかおもしろかったです。富豪の御曹司の火遊びから始まったアノーラのシンデレラストーリーが、ジェットコースターのように徐々にボルテージを高め、一気に加速していくさまが心地よいです。経験の浅いイヴァンがアノーラに夢中になるのも、生きるために必死なアノーラがイヴァンの財力に惹かれるのも、どちらにも共感できます。
そんな二人のもとに、イヴァンの両親の指示を受けたトロスによって、ボディガードのガルニクとイゴールが尖兵として送り込まれたあたりから、物語が大きく動き出します。電話で説得を試みるトロスに悪態をつき、屈強なボディガード二人に対しても全く引かず、大立ち回りを見せるアノーラがメッチャ楽しいです。加えて、そんな妻を置き去りにして一目散に逃げ出すイヴァンとの対比も鮮やかです。
さあ、アノーラとイヴァンは障害を乗り越えて、身分違いの恋を成就させることができるのでしょうか。このままコミカルなノリで二人の行く末が描かれることを期待してテンションが上がります。それなのに、後半は思いがけず、少々重い展開に…。おまけに、イヴァン探しにもたついてテンポも落ち、ややダレた感は否めません。
しかし、終盤になって、クズ男・イヴァンに代わって、口数は少ないが存在感を発揮していたイゴールが急浮上!登場時からどこか心根の優しさを感じさせ、いい味を出していたイゴールですが、やっぱりいい男でした。彼の存在が雰囲気を一気に押し上げ、そのまま終幕を迎えることでもたらされた余韻が実にお見事です。
おかげで、アノーラの胸に残る思いをあれこれと想像してみたくなります。莫大な富を逃した悔しさ、自分本位なイヴァンへの怒りなど、おそらくそういう感情もあったでしょう。でも、彼女の心を最も抉ったのは、自分を一人の人間として認め、心安らぐ居場所を与えてくれると信じていたイヴァンの裏切りではないでしょうか。愛というより信頼に対する裏切りに、深く傷ついたのではないかと思います。今後の彼女の生活が、つつましくも幸せなものであってほしいと願うばかりです。
主演はマイキー・マディソンで、女優魂を見せつけるような体を張った演技が秀逸です。脇を固めるのは、マーク・エイデルシュテイン、ユーリー・ボリソフ、カレン・カラグリアン、バチェ・トブマシアンら。
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