ANORA アノーラのレビュー・感想・評価
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現実を突きつけられる
だからなんやねん!!
結構音がうるさい映画なので、映画用耳栓の着用をお勧めします。以下バリバリ主観の駄文失礼🙏私、ラブコメ作品は基本グッとこない冷めた人間です…なんでこれ観たんやろ…
アカデミー賞というところは意識せずに観たかったんやけど、うーん作品賞も主演女優賞も受賞か…よくわからんと思ってしまう。数多く上映された中でこの映画が2025年度の最も優れた作品なん?
笑えないし、泣けないし、昨日のブルータリストに引き続き一体この長い時間何を見せられてるんやろ?と思い時計を何回も見てしまった。特にあのお家の中での乱闘シーン。もううるさくてうるさくてたまらずアノーラが叫ぶシーンで観るのやめようかなとも思った。この映画、英語がわかるかたなら見方が違うのかな?とも思う。ギャグシーンとかあったんかな。
それぞれキャラクターは個性あふれているのだが、どの人にも感情移入できず。みんなめっちゃ怒鳴るし。アノーラに対してはよく考えてみ?冷静にならなあかんで。そんな上手い話あるわけないやろと🙄(辛口ごめんね、アノーラ。)最後も都合いいなあなんて思ってしまいいまいち好感が持てないキャラクターやった。ただ、都合いいなと思いつつ最後のシーンは印象的。
ここ最近のアカデミーは、大衆受けではなく通だね〜!と言われるような作品が評価される流れがあるなあと思う。
デミムーアのサブスタンスはこれから公開やからそちらに期待することにしよう…
R 18に相応しい
アカデミー賞受賞とお洒落なポスター、彼女を誘って観に行くと引かれてしまうくらいR18に相応しい前半。
いきなり説教を始めるトロス、鼻が折れて吐くほど気分が悪いのに行く先々で女の子を口説いてるガルニク、サイコ野郎ゲス男がだんだんとカッコよく見えてくるイゴール、アルメニア・トリオが憎めない、愛おしくさえ思えてくる中盤。
降り頻る雪、車内に響くエンジン音と断続的なワイパーの音、どんな美しいメロディや歌詞よりも哀しく胸に残るラスト。
アカデミー賞作品賞に相応しいかどうか、賛否はあるだろうが、賞を狙いにいっているような作品じゃないこういった作品が受賞するのは嬉しいサプライズですね。(近年はアカデミーがサプライズ狙いにいってるみたいですが)
どこまでも応援したくなる魅力的なアノーラを演じたマイキー・マディソンは文句なく主演女優賞に相応しい。
HEAD QUARTERSへ行きてぇー!
世界中のアノーラたちに幸あれ
祝!本年度アカデミー賞作品賞受賞!
昨年度のカンヌ国際映画祭でもパルムドール受賞!
カンヌのパルムドールとアカデミー作品賞をW受賞したのは『パラサイト 半地下の家族』以来。
どんだけ敷居の高い作品かと思ったら、これが意外や意外。
身分違いの恋×シンデレラ・ストーリー。
私的にはドタバタ・コメディにも思えた。
だけど勿論、ただのそれだけじゃない。
身分違いの恋×シンデレラ・ストーリーに一捻り。
ドタバタ劇はヒロインのパワフルな姿。
アノーラに喝采!
NYのストリップクラブでダンサーをするロシア系アメリカ人のアノーラ。通称アニー。
生活は貧しく、特に夢も無く、安い賃金の酷い職場で、毎日毎日客の相手。
この社会のピラミッドの底辺。それがある日突然一変するのだから、人生は分からない。
ロシア語を少し話せるので、ロシア人客の相手。
今時な青年。名はイヴァン。
ロシア語で会話したり、その場のノリノリ雰囲気で楽しい一時を過ごす。
この時一回限りの客かと思いきや、気に入られ、彼の自宅へお呼ばれ。
訪ねてみたら…、驚いた!
粗末な我が家なんて言うが、超豪邸。セキュリティも万全、家の中は広く、高価そうな家具、エレベーターも付いている。専属家政婦もいる。
あなた、何者…?
ちょっと濁すような言い方だが、両親はロシアで“凄い人”らしい。ググればすぐ出るほど。
イヴァンは超金持ちの息子。ボンボン、御曹司。
しかしそんなお高い性格じゃなく、人懐っこく、無邪気な子供のよう。アニーにぞっこん。
アニーも超金持ちの息子と昵懇になれて、豪邸で過ごせて悪い気はしない。
以来、何度かお呼ばれ。お酒を飲んで飲んで、ヤッてヤッて、楽しいエッチな時を過ごす。
ある時イヴァンから提案。ただの客じゃなく、専属になって欲しい。つまり、“契約彼女”。
一週間。報酬は1万5000ドル。
双方合意の上でのお遊びの筈だった。
イヴァンはセクシーでキュートでホットな“彼女”を自慢。
友人らを招いたり、外で遊び歩いたり、毎日毎日どんちゃん騒ぎ。
ベガスにもひとっ飛び。美味しいもの食べて、お酒ガブ飲みして、時にはハイになって、勿論ヤッてヤッてヤリまくって…。
クッソ、金がありゃ何でも出来る。羨ま…いい加減にしろよ、こら!
ずっと底辺にいたアニーにとっては、信じられない別世界。そこに、アタシがいる。
やっぱり悪い気はしない。イェーイ、サイコー!
楽しい時はあっという間。一週間なんて秒。
イヴァンはロシアに帰ったら父親の会社で働く事が決まっている。が、どうもイヴァンは両親の事が好きじゃないよう。
ロシアに帰らず、このままアメリカに残りたい。
方法は一つ。アメリカ人と結婚して、アメリカ人になれば…。
例えば、君と。
…えっ? プロポーズ…?
いつもおふざけのイヴァンもこの時は真剣に。
あくまでお金や契約など割り切ってたアニーも、熱い想いがたぎる。
そのままの足でチャペルに赴き、結婚。夫婦に。
君を愛してる。あなたを愛してる。
世界は私たちのもの。世界は私たちを中心に回っている。
合意の上の契約交際が本気となり、結婚。
王道の身分違いの恋×シンデレラ・ストーリーは、エネルギッシュで若さに溢れたラブストーリーに。
ひと昔前の映画だったら、ここでハッピーエンド。
でも、まだ半分も経ってない。
それにたくさんの映画を見てれば、何となくこの後の展開は予想出来る。
一見、ハッピー。が、違う見方をすれば、ハイテンション女の子と金持ちバカ息子が衝動的に結婚しただけ。
ハッピーエンドだけで終わらない。
イヴァンが結婚した。しかも、娼婦と。
噂で持ち切りになる。NYに住むとあるロシア人たちの界隈で。
アルメニア人のトロスは、子供の洗礼式の途中、誰かからの電話に冷や汗。二人の男、ガルニクとイゴールをイヴァンの豪邸に向かわせる。
アニーとイヴァンが真っ昼間からヤッている所に、やって来たガルニクとイゴール。
イヴァンは物凄い剣幕で追い返そうとするが、二人は引き下がろうとしない。
トロスやあなたのご両親から言われてきました。
“両親”という言葉に急に萎縮するイヴァン。
何故彼がそんなに両親にビビるのか。まあ、すぐ予想は付く。
ガルニクとイゴールは雇われ用心棒。トロスはお目付け役。
つまり、“そっち”の世界。
イヴァンの両親はただの超お金持ちではなく、ロシアの裏社会の超大物。ロシアのゴッドファーザーのような、新興財閥の一族だった…!
息子の衝動結婚に猛反対の両親。離婚ではなく、そもそも結婚を無効にする為、こちらにお出でになるという。
その間、トラブルが無いように。トロスもイヴァンの豪邸(正確にはイヴァンの“両親”の豪邸)に向かい、ガルニクとイゴールに釘を刺す。
ところが、イヴァンが隙を付いて逃げ出す。アニーを置いて…。
哀れ置き去りのアニー。ショックに沈むかと思いきや、ギャーギャー喚き、Fワードを吐き散らし、物を投げ付けるわ、逃げ出そうとするわ、大暴れ。
ガルニクとイゴールも負傷するほどたじたじ。力自慢のイゴールがようやく取り押さえる。
トロスがやって来てもまだまだ収まらない。
仕舞いには、「レ~イ~プ~!」と大絶叫。
猿ぐつわで黙らせ、少し冷静になり、トロスと取引。
アニーはイヴァンと会って話したい。この結婚が合法である事、私たちは愛し合っている事、無効になど絶対させない事。
話せばいい。が、イヴァンを探し出したら、即結婚無効手続き。勿論手切れ金は払う。
目的は違えど、逃げたイヴァンを探したいのは双方同じ。
イヴァンを探しに4人で街をあちこち訪ね歩く事に…。
幸せの頂点から、一気に急落。
怪しい男どもと逃げた夫探し。アタシ、何やってんの…?
見てて気の毒なアニー。トロスたちにもちと同情。ボスの命令とは言え、バカ息子に振り回され…。うんざり面倒臭い仕事。
真冬の夜。手掛かりナシ。疲労困憊。イライラも募る。
それでもまだアニーはイヴァンを信じていた。
探し回って、探し回って、遂に意外な場所で見つかった。
イヴァンと出会ったアニーの元勤め先のクラブ。そこで泥酔した状態で、アニーの同僚とやってる最中に…。
イヴァン確保。でも、これで終わりじゃない。寧ろ、ここから。
アニーはイヴァンと話をしようとするが、泥酔状態で埒が明かない。
夜が明けた。たった一夜の出来事なのに、何日も経ったような…。
早速裁判所に赴いて無効にしようとするが、ベガスで結婚したのでベガスで手続きしなければならない。
何処まで面倒掛ける!? イヴァンの両親が来る前までに済ませておきたかったが、間に合わず、イヴァンの両親がお出でに。
母親は開口一番ヒステリック。父親に事情を説明するトロスは低頭しきり。
酔いが醒めてきたイヴァン。面と向かってバカ息子、バカ息子と言われ、さすがのバカ息子も言い返すかと思ったら、根っからのバカ息子だった。
両親の言いなり。両親と会う前の威勢の良さは何処へやら…。
やっと気付いたアニー。気付くのが遅いかもしれないが、彼女は最後の最後まで信じていたのだ。それだけに…。
イヴァンの両親はアニーをアウト・オブ・眼中。殊に母親は話し掛けてようやく顔を合わせたら、あからさまに見下し。アンタや家族や友人皆を破滅させてやるとまで脅し。
イヴァンはイヴァンで、あんなにヤリまくって愛し合ったのに、急に冷めたように…。
イヴァンも、この家族も、最ッ低!
無効手続きにサイン。去り際、クソ最低一族に“餞別”の言葉。
ここにアニーの味方はいない。ただ一人を除いては…。
イヴァンの両親は最低。(父親は最後、母親に言い返したアニーに喝采大笑い)
アニーを置いて逃げ、挙げ句両親の言いなりのイヴァンもクソ男。
そんなクソ男に惚れるアニーも…との意見は少なからずあるが、誰がアニーを責められようか。
ただただ真剣に愛を信じ、真っ直ぐに、幸せを自分で掴み取ろうとしただけ。
生まれや自分の境遇や逆境や偏見にも負けない。めげない。
社会の底辺で生きる人々を描いてきたショーン・ベイカー。その一つの到達点。
開幕からテンポ良く、飽きさせない演出力は確かなもの。
センスやアート性を感じつつ、本作はエンタメ性もあり。
見た事ある監督作は『フロリダ・プロジェクト』くらいだが、ずっとインディーズ・シーンで活躍してきた異才が、カンヌやアカデミーで頂点に。
監督もまた“アニー”のような体現者であろう。
立役者がもう一人。マイキー・マディソン。
突如として現れた新星と言われているが、映画出演はちょいちょいあり。『スクリーム(2022)』は印象に残った。
脇役だった彼女を監督が大抜擢。初の主演や監督の期待に遥かに応えた。
大ハッスル! 笑って、ハイになって、喜んで、楽しんで、喚いて、叫んで、暴れて、パニクって、ショックして、悲しんで、泣いて、全ての感情を。それでいて力強く、ポジティブに。
大胆なヌードや激しい濡れ場も体当たり。(監督とマイキーの双方の合意でインティマシー・コーディネーターは付けなかったという)
セクシー、キュート、作品の源とでも言うべき圧巻圧倒の演技力、存在感。
マイキー・マディソンの魅力、大大大爆発!
それにしても『スクリーム(2022)』からメリッサ・バレラやジェナ・オルテガに続き、また一人飛躍したね。改めて『スクリーム(2022)』見直したいなぁ…。
実はアカデミー主演女優はデミ・ムーアを応援していたが、マイキーも分かる気がする。いずれ『サブスタンス』を見てから自分なりの判定を。
クソバカ息子を演じたマーク・エイデルシュテインもある意味天晴れ。彼のクソバカぶりが無かったらアニーは輝かなかった。
監督の才とマイキーの魅力炸裂だが、MVPが。イゴール役のユラ・ボリソフ。
前半はほとんど無口。でもその分、誰よりも事の成り行きを見つめ、アニーを見守っていた。
言葉は発せずとも、不器用ながらも時々、アニーにスカーフを差し出したり、ペットボトルを渡したり。
彼の眼差しが物語ってる。アニーに同情。彼女の力になってやりたい…。
アニーにどんなに罵られ、侮辱差別的な言葉言われても(アニー、なかなかに言葉が悪い…)、陰ながら寄り添う。
無効手続きの場。ずっと無口だったイゴールが、思わぬ言葉を。
イヴァンはアニーに謝るべき。
よく言った、イゴール!
アニーが帰るまで付き添い。最後の夜、二人で酒やハッパをやりながら、他愛ないお喋り。
アニーの言い方は変わらずキツいが、イゴールも意外と饒舌。笑うとナチュラルなナイスガイ。
アニーは自分の事を“アニー”と呼ばせているが、イゴールは本名の“アノーラ”の方がいいと。
“アノーラ”の名前の意味は…。
カンヌやアカデミーを獲ったからって、お高く身構える事はない。
他愛ない話を捻りを加えて面白おかしく。
何より逞しいアノーラの姿に元気や勇気を貰える。
何か、思ってた以上に面白かった。
カンヌやアカデミーがこういう作品を選ぶとはねぇ…。
『オッペンハイマー』とは大違い。
人によって好みはあるかもしれないけど、近年のカンヌやアカデミーでも割かし間口は広い気がした。
だけど、明るさ楽しさだけじゃない。最後の最後はしんみりさせられた。
アノーラを自宅アパートまで送り届けたイゴール。
預かっていたイヴァンとの結婚指輪を返す。
何の感情に付き動かされたのか、イゴールとSEXを。
二人が惹かれたのは個人的には蛇足感。シンパシーだけに留まって欲しかった。
が、キスを返そうとしたイゴールを、アノーラは叩き返す。
そこに恋愛感情は無く、寄り添ってくれたお礼だったのかもしれない。
それにアノーラは愛に裏切られたばかり。まだ新しい恋もする気は起きない。
途端に泣き出すアノーラ。これまでずっと強気でいたが、急に悔しさが込み上げてきたのか。
言葉無く、ただ抱き締めるイゴール。
アノーラもイゴールも社会の底辺で生きる者。
いつだって彼らや同じ境遇の人々は、金持ちバカ野郎どもの犠牲者。
彼らのリアルな姿、涙、声を聞け。
そして世界中のアノーラたちに幸あれ。
ええー?
アカデミー賞後
これが今のアメドリなのか…
何故に?作品賞?なのか?賛否分かれるのは納得。
脇役こそが私たちの主人公
たまたま富豪の息子と出逢って意気投合し、結婚して幸せになる絵に描いたようなシンデレラストーリーなんて現実にはなく、そうなりそうになってもすぐに転げ落ちていくリアリズムを描いた映画。
金持ちドラ息子の気まぐれを本気にしてしまったが為にすべてを失うアニー。
富豪夫婦の手先の末端として仕えるイゴール。
映画やドラマでは脇役として描かれがちなこの2人こそが現実にはたくさんいて、それを真正面から映し出すショーン・ベイカー監督らしい作品。
抗いようのない圧倒的な力を前に屈するしかないアニー。たとえ娼婦だと誤解されるような仕事に就いていたとしても、同じように幸せを求める権利があって、自分の尊厳は誰にも奪えないのよと叫ぶ。
こういったメインストリームではない人にフォーカスした映画は好き。
でもちょっと物足りないかも。それぞれが自分の主張をするだけの応酬などは観ていてすこし辟易したかな。
絶賛されるほどかしら?という想いはあるわね。
まあ、良い映画ではあったけれども。90〜100分くらいに収めてくれていれば尚良かったかも。
アメリカにアメリカンドリームなど、もはやない。
アメリカ映画だし、アカデミー賞作品賞なので「プリティー・ウーマン」のような素敵なシンデレラストーリーの筈で、辛い出来事があってもどんでん返しのハッピーエンドが待っているものかと真面目に思っていた。しかし、。コメディタッチのドタバタはあるものの、映画はあくまで冷徹に今の世の中の当たり前の現実を突きつけてこの物語に決着をつけた。
持ってる人間は裕福で、持たざる人間は貧乏で、這い上がることなど出来ない。アメリカにアメリカンドリームなどもはやない。トランプ側について環境を破壊し、性差別をする方が生きていける。ロシアもプーチン側につき武器商人にでもなった方が富を得る。ロシアの富豪のバカ息子が勢いで結婚したのはアメリカの市民権(トランプは世界の金持ちに市民権を売ると言うほど価値あり)をとってみたかっただけ。愛などは微塵もない。観てて、しんどい映画でした。
マイキー・マディソンの体当たりの演技のアカデミー主演女優賞は納得。
だが作品賞は「名もなき者」にとってもらいたかったなぁ、。
夢は見えるが掴めない
ショーン・ベイカーと言えば、フロリダ・プロジェクトが印象的だ。ディズニー・ワールドのすぐ側のモーテルに住んでいる親子が目の前に見えている夢の国だが、そこへ行く夢さえも叶わず、日々の生活に困窮している社会問題を提起した作品である。
本作も同様のテイストで、ストリッパーをしているアノーラが富豪と結婚し、セリフにもあるディズニー・ワールドに行くという夢を寸前で掴み損なってしまうという共通点がある。
ショーン・ベイカー自身がディズニーに思い入れがあるかは分からないが、低所得者との対比でディズニー・ワールドを出してくる辺りが共感しやすい。
フロリダ・プロジェクトはドキュメンタリータッチで音楽も殆ど掛からず、淡々と進行していく印象だったのに対し、本作はエンターテイメントとしての要素もありとても見やすくなっている。と思ったが音楽自体は店やプレイヤーから流れる曲ぐらいしか無いので環境音としての音楽がなければ、フロリダ・プロジェクト同様に硬派になっていたかもしれない。
逆に音楽すら日常的にない生活がフロリダ・プロジェクトなのかもしれない。
正直、本作が作品賞を取ると考えていた人は少ないのではないだろうか。作品賞=硬派というのがこれまでにあったが、エブリシングが取ってからアカデミーとしてもやはり業界が盛り上がるような作品、つまり万人受けしつつテーマ性のある作品が近年選ばる傾向にあるのだろう。
口喧嘩を楽しむ映画!?
とてもよかった
アニーの暴れん坊ぶりが凄まじい。『プリティ・ウーマン』の現代版みたいな触れ込みだったけど全然違う。話は途中からアニーと用心棒たちがバカ息子を探し回る話になる。彼らが目的は同じだけど各々考えや気持ちが噛み合っていないところが面白い。
アニーがバカ息子の母親に塩対応されて可哀想。ラスベガスからの帰りは自家用ジェットにも乗せてもらえなくてエコノミーで帰る。本当にあんな家族の一員にならなくてよかった。
いいぞいいぞ、行け行けアノーラ!!
これまで見た中でダントツ一番に色々桁違いのバカ坊ちゃん。
アノーラとの関係は、お互いに欲しいものを与え合った気もするけど、何しろ相手は頭スカスカ馬鹿坊ちゃん。
キラッキラなパッケージに皆寄ってくけど、中身は不良品かもしれない坊ちゃん。
でもこのレベルの大金持ちなら中身は入ってなくても、気前よく支払いしてくれたら皆気にしないから、本人も気にする必要なかったんだろな。。
この子の最後の良心は一緒に逃げようとした所までだったな。笑
いいぞいいぞ、やれやれアノーラ!!
自分がいかように傷つこうとも、相手に必ずダメージを与えるやり方、嫌いじゃない。
なんでも持ってるからって何やっても良いってわけじゃ無いんだ。
自分の権利は主張すべきだし、自分が信じたものを自分の目で確認する彼女の勇気はすごくカッコよかった。
好き!!
ノーマル版タランティーノ
今年のアカデミー賞で最多5部門(監督・脚本・編集のショーン・ベイカーは一人で4冠)を受賞した。カンヌは「バービー」のグレタ・ガーウィグ監督が審査員長なればこそのパルムドールだと思っていたがハリウッドでもこの「性労働者」を真正面から捉えた独立系映画が選ばれたことが今の時代を象徴していて快挙だろう。主演女優賞を獲ったマイキー・マディソンは監督賞のオスカー像を手渡したタランティーノが「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」に起用していたのがきっかけだそうでそういえば本作も放蕩バカ息子の親から雇われたチンピラ3人組が登場する後半は俄然タランティーノ風味が強くなる。しかしあくまで危険領域を踏み外すことのないノーマルおバカでトホホな感じが愛おしく腕力担当のイゴールもちょっと良い男過ぎて大雪が降る車内での感動エンディングシーンへと分かりやすく導いてくれて切なくも小さなハッピーエンディングに泣ける。
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