ANORA アノーラのレビュー・感想・評価
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あっという間に見終わりました
没入感半端なかったです!
前半のスピード感から少しずつ落ち着いてきてからの最後の静寂の中でのワイパー音のみの魅せ方は良かった👏
全員のキャラも良かったし、金持ち息子のクズっぷりの演技も素晴らしかったですね‼︎
前半コント見てる感じであのわちゃわちゃ感がうるさいんだけど笑ってしまった。
人として女としての成長が綺麗に見れる作品でしたね😌
アノーラを演じ切ったマイキー・マディソン
この映画が待ち遠しかった。たった2本しか見ていないのにショーン・ベイカー監督の映画が大好きになっていたからだ。今回も自分の想像を遥かに超えた展開の映画でベイカー監督がますます好きになった。
アノーラ役のマイキーはタランティーノの映画に出ていたらしいが気がつかなかった。この映画では見事に素晴らしいエロティック・ダンサーを演じた。美しいダンスと体の動き、客とのコミュニケーション能力のレベルが半端なく高く仕事に真面目な女性。経緯は語られないが頭がよく職場では一人を除き皆から愛され可愛がられ信用されている。一方で健康保険も年金その他もろもろの権利無視の職場であることをアノーラは分かっている。
イヴァン可愛い!ベイカー監督のキャスティングはうまいなあ。
アニーが言ったなかで一番刺さった言葉を自分はこう理解した:女にとって男は二種類しかない;1)女をレイプする男、2)性愛の対象が女でなく男である男性。
要するに異性を求める男はみんなレイプ魔ってことだ。レイプ魔でない男性と出会うことがなかったアニーに涙が出た。私達観客が見る映像では男性客は皆さんジェントルに映されている。そんなの嘘っぱちってことがリアルに伝わる。
「アノーラ」という名前の意味から話を始めて彼女を最後まで見守ったのは、あの最初から無言の、アニーを縛った男性イゴール。そのイゴールは無口の代わりに全てを見ている人だった。彼へのお礼として仕事の延長しか出来ないアノーラを受けとめながら、やめさせ、彼女を温かく優しく抱擁したイゴール。初めてやっとアノーラはたくさん泣くことができた。
おまけ
イゴール役は「コンパートメントNo.6」に出ていたあの彼なんだ!今回も適役で素敵だった。
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(2025.03.03)
わーい!ANORAいっぱいアカデミー賞とりました❗️
作品賞:ANORA❗️
監督賞・脚本賞・編集賞:ベイカー❗️
主演女優賞:アノーラ=マイキー❗️
おめでとうございます
おめでとうございます
おめでとうございます
ドラ息子に翻弄される者たちの、ほんのわずかな共感
ストリッパーと御曹司の許されざる関係の映画かと思ったら、そもそも恋とか愛とかこの世にありましたっけ、とでもいうような苦い話だった。
第1幕。主人公アノーラは金持ちの若者イヴァンの玉の輿に乗りたい、イヴァンのほうはロシアに帰りたくないからアメリカで結婚したい、という打算でスピード結婚。ロシアの両親にバレるとイヴァンは逃走し、あっけなく画面からも姿を消す。
第2幕。代わりにアノーラの前に現れたのは、両親に代わってイヴァンのお世話をするアルメニア人の男性3人だ。イヴァンを探すという目的のためにアノーラと4人で珍道中を繰りひろげる。ここで映画にぐっと活気が出てくる。
しかし第3幕、イヴァンやその両親と結婚を取り消すシーンはとてもあっけない。イヴァンがしれっと手のひら返ししても大した怒りを見せないアノーラ、両親相手に裁判を起こすという威勢の良さもやがてはしぼんでいく。
結局、住む世界が違うということなのだろうか。アノーラが感情をむき出しにして取っ組み合い、本音を漏らすのは、むしろアルメニア人たちやストリップ仲間なのだ。ちょうど「金持ちに翻弄される身分」どうしで共感しあうように。
しかしその関係のなかにも温かさはなく、傷つけあう様子が痛々しい。(最後まで寄り添ったアルメニア人をレイプ犯呼ばわりまでする必要、よくわからなかった。)
エンドロールには音楽もなく、白黒の画面でスライドショーみたいなスタッフロールが映されるだけ。「娯楽大作」のようなポスターから、いったいこういう結末を予想した人がいるだろうか。
(追記)以上のように結構皮肉な映画だと思うのだが、それにしてもいろいろ無理がありませんかね。
あんな両親なら「ストリッパーと結婚」で驚く以前に、息子がアメリカで遊ぶ間、24時間監視役を付けて見張っているのでは。
アノーラを強い女として描くなら、ちょっとイヴァンに対して無防備すぎる。
唯一「人の心」を持つアルメニア人も、御曹司に対し「彼女に謝るべきだ」とか、ちょっととってつけたような感じが。
🏆今年のアカデミー賞5部門受賞って凄いなオイ🏆
ストリッパーの話が今年のアカデミー賞の主要部門独占でしたね🥳R-18でストリッパーが大富豪のバカ息子と結婚する話でカンヌパルムドール作品?一体なんなの?ってところからのスタートなんですねえ🧐🤨
そもそも定番の王道ハッピーエンドを求めるならほぼアウトな話です🤣(共感至上主義者には1ミリ足りとも面白く無い内容ですがラストの後に幸福が訪れる可能性はあるんだよねえ🥹)
結局観る人ってストリッパーや大富豪の息子とか近い存在で居ないしかけ離れた世界の話だからイマイチって意見はかなりあると思いますよ!
この作品てクズを見せる作品なんだけど韓国作品とかにある一部のハードで超絶嫌〜なあの感じに一切ならないってのが(アノーラを拉致するシーンとか散々笑ったけど演出次第ではアノーラを思いっきりブン殴って言う事聞かせたりバカ息子の母親がアノーラに詰め寄るシーンも最高に嫌な気分になるような言い方とかの演出に出来たはずですから🧐)自分は逆に新鮮で粘着質なドロっとした感じがゼロって監督の作家性なんでしょうね👍(だからこそラストのあのシーンが効いてくるんすよ✊🥹)
あとファッ〇のシーンが何回もあるんだけど不思議なんだけどアッサリサッパリしていてエロさが全く無くて🙅♀️🙅♂️❌単なるワンシーンて感じでみれましたね👀🙁
この作品は没入間が凄まじくてパーティや人を探すシーンなど完全に体感型の映像でその場にいるような臨場感で(パーティシーンも実際にその場にいるような臨場感と人探してる場面とかかなり色々探し回るから観てる観客も疲れるし探す場面で中だるみみたいになるのも計算されていますよアレは!(何件探しに行くのよ?って思うくらいしつこくやってる時点で間違いなく確信犯ですね)という訳で体感させるのが相当上手いです😵💫)マジで4dxに向いてるツイスターズ🌪️や1917レベルの映像だったよ🥰(つうかマジで4dxでやれよって思ってしまったしファッ〇シーンで4dxがどうなるのか実に興味深いですね🤔)
あと笑わせるセンスが神で前半のバカ息子の仕草や刺客が送りこまれてからの一連のカオスな展開が超面白くて笑い過ぎのせいで異常に疲労しましたよ😂🤣(他の客がピクリとも笑って無いのが逆にめちゃくちゃ怖かったし🥶)
結局金がある超ドクズより金なんて無くても人としてまともで気をちゃんと使える人の方が良いよねって言う内容なのも良かったし役者の演技も細かい微表情とか凄いし‼️
ここが凄かったポイントなんですがオチの演出がめちゃくちゃ強いです💯(エンドクレジットも含めて凄いですよマジで✊)最後のあの家🏠でのアノーラとイゴールの会話と🗣️指輪の件と最後にアノーラが泣いて(あそこで抑えていた感情が一気に爆発するんだよねえ🥹)画面が暗転して静寂の中でクルマのワイパー音のみでのエンドクレジットでその後シーンとする流れなんですが💥(前半あれだけうるさかったのに静寂で終わるって中々凄いですよ!普通なら最初がうるさい映画ならずーっとうるさいまま最後まで行きますから)マジかよ‼️凄え終わり方考えついたな💥監督パネえなオイって唸らされましたよ💥(ラストの神具合はパストライブスに近いかも)
結局ラスト10分を凄いと思うか何も思わないのかが評価の分かれる境界線じゃね⤴️⤵️
あと体感時間が短く感じて(139分の作品なのに90分を切るくらいに感じましたよ)テンポが良くて前半の若さに任せて遊びまくってヤリまくる部分のカメラの躍動感のあるスピーディーな動きと 後半のカメラの動きが全く違っていてアノーラの心情に合わせたカメラの動きになっていてそこも見事だったし(カメラワークの変化がめちゃくちゃ面白いしカット割りの前半の速さと後半のゆっくりした感じで全く違う映画ってくらい違いがあって編集も凝ってるんだよなあ)まさかのアイツとの話でオチにするとか全くこちらは考えて居ないから展開としては読みずらいし最初から最後まで楽しく見れましたよ!
まあ結局はあのバカ息子とバカな母親以外はそこまでズレたバカは居なかったりするんですねえ(お父さんがバカな母親と息子の事で死ぬほど笑ってるシーンに悪意しか感じられ無くて超良いシーンだと思いましたよ😂🤣
あと送り込まれた刺客たちが実は悪い事は一切して無くてアノーラが大暴れして逆に被害者って展開も(バカバカバカ息子に今まで散々振り回されていて可哀想🥹)良くできていたしカンヌでパルムドール作品になったのも納得の脚本と映像でしたが人に勧める時に簡略的に伝えずらい内容ですがこれは観て感じてもらうしか無いと思いますよ🔥(アカデミー賞のノミネートも6つくらいされているので色々と楽しみではありますね😇)(追加しますがアカデミー5部門受賞したから書き足してます)
最後に一言🗣️イゴールがめちゃくちゃ良い味出していて最高だったで(あんなに美味しそうにハンバーガー食べるシーン見た事ないし🍔)🥹😘🫡映画を観る前にオチで途中から出てくるイゴールが最高ってなるとは普通は思わないと言うか そうなるって予想とか不可能でしょ☺️
アカデミー効果で週末とか劇場に殺到するだろうけど
観る価値あるしみんなの高評価の信頼度も高いし手堅いとおもいますよ✊カンヌとアカデミーの主要部門を取った記念に4dxでの上映やるしかないですねローソンユナイテッドシネマ🎥は🫡(この監督の過去作品みますわ✊)
頑張れ、アノーラ‼️
ニューヨークでストリップ・ダンサーをしているアノーラは、職場でロシアの富豪の御曹司であるイヴァンと知り合い、「契約彼女」として彼と過ごすうちに、衝動的に結婚してしまうが・・・‼️「プリティ・ウーマン」のようなシンデレラ・ストーリーかと思ったのですが、全然違ってました‼️この作品は、一人の女性が己の幸せを勝ち取るため、様々な障害を前に全力で奮闘する映画‼️そしてそんな主人公アノーラを全力で応援したくなる、人生賛歌な映画‼️映画はアノーラとイヴァンが知り合い、二人でパーティー、ショッピングなど贅沢三昧の末に衝動的に結婚してしまうまでの前半と、イヴァンのアメリカでの世話役や両親たちなど、二人の結婚に反対する者たちとのドタバタが展開する後半に分けての構成‼️前半はアノーラの仕事ぶりや、イヴァンとの贅沢三昧の日々が、音楽や華やかな映像でPOPに展開‼️ギリギリの生活をしながらも、活き活きと人生を楽しんでるアノーラがホントに魅力的ですね‼️そしてイヴァンとの出会い‼️最初は明るく誠実なキャラだったイヴァン‼️ところが後半、両親がアメリカに来ると知ったイヴァンの変貌ぶり‼️甘やかされて育ったワガママなだけのクソガキだと分かった時、アノーラはイヴァンとその両親、そしてその腹心らを相手に、自らの幸せを摑もうと宣戦布告‼️階級差別や職業差別、偏見といったモノに必死で抵抗するアノーラ‼️物語の根底には、そんな深ーいテーマがあって考えさせられます‼️そしてそんなアノーラに寄り添う腹心の一人、イゴール‼️アノーラは、愛、不信、怒り、裏切り、戸惑い、安らぎといった様々な感情を経て夢破れる‼️ラスト、車の中でイゴールに跨がって泣き崩れるアノーラの涙は夢破れた涙か⁉️それともイゴールという存在を意識し始めた涙なのか⁉️アノーラの夢が別の形で実現するんじゃないかなぁと思わせられるステキなラストでした‼️
笑えなかったが、たぶんコメディ。
あるヌードダンサーが、店に来た若いロシアの金持ちのボンボンと恋人契約?することから始まるドタバタストーリー。
私は波長が合わなくてほとんど笑えなかったんですけど・・・・たぶんこの作品は欧米じゃコメディ作品なんだろうな、と思います。
激昂した綺麗なお姉さんが大口開けて日本でいう放送禁止用語に当たる下品極まりない言葉(笑)をひたすら連呼するのは、もしかしたら笑い所だったのかもしれませんが、ソフトに上品に日本語字幕化されちゃうからいまいちニュアンスが伝わりませんでした。
主人公のアニーは、ボンボンの恋人として狂喜乱舞、酒池肉林(笑)の豪遊の末、降って湧いた様な幸福?を掴むわけなんですけど、途中から嫌な空気になってまるで決まり事の様に転落していきます。おそらく笑うべきシーンは沢山挿入されてはいたんでしょうけど、彼女が足掻けば足掻くほどなんだか可哀想で切なくなってきちゃいました。
アニーを演じた女優さんはシーンごとにその表情を猫の目の様にクルクル変えて時に愛らしく、時に凶暴でもあり・・・良い脱ぎっぷりも含めてかなかなか素晴らしかったと思います。
では。
ラスト10分の凄み
前半1時間くらいまでは無駄に長いし、無暗に騒がしい。
というかしつこいくらいにうるさい。
と思ってたのに、ラスト10分に凝縮されたアノーラの心情表現に、ガツンと持っていかれました。
ストーリーだけなら200字もかけずに語れるほど。
たとえば、こんな感じ。
「ストリップダンサーのアノーラが、気まぐれに遊びに来たロシアの大富豪のバカ息子と意気投合、1週間の専属契約を結び、セックス三昧の勢いのままラスベガスで結婚。お互いに本気だと信じていたのに、体面を重んじるバカ息子の親の介入で結婚はご破算に。アノーラのやり切れない涙の原因は、果たして、彼の裏切り行為への怒りなのか、自分本位な大人たちの介入に対するものなのか。」
20代前半の幼くて危なっかしい恋愛とか、悪友・親友たちとの度を超したやんちゃな遊び……良識ある大人からすれば、本当に馬鹿げていて、くだらない時間にしか見えない。
でも、誰にもなかったことにはできない。
自分たちにとってはかけがいのない、みんなが本気で楽しんだ時間。
〝確かにそこにあった〟何かを〝無かったことにしてしまう〟権威者たち。
学校でも、会社でも、集団があれば必ずそこには権威をもった人間がいて、何か問題があれば、立ちどころに元々なかったものとして解決してしまえる人たちがいる。
自分のことなのに「無かったことにする」行為に加担してしまったことへの怒りと悲しみとふがいなさ。その他諸々のやるせない感情がラスト10分で怒涛の如く、こちらの胸に入り込んできます。
前半とは打って変わって、騒がさしさを排除した無音のエンドロールが、とても余韻に残ります。
アニーが魅力的
ストーリーはシンプル。
でもアニーが魅力的で共感できるキャラなので、応援したくなる。
男性からみてもそうなので、女性ならなおさらでは?
観客の誰しも期待するような大逆転というか、相手をギャフンと言わせる瞬間は残念ながら訪れないのだが、それがこのシンデレラストーリーという究極のファンタジーにとって最大の「現実」ということ。
それが切ない。
アニーが彼氏の母親をギャフンと言わせる、言い負かす瞬間が見たかったなぁ。
でもまあ、「夢の世界に行って、戻って来る物語」と捉えることも出来る。
期待度◎鑑賞後の満足度◎ アノーラは『花』…イゴールは『戦士』…切ないエンディングに胸を衝かれ忘れ難い印象を残す…
①上手い、と思う。基本的には、身体をはって生きている貧しい女の子が、大金持ちの御曹司に見込まれて(騙されて)結ばれるが、結局捨てられてしまう、というよくある話なんだけれど、前半は妖しく艶やかに楽しく、中盤は一転ドタバタ劇の様になって笑わせ、最後にアノーラが抱えていた悲しさ・寂しさ・脆さが溢れる哀切さで締め括る、という構成。
アノーラは精一杯肩肘張って生きてるし、言葉使いは汚いし(あまりの汚さに英語ネイティブでないこちらでも笑ってしまう)で、うるさいし(ここも笑ってしまう)で、なかなか感情移入しにくい女の子だが、「一週間の専属彼女」になるのの1万ドルのオファーに対して1万5千ドルと吹っ掛けながら、直ぐ後に『本当は1万ドルでも良かったの』と言ったり、プロポーズに最初は『ウソでしょ』という態度だったのが絆されて結婚したり、ロシアから飛んできたイヴァンの母親に優しく微笑みかけたりと、根は優しい女の子だと言うのがだんだん分かってくる。
そしてラスト、したたかそうで突っ張っていて決して上品とは言えない仮面の下に、傷つきやすい女の子が隠れていたことが分かる。
誠に胸を衝かれた。
②現代のプア・ホワイトの生きづらさ・夢・希望・挫折・絶望・哀切さを、しみったれた映像ではなく、明るく華やかな色彩の映像で活写されたら右にでるものの無いショーン・ベイカー監督。(『レッド・ロケット』はややしみったれていたので印象がも一つなのかな
)
本作でもその作風は遺憾なく発揮されている。本作では逆光が効果的に使われている。
エンディングの哀切さも『フロリダ・プロジェクト』のエンディングの哀切さに通底しているものがある。
③最初は単なる用心棒に思えたイゴールの存在感がだんだん大きくなってくる描きかたも宜し。
赤ちゃんのカメラ目線はNGじゃない
最初に申し上げておきますが、ショーン・ベイカーの作品が大好きです。
ボンクラの生態を描いたら、世界一です。
映画では題材として、暴力的なボンクラ、性的なボンクラ、依存症のボンクラ、心が病んでいるボンクラなどが良く取り上げられています。自分はボンクラではないと思っている観客は、興味をもって見るからです。その結果、ボンクラ立ちは、嘲笑の対象になり、破滅にむかったり、よくても牙を抜かれてつまらない人間になり、消費されていきます。これが本当は嫌いです。ショーン・ベーカー作の登場人物は、程度の差はあれ、みんなボンクラです。しかし、彼らにはダメ人間であり続ける理由があったり、わずかながらまともなところが残っていたり、嫌いになれないところがあるわけです。それを、丁寧に、優しく、少し引いた位置から描いているところが本当にうまいと思います。本作でも、アルメニア人Toroとか、オルガルヒのお父さんとか、お掃除のLuluとかとっても魅力があります。
本作は、(昨日みた)ブルータリストと同様に3幕構成ですが、こちらはまともに3幕あります。ボーイミーツガールの第1幕、ドタバタコメディーの第2幕、エピローグの第3幕です。私的には、はっきり演出を変えているなと思いました。それぞれのパートの味を良く味わえました。そして、短いエピローグは、まあ、そう終わるだろうなと思った通りかと思ったら、最後の1分→ブラックアウト→エンドクレジットで泣きましたさ。星4つから格上げしました。二人が何やっているのか(まあ、やってるんだけど)良く分からないんだけど、良く動きを見て下さい。おそらく、ちゃんと演出してやっていると思います。
撮影監督のドリュー・ダニエルズも、前作レッド・ロケットにつづいて良いですね。Wavesのときから最高。
あと、冬のコニーアイランドで泳いでる人がいるよ。Robot Dreamsはうそじゃない?僕が行った時も、正統派ユダヤ人が黒いコート着ていっぱいいたもの。
と言うことで、皆さんにショーン・ベイカー好きになっていただいて、フロリダ・プロジェクトもみて頂きたいです。
来た!今年の暫定ベスト!
絶対気に入る予感しかしてなかったから
どうしても公開初日に行きたくて。
腰振りに始まり、腰振りに終わる。
途中、笑いとt.A.t.uアリで。
いや、もっと言いたいことや感じたことはあるのよ。
でも言語化が難しい。
久々だゎ、この感覚。
だから取り留めのない感じで徒然なるままに。
素敵な映画だったな〜
エロは多めに盛り込んでるのに、それ以外は必要最低限。
なんか今の時代に凄く合ってる気がする。
「この描写から察して」的な。
当然若いんだよね。
ヴァーニャもアノーラも。
でも周りのオトナもなんかコドモ。
かと言ってアタシ自身もそんなオトナってわけでもないから
なんか映画の渦中の人になった気になる。
不思議な追体験。
かと思えばあの落ち着き払った三十路…いる?あんな人?
居たら是非お近づきになりたし。
見た目もシリル・アビディみたいで良き。
ってか、助演男優賞ノミニーぢゃん!
陰ながら全力で応援しちゃう。
そしてなんだかやたらと煙草が吸いたくなる。
光の戦士
“シンデレラ・ストーリーのその後”というキャッチコピーがついているが、ラブストーリーでもなければサクセスストーリーでもない。
「ANORA/アノーラ」は最初から最後まで権利の物語であり、個人というものがいかに蔑ろにされているのかというテーマを痛々しく表現する映画だ。
ストリッパーのアノーラが御曹司のイヴァンに気に入られ、衝動的に結婚…というあらすじは確かにあっているのだが、事は単純な若い2人のラブストーリーとは様相を異にする。
むしろアノーラにもイヴァンにも純粋な恋愛感情は皆無なところが面白い。
周りの大人、主にイヴァンのお目付け役であるトロスは2人の結婚を「グリーンカード目的」「金」などと、自分の理解できる範疇で語りたがり、ボーッとしていると観ている側もその表面的な理解に踊らされそうになるが、本当の2人の結婚理由とはモラトリアムと契約である。
イヴァンはロシアに戻って親の仕事をさせられるのが嫌で、抵抗する為にアメリカ人になろうとした。
大人になりたくない、いつまでも子どもでいたい。渡米して親元を離れたことも、享楽的に過ごす毎日も、アノーラとの結婚や逃げ出して泥酔したことと同じく、決められた人生からの逃亡なのだ。
一方のアノーラは、全てにおいて自分で人生を決めるキャラクターである。イヴァンの契約彼女になる取引も、社会保険・失業保険・医療保険を保障してくれる職場であれば断ったかもしれない。
自分が最も高く売れる時、という見極めに従って、最も高く買ってくれる相手に売った。それは大人として責任ある決断であり、彼女が守りたいものとは契約の正当性なのだ。
アノーラにとって最もショックだったことは、愛が無かったことでも金を失うことでもなく、2人の成人が合意の上で合法的に行った結婚という契約を軽んじられていることだ。
いつの間にかアノーラがイヴァンとの間に愛情を感じている、と思った人が多いみたいだが、アノーラは愛なんか感じていない。裁判所で「愛し合っている」と述べるのは、一応結婚とはそういうものと認識されているからであり、結婚の合法性を主張するための抗弁である。
思い出して欲しい。2人の結婚後イヴァンがゲームに興じる傍らで、イヴァンに寄り添うアノーラの退屈で不安そうな表情を。あれが愛する相手と一緒に過ごす表情だろうか。
この映画で興味深いのは、イヴァンの現状を確かめに来た2人組の片割れ、イゴールの存在だ。登場人物の中で1番まともで1番優しく、イゴールだけは他の人物のことを「1人の人間」として扱う。
アノーラにスカーフを差し出したり、鼻を折ったガルニクの為に薬を取りに行ったり、常に相手のことを気遣う姿勢を見せる。
「家はおばあちゃんの家で、薬もおばあちゃんのものだ」「薬は売らない。商売じゃない」という発言も、イゴールの自身に対する責任感と他者に対する尊敬を感じさせる。
イゴールはアノーラのことを「クレイジーだ」と評するが、クレイジーなくらいじゃないとアノーラはアノーラ自身と彼女の権利を守れない。
襲われる、と思ったら全力で抵抗し、合法的な権利を侵害される、と思えば全面的に闘う。
「アノーラじゃなくてアニー」と呼ばせるアノーラは、闘う為の鎧として「アニー」という人格に「アノーラ」という本当の自分を守らせているのだ。
しかしイゴールはこうも言う。
「アノーラの方が良い」と。
最後の最後まで弱音を吐かず、涙も見せず、事態を切り開く為に闘い続けたアノーラを、1人の人間として見続け、接し続けたイゴールの偽らざる本心なのだと思う。
イゴールという名前は「戦士」という意味だ、良い名前だ、とイゴールは言うが、まさしくイゴールは戦士なのだと思う。
暴力を利用して事を成すという意味ではない。主義や信念の為に活躍する、の方が近い。イゴールの信念はきちんと他人と向き合うことであり、力も金も同情も関係なく、自分が正しいと思うことを行う事だ。
戦士イゴールはアノーラの助けになりたい、と思い彼女がその思いを受け取ってくれるまで静かに待っている。アノーラが助けを求めないなら、それは彼女の決断であり、求められないのに助けようとする行為は相手のことを軽んじている行動だからだ。
イゴールとNYに戻ったアノーラは「アニー」のやり方でイゴールと接しようとする。イゴールを突き放し、言いたい放題罵ったり、一転して性的なコミュニケーションを取ろうとしたり。
でもそれは「アニー」の枠を出ないし、アノーラの本当の心を表現しない接し方だ。
根負けなのか、それとも限界だったのかはわからないが、アノーラは最後の最後にやっと本当に自分自身をさらけ出して、ずっと見せなかった涙を見せ、イゴールの腕の中で泣きじゃくる。
アノーラの涙が枯れるまで、イゴールはアノーラを抱いていてくれるだろう。
闘う女の物語は少し前まで勝利のエンドで女性たちを元気づけるものだったが、今求められているのは傷つきながら手にする勝利ではなく、負けても傷ついても「素の自分」を受け入れてくれる相手や世界ではないだろうか。
アノーラの涙を拭うように、動き続けるワイパーの音がとても印象的だ。
0.8g
ニューヨークのストリッパーとロシアから来た実業家の御曹司が結婚したら、ダンナの親が大激怒して結婚を無効にしようとする話。
ロシア語が判るアニーが良客ヴァーニャの接客をし、ホントは禁止のアメリカバンザイなサービスをしたら、プライベートでお呼ばれする関係になって巻き起こっていくストーリー。
パパの金を散財しまくり、約束のパーティーが終わり、あらすじ紹介に記されている1週間の約束からの結婚、となかなかテンポ良くみせてくれたけれど、ガルニク&イゴール登場から親父降臨までの一つ一つの行がまー長いこと。
話しの内容はコテコテな分わかりやすいし、みんななかなかないかれっぷりだし、どう収束させるのかと期待も膨らみ面白いんだけどね。
そして今度はおまけの一夜の長いこと(*_*)
それが長いせいで、まあこんな落とし方なんだろうなと言うのが読めてしまうし、結果それほど意外性はないしそれ以外のものもないし。
もうちょっとスッキリみせてくれるとか、ヴァーニャのもう1リアクションとかあったらねという感じ。
ヤバいのはママだったのは個人的には良かったかな。
【”ストリッパーが、夢みて何が悪い!”今作はショーン・ベイカー監督ならではの、社会格差、職業差別を浮き彫りにするドタバタコメディ劇であり、ラストシーンは心に沁みる作品なのである。】
■ニューヨークでストリップダンサーとして働くアノーラ(マイキー・マディソン)はロシアの大富豪のボンボン、イヴァン(マイク・エーデルシュティン)に気に入られ、彼がアメリカに遊びに来ている一週間の間、恋人契約をし、更に盛り上がった二人はラスベガスに行き、結婚式を挙げる。
だが、その事を知ったイヴァンの監視役のアルメニア人司祭のトロス(カレン・カラグリン)は、怒り狂ったイヴァンの両親がロシアから来る前に、用心棒のイゴール(ユーリー・ボリソフ)とガーニック(ヴァチェ・トヴマシアン)を連れ、二人の結婚を無効にしようとするのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤は、アノーラが働くストリップ店での”ウヒー!エッチー!!”というシーンが描かれ、大変に宜しい。序でに、アノーラとイヴァンが恋人契約をした後に、ヤリまくる姿も大変に宜しい。(痛いから、石を投げないで下さい!)
それにしても、ショーン・ベイカー監督は「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」の可愛いムーニーや、そのお母さんハーレイを演じた鮮やかな紫色の刺青を入れたブリア・ヴィネイトなど、ほぼ素人さんを起用するのが上手い監督である。
今作で、アノーラを演じたマイキー・マディソンも、ほぼ無名の女優さんであったが、この作品での身体を張った演技は素晴らしい。
そして、この序盤での彼女の”イヴァンに気に入られようと頑張る姿”が、後半に効いてくるのである。
・愚かしきボンボン、イヴァンは、用心棒のイゴールとガーニックが、両親保有の豪華な家に来た途端に、アノーラを連れずに慌てて一人でほぼパンツ一枚で逃げ出すのである。
そして、アノーラは二人に対して、部屋の中の装飾品を投げつけ激しく抵抗するも、イゴールに捕まってしまう。だが、この時にイゴールとガーニックは、自分達は散々に痛めつけられながらも、アノーラを傷つけたりしないのである。電話線で手は縛るけれど。このシーンはとても可笑しい。だが、特にイゴールはアノーラを後ろから抱きかかえつつ、そのまま動かないのである。この姿がラストシーンに連動しているのである。
・その後、到着したトロスも含めた4人はイヴァンを探しまわる。個人的には”あんな、甘えたバカ息子は、撃ち殺してしまえ!”と思いながら鑑賞したのだが、イヴァンは捕まり、到着した両親に”バカ息子!”と罵られながら、プライベート・ジェットでラスベガスに行き、”結婚は無かったこと”にして貰うのである。
その際に、イヴァンはアノーラに対し詫びの言葉を一切掛けずにロシアに帰ろうとするのである。”アメリカなんて、来るんじゃなかった。”と言って。
だが、その時にずっと無口だったイゴールは初めてイヴァンに対し”アンタは謝るべきだ。”とボソリと喋るのである。このシーンはちょっと沁みたなあ。イゴールはずっと、アノーラの身の上を黙って聞いていたからである。
■そして、イゴールがアノーラの、線路の直ぐ傍のボロアパートに、彼女の荷物一式を持って行くシーン。彼は彼女がイヴァンから貰った4カラットの結婚指輪を(そして、その後無理やり外されていた。)ポケットから出して彼女に渡すのである。
アノーラはそれまで悪態を付いていたが、その彼の行為を見てイゴールの上に騎乗位になる。そして、彼の胸に顔を埋めて、初めて激しく泣きじゃくるのである。お金持ちに成れず、富豪のロシア人達にいいようにされた悔しさと、イゴールの優しさが綯交ぜになり感情が爆発したのであろう。イゴールはそんな彼女を胸の上に乗せたまま、黙っているのである。イゴール、とても良い奴である。
そして、このラストシーンは、私は実に沁みたのである。
<今作は、ショーン・ベイカー監督ならではの、社会格差、職業差別を浮き彫りにするドタバタコメディ劇であり、ラストシーンは心に沁みる作品なのである。>
登場人物がちょっとポンコツなのに、現実的な終わり方には違和感を感じました
登場人物がちょっとポンコツな人ばかりです。特に、出来の悪い息子を見張ってる人たちが、とてもロシアの大物から指示を受けてるような凄腕には見えないです。
出来の悪い息子が引き起こした騒動だけでもドタバタ感が酷いのに、その人たちを絡めることで、さらに映画全体(ただし前半のみ)がドタバタ劇化します。彼らの役目は、逃走した息子を探し出すだけ。彼らのポンコツぶりがストーリーに活きてこないです。そのくせ、最後まで、徹底的にポンコツぶりを見せてくれるのかと思えば、エンディングは、極めて現実的でした。
お笑い劇でなくてもいいし、無理なハッピーエンドである必要はないけれど、あのポンコツな人たちを絡めることで、息子の所業の酷さを増そうとしているような演出には、ちょっと違和感を感じました。
脳が支配されるほどのラストシーン
第97回アカデミー賞において、「作品賞最有力候補」の呼び声が高い本作。公開初日のTOHOシネマズシャンテは思ったほどの混雑とはならず、ほどほどの客入りです。なお、R18+のレイティングを踏まえますと「過激」と言うほどではないものの、性描写や言葉遣いについて不快さを感じる方はやはりご注意が必要です。或いは見方を変えると、この作品が「作品賞最有力候補」と言うのがにわかに信じられない気もするのですが、個人的にはかなり好きな作品でした。
序盤はまずアノーラ(マイキー・マディソン)とイヴァン(マーク・エイデルシュテイン)の出会いから二人の関係の急接近、そしてまさかの結婚まで発展する展開。セックスワーカーという仕事柄、間違った言動が一瞬で自らの身を亡ぼすことを解っているからこそ、しっかり見極めて判断をするアニー(アノーラの通称)。スーパーリッチで、子供のまま大きくなったようなイヴァンと彼の取り巻き達の「浮世離れ」に戸惑いつつも、決して浮かれることはなく、常に相手の本心や出方に細心の注意を払っています。
ところが中盤、イヴァンの母親(ロシア在住)の耳に「息子に女の影」の話が伝わり、それまではラブラブだった二人の周辺は一転きな臭い雰囲気に。母親の差し金で急遽捜査するように命じられたトロス(カレン・カラグリアン)は、早速イヴァンが暮らす家へガルニク(ヴァチェ・トヴマシアン)とイゴール(ユーリー・ボリソフ)を派遣します。ところが話は決着を見るどころか一層こじれておかしな展開に。母が米国に向かっていることを聞かされたイヴァンは逃走し、アニーだけでも取り押さえてイヴァンに戻るよう促そうとしますが、当然いろいろ納得がいかないアニー。そこからはアニーの「全身全霊の抵抗」に翻弄される男たちの構造が可笑しく、劇場は笑い声が絶えません。
「負けを認めたらそれが最後」と本能的に解っているアニーは決して引き下がることをしませんが、当然勝ち目がないと判れば無理を通さず最善を探る思慮深さも持ち合わせています。終盤以降の展開は伏せますが、最後まで自分を貫き通すアニーは凛々しく、特にラストシーンは思わず涙が込み上げてくるのを抑えるのが必死。帰路も繰り返しシーンが甦って思い出され、しばらくは「脳が支配されている」と感じるほどアニーを想ってしまいました。
やっぱり私、ショーン・ベイカー好きだなぁ。作品賞は判らないけど、監督賞は必ず獲ってほしい!
主演女優もいいけどロシア人若手2名も良かった
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