ANORA アノーラのレビュー・感想・評価
全337件中、241~260件目を表示
わがままを通せるほど強くない
娼婦と御曹司の何も成していない2人のラブロマンスは感情移入できない。バックグラウンドもなく、一歩冷めた目で見てしまう。もっと深く切り込んでほしかった。
展開やエンディング含めて想定の範囲内。というかあれ以外の着地点があるのか。
エロの欲望を突いてからの珍道中
中々面白い。
前半はエロエロイケイケで華々しく突っ走る。
豪華なアメリカが満載。アメリカはこんなんでいいのかと思えるほどのどんちゃん騒ぎ。
しかし、ロシアのボンボンは金の力で男の欲望を全て満たして、うらやましいと思った。
中盤はボンボン探しの珍道中。
この道中が中々面白い。
そして最後は現実に戻る。
この監督は社会の下層の人々を優しく描いてくれる。
レッドロケットもフロリダプロジェクトもそうだった。
今回のラストは前二作より余韻が残るラスト、ワイパーの音の余韻が心に染みる。
イゴーリが寡黙でまともな人で、全般的に馬鹿騒ぎ感の中のおもりとなっている。味がある役者だと思って調べたら、「コンパートメントNo.6」の人だった。
あの作品でもいい味出していた。しかもどちらもおばあさんを大事にしている。
その後彼にはハッピーになって欲しいが、そうは単純に終わらないのがこの監督。これもラストの余韻に響いている。
お国柄の違い(笑)
この作品、2024年・第77回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞。第97回アカデミー賞では作品、監督、主演女優、助演男優、脚本、編集と6部門にノミネートされている、いわば「名作」の香りがする作品です。が、しかし日本ではR18です。アメリカでは残酷な描写にR指定が付きますが、日本ではエロにR指定が付きます。しかし、正直言えばそれほどエロくなかったし(これは私がもう老人の域に達しているからかもしれませんが)少なくともR15くらいの指定にできなかったのかな?R18はいわば「成人映画」です。R15なら高校生以上は観ることができるわけですし。
映画の内容よりも、まずこのR18というレイテイングに疑問を感じました。
お話の内容は伝統的な「シンデレラストーリー」ですが、変な言い方をすれば「クズはやっぱクズ」っておちだったので、途中から彼女の味方っぽい雰囲気を醸し出しながらも掟には逆らえない屈強な男の一人が言った一言に激しく同意し、この物語が終わって以降は彼とのいい関係が生まれそうな予感もなかなか良かったです。主演を演じたマイキー・マディソンがまだ25歳ってことにも驚いた次第です。
ないまぜになった想いが
リアルみとコメディの切ないハーモニー
タイトルなし(ネタバレ)
初っ端からポルノテイスト満載、バカップルのイチャイチャを長々と見せられた後の、ドタバタバイオレンスと絶妙なユーモアのセンス。この先どうなるのかハラハラをキープさせながら、クライマックスはそこかい!と、まさにジェットコースター・シンデレラストーリー。どの登場人物もどこか憎めない設定も面白く、特にアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたユーリー・ボリソフ演じる朴とつなロシア人が良い(ロシア人俳優のノミネートはミハイル・バルシニコフ以来50年ぶり!)。カンヌ映画祭パルム・ドール受賞は納得。この開放的過ぎる性描写をアカデミー会員がどう捉えるか気になったが、見事、アカデミー賞作品賞、ショーン・ベイカーが監督賞・脚本賞・編集賞、マイキー・マディソンが主演女優賞受賞。兼プロデューサーのベイカーは1度に4つのオスカー獲得という快挙を達成(ウォルト・ディズニーの記録に並んだらしい)。にしても、昨年のエマ・ストーンといい、過激なSEXが主演女優賞への近道なの??
幸せは歩いて来ない、だから歩いて行くんだよ
前半と後半の一変する展開が象徴するように現実社会の哀感を表していましたね。
クラブで店員と客として偶然出会った二人。しかし生活環境がまるで違う二人。
ロシアの御曹司と過ごす時間はアノーラにとってまるで別世界。
そこから結婚までの流れも若い二人ならあり得ないことでは無いでしょう。
でもあの時二人には間違い無く愛が存在していました。
でも自らの力で富を手にしたわけでもなく何の力もないイヴァンが親に逆らう術などある訳もなかったですね。
イヴァンを信じ、愛を信じて語るアノーラの声はもう届きません。
もしかしたらと願う思いと、やっぱりそうだよなと納得する思いが見ていて交差しました。
まあ現実はこんなもんだ。そりゃ巨万の富の元に何不自由のない生活は誰しも憧れの世界。
でもちょっと待てよ。それと人間として豊かに暮らすと言うこととは又別の話だそ。
アノーラにとっての幸せはアノーラ自身がこれから作っていけばいい。
何かとアノーラに好意的だったイゴールの胸で流した涙は切なさだったか悔しさだったか、あるいは後悔だったのか。
でも大丈夫。人は忘れると言う素晴らしい技を持っています。
いつの日かあの時の出来事も笑い話になる日がきっと来る。
そしてアノーラはアノーラらしく力強く生きて行くでしょう。
いい映画を見ました
終わって呆然
シンデレラのその後
リアルなシンデレラストーリーでしょう。
玉の輿に乗って、めでたしめでたしで終わるわけがない。
絶対後から「調整」が入る。
事故にあった、命を取られなかっただけマシと思うしかない。
監督のショーン・ベイカーは、「レッドロケット」の人。
いわゆる「底辺」と呼ばれ、ひとまとめで蔑まれる人たちの、ところがどっこいな「人」としての誇りを見せつけてくれる。
新興財閥の、金だけは持っているが息子のしつけすらできない「上流階級」の人々と、どっちが下衆かと言ったら、圧倒的に金しか持っていない「上流の」方だ。
全体の7割位で誰かが喚いていてやかましい映画だが、可笑しさが漂っていてうんざりしないし飽きない。
御曹司はああいうことになると思ったんだ。
アノーラが本気で彼と結婚生活を続けられると思っていたところ、セックス産業に身を置くプロなのに、と意外だったが、彼女はうぶな少女の心を持っていたんだと気付いて切なくなった。
寡黙で不器用で、表情で語るイゴールがなんとも良い。
あの包容力と思いやりは、おばあちゃんから教わったんだろうか。
「コンパートメント#6」の好演が印象に残っていて、彼だとすぐ分かった。
世の中理不尽だが我慢するしかないことは絶対あるし、彼らはそういうことに多めに遭遇しがちだけど、それでも、自分たちなりに幸せに生きることはできる、と思えるラストは、余韻が残りました。
ここ最近で、最も余韻に浸れた映画
いわゆる「シンデレラストーリー」という枠組みをちょっと捻って活用しながら語られる、主人公アノーラの物語。
圧倒的な貧富の格差、資本主義社会でのマネーパワーの暴力性、アメリカ内でのロシアンコミュニティとロシアとアルメニアの関係性といった大きなものから、セックスワークや非正規雇用の仕事に対する見下しや偏見、労働倫理、世代間の価値観差、親子関係のあり方、セクシャリティの違いや障害に対する蔑み、職場内の人間関係に生じる嫉妬や連帯などの一人一人の内心に関わるような個人的なものまでが、リアルかつニュートラルに描かれているが、説教くささはなく、どちらかといえばコミカルで、観終わった後にほんのり温かな余韻が残る作品。
とにかく、アノーラ役のマイキー・マディソンが魅力的だが、それ以上にユーリー・ボリソフ演じる用心棒のイゴールが渋い!
どうしたら、あのように強くて包容力のある人物に育つのか。
何より、自分はラストシーンが大好き。
ここ最近の映画では、最もエンドロールで余韻に浸れた映画だった。
【無菌室の住人お断り】風俗業界従事者必見。今どきの”無菌室の住人”が観ても時間の無駄!『だからそんな奴は観るなよ!』まじで。
タイトル2
【無菌室の住人お断り】見ないでね!
風俗業界者従事者必見。「「りりこ」や「いとうさとり」を”尊敬してます。」とか言ってる奴とか「デズニーランドに行くのが夢です。」とか、「きょうはドラえもんの看板の前で”ニコニコ”しながら写真を撮りました。」とか「ぼくは(あたしは)声優になるのが夢です。」とか」なんて堂々と言ってしまう今どきの”無菌室の住人”が観ても時間の無駄!『だからそんな奴は観るなよ!』まじで。
ーー本文ーー
これは「アメリカン ニューシネマVer2」だぜ。
この映画を観て確信を持ったのは、「エロパブ」とか「デリヘル」って云うのは万国共通で女と客の台詞なんてアメリカだろうが日本だろうが変わりゃしねぇよってことだよ。
もはや「アメリカン ニューシネマVer2」の旗手となった「ショーンレビィ」。こいつ多分、最低100回は”取材”をこなしている筈だ。日本に来たってことなのでさらに”異国取材”にハゲんだろうなっ!どこかで言ったり、聞いたりな会話で笑っちゃったよ。あはー!
芸が細かいのは客が”テント”張って歩いてやんの。
女が客の家に「デリヘル」しに行って客に調子いいこと云われその気になっちゃう。
誰がどう見たって上手くいくわけがないのにプロだが乗せられちゃう。「そんなのあるわけないじゃんリアルじゃないよ。」なんて云うやつは首題に書いた奴らなので「アニメだけ觀ていれば良い。そこの前段に「デリヘル」の刻や「ベガス」の描写があるわけだろ。自分を持ち上げてくれて、夢の世界に連れて行ってくれる”おかねもちの年下の男の子”からあんなことを云われたら”錯乱”しちゃうだろうよ。23歳なんだからよ。普通の娘だってよ、「かわいい」なんて云われたらニコニコしちゃうだろ。
えっ、その台詞は「セクハラです!」だって?
そんなこと云う奴は『映画』なんて観るな!テレビで「アニメ」だけ見とけ!来んな!!!映画館なんかによ!そんなこと言うやつにかぎってカラオケの中やサザンビーチで「C調言葉にご用心」なんかでみんなに調子合わせて手拍子してんだろ。知らねぇよ?首釣っちゃうよ。下手したらよ。
よく見てるよ人を、この男。
日本の下手な恋愛映画なんかより人を見てる。
20代の本当の危うさを映像化したのはこの映画が初めてじゃねぇの?もう少し肉付けしたほうがいいかもしれなかったが?どうかな~?もしかしたら迷ったかもしれねぇな。
勘違いしちゃいけないのは、わかってるだろうが、この映画は”ファンタジー”でも”コメディー”でも無いよな。書くの忘れてたけどましてや『シンデレラストーリー』じゃないだろ。
「クソみたいな理不尽な世界」がどうのこうのって言ったところでなんにもならないだろ。
観客が気をつけないといけないのは『お伽噺』に逃げてしまうのが危険なんだよ。
お伽噺を観ないといけないのは『保育園・幼稚園』から小学生の低学年まで。中学を卒業と同時に『アニメも卒業』!
おっと、『巨人の星』と『あしたのジョー』は例外だ。あと1回目の『ルパン三世』と『ド根性ガエル』もだ。大の大人が『アニメ』の看板の前でニコニコしながら写真撮ることをが”恥ずかしい”ってことをそろそろ気がつかないといけないんじゃないの?
あっ、そんなこと言っちゃうと俺が持ってる株の値段が下がっちゃうよ。それはヤバい。
みなさん、「ほどほどにしてね。」
これは『冷徹な現実』を具現化した映画だってことだよな。普通だったら女は揉めた時点で「THE END」だろ。それをしないでお人好しの「三バカ大将」とのランデブーを描いたのは、飛行機タラップでの母親の「訴えたらお前は終わりだよ。」と年下の男の子客の「バカか。」の台詞、そしてクライマックスの味方をしてくれていると思っていた『イーゴール』に騎乗位キスをする筈が”拒否”されてしまう。「イーゴール」は顛末を一人俯瞰していて主人公に感情移入した観客の擬人化だが、最後の最後で主人公が縋りつくことを断る。
観客(イーゴール)は主人公を理解したと見せかけて”理解したフリ”の『本音』を強烈に具現化してるよな。
この場面は近年歴史的なシーンの一つだ。
「フロリダ プロジェクト」でのラスト失敗を経て今回クライマックスを最後に持ってきて
『痛切なラストシーン』を作り上げた。
「エッチなシーンは不要」なんて言ってる奴がいるようだが、レビューなんて書かないで映画の見方を勉強し直したほうがいいよ。
(そもそも、そんな奴がグラミー賞なんか観れねぇよな。ステージの一発目で「サブリナ・カーペンター」がやってくれただろ。バックダンサーズとのシンクロラインダンス、小屋のセットからのジャンプダイビングでダンサーに抱きかかえられての『半プリケツ』!スゲー!
感動しちまったぜ。『ザ・アメリカンアイドル』アメリカ芸能界の意地を見せつけられたぜ。
それでも日本の評論家は「ステッチを落とした。」とかステージの階段がズレて這い上がったところを「ミスに対処できない」とか書いていたが、バカじゃねぇの?驚いちゃったよ。
日本のアイドルがあんな高速シンクロラインダンスなんか出来るかよ。ましてや『ダイビング・プリケツ』なんかできねぇよなぁ。
あれを観ても「アキバやニュージーンズ」の方が上なんてよく言えるよな。
だから、韓国に先を越されて今頃慌てふためいてんじゃんかよ。)
なんだかんだエッチは人間の営みに欠かせないんでしょ。否定したら『少子化』なんでしょ。いまは日本の国会やテレビで本気で『ひとのSEX』を議論中。
それが現実なんでしょ。
でもそれを商売にする奴を軽蔑するってことだろ。
でも、それを見せたくなくて、見たくないんでしょ。言いたくなく無いんでしょ。
それも『本音』なんだろ。
『矛盾』じゃんよ。
『綺麗事』しか見たくないなら、映画館に来んな。
あっ、しつれい。『デズニー』映画だけ見てね。性善説だけで完結するんだからねっ。
そういえば、これ、黒人出てなかったよな。出てたか?
アメリカも割れてて、多様性がどうとか肯定することを言う奴を『さぞ多い資産をお持ちなんですね。』なんて言われるそうで。これから現実と本音の映画がトレンドになるかもよ。
前にも書いたけど。
グラミーは今年も「黒人祭り」だったが、オスカーはどうなるんのかね。ひょっとしたらこういう今年が「分岐点」になるかもな。
いいねぇ。この映画。「教皇選挙」がどうなるかまだわからないけど、応援したいねぇ。
こういう『負けの映画』がこれからのトレンドになるか興味湧くねぇ。
「ショーン」は一体どこに”取材”したのかねぇ。それこそ『Review』して欲しいねぇ。
この映画のモチーフは個人的に
「泳ぐひと」
じゃないかと思うんですが。
如何でしょうか?
そういえばいたよ。そういう奴。この映画観る前に「ドラえもん」の看板の前で彼女に写真撮ってもらってた40過ぎくらいの奴。ご丁寧にポップコーンとジュース持ってたよ。何故か席がガラガラなのに一番端っこに座ってたけど。
彼女が帰ろうとして立っていたら、そいつずっと座っていたけど何かしら言いたそうな顔してたよ。
だから、辞めとけって言ってんだよ。
ーーーーーーーーー
今年のアカデミ賞、NHKでやってた。
よかったよ、ほんと。「セクシーサンキュー」出てなくて。あとTBSクビ女「うがき」の顔も見なくて。
あ〜。ほっとした。ま〜た今年もバカの顔を見なきゃいけないんのかと諦めてたんだよ。
「とらうでん」がNHK女子局アナが「みなさん、観てくださいね!」なんてはやしゃいでる横で(18🈲だよ。)「実はあたし、この映画みれてないんです。」とか言ってた。
他の映画のコメントは出すのに。 んっ、あいつのコメントって「ウィキッド」はどうのこうのくらいしか言ってなかったよな。
出た。「無菌室(クリーンルーム)」女。(ネット記事にも出てたけど。)またどうせ18🈲映画だから観なかっただけだろ。NHK女子局アナが観てはしゃいでるんだぜ。試写会チケット優先的に貰えあるくせによ。だから、いいよ観なくてよ。いい。観るな。もう。やめとけ。
「くらのすけ」いいじゃん。はじめはどうなるかと思ってたけど。結構面白かったよ。
いや〜っほんとに「セクシーサンキュー」のと「うがき」の顔見なくてよかった〜っ。
WOWOWさん、生中継しなくてありがとう!(金払ってるけど。)
こうなる事は分かっていたんだけどね〜
アニーは最初から結末が分かってたんだろうね。でも夢見たかった、信じたかった。職場の同僚に2週間もたないって言われたのも本心つかれてキレた。どん底の生活から抜け出したいとは思っていたのだろうけど、どうしていいか分からない。たまたま巡ってきた宝クジのような話。経験した事がない生活。あの煌びやかな生活の場面のなかで女性の清掃員の生活が映る。あれはこの前までのアノーラなんだ。でも見ないようにしている。自分はアニーだから。途中のコントみたいなロードムービーも中々で、奥さんに頭の上がらない父親が、バカ息子と奥さんにボロクソ言ってるアニーに対して大爆笑しててウケました。最後のシーンは圧巻です。ワイパー音と車に降る雪。アノーラのことを唯一認めてくれていた無口な要人に素直になれない自分。情婦としてそれしか出来なかった自分に今まで積もりに積もった感情が溢れ出す。エンドロールも最高!
車のワイパー
忙しなく争う怒涛の展開が痛々しくて滑稽で笑える要素がてんこ盛り、監督の『タンジェリン』を思い出したりするそんな演出はショーン・ベイカーの得意技と言って良い場面かな?と。
イチャイチャとエロがゴチャ混ぜに危なっかしく幸せなカップルの日々を観ているコッチが飽きるギリギリに、それぞれの事情や苦労が身に染みるムサ苦しい男たちとの探索から全てを失いそうに完全敗北スレスレのアノーラが逆転勝ちの気分爽快と思いきや!?
少し単純な物語に拍子抜け、でも違った、終盤の二人が言葉を交わさずに、、、あれだけ流行り?流行った?音楽が流れたり派手な印象から車のワイパー音だけがエンドロールは無音で一気に緊張感が破裂寸前にこの映画の全てが変わってしまうラストに圧巻!!
鑑賞動機:カンヌ10割
ショーン・ベイカー初挑戦。R18指定(エロス方向全振り)だけど、コメディ色も強くどこか爽やかさも感じられた。
予告で流れてたのは前半で、ある程度予想の範囲内ではあったけど、中盤は異色のロードムービーと化し(違います)、終盤はヘタレなリアルとバトりつつも、当初は思っても見なかった方へ…。
少なくとも脚本賞は取れ!
1年分くらいのF-wordを聞いたかも。
追記
そっかあ、『T-34』出てたのかあ。
ただの頭の悪い下っ端じゃなくて、聞き込み中に暴力装置としての面も見せつつ、薬とかマフラーとかのシーンで、「アレこの子、実はとても細かいところまで気のつく常識人なのか」ってギャップ萌えさせるの上手い。
追記2
脚本賞!Yes! 作品/監督/主演女優/編集もおめでとう。
前半は成り行きでロシアの大富豪の息子と結婚、からのシンデレラストー...
前半は成り行きでロシアの大富豪の息子と結婚、からのシンデレラストーリー。
セレブの乱痴気パーティやヌード、セックスシーンの多さに、アノーラの有頂天な感じも含めて、辟易してしまい冷めた目で見ていた。
そこから中盤、親に結婚がバレて手下に詰められ始めてからの展開が想定外を行く。皆んなヒステリックでコメディに変わっていくから驚く。アノーラと手下の聞くに耐えない罵詈雑言や、余りのぐだぐだの珍道中には笑ってしまった。
そんな中、唯一マイペースでそれ故にちょっと雑な扱いを受ける手下のイゴールが良いキャラしていた。最後まで観てたら惚れるよ笑。
そして終盤、ロシアのバカ息子に一矢報いるシーンはスカッとはしたが、かなりビターな展開。
そしてラスト、ついにアノーラの気持ちが決壊する流れ。始めは??だったが、振り返る中で前半の多々あったセックスシーンがあのシーンの空虚さを作り出すのに活きてる気がした。
そして、1人の女性としてまた立ち上がる予感を感じさせる、希望に満ちた素晴らしいラストだった。
ここまでやって主演女優賞取れないことはない気がするがどうだろう…作品賞もありそう
あらゆる差別と密接に関わる性産業における表層のシンデレラ・ストーリー、その見せかけっぷりをブチ壊して告発する
夢の続きとその残酷さ。市井の人々というよりもっと底から、性産業に携わり日々生きていくのがやっとな貧しい人々の眼差しを通してアメリカを描きえぐり出すショーン・ベイカーの一貫した作家主義で描かれる、アメリカンドリームならぬロシアンドリーム(?)なプリセンスストーリーのその先…クソ食らえ!笑わせては観客の心を傷つける鬼才、そんな監督らしい現実のアンチシンデレラ・ストーリーだ!! それを象徴するように、ポスタービジュアルに使われているシーンが幸せ絶頂のはずなのに、後ろに見える花火は天井(張りぼて)。つまり、誰も祝福していない移民などへの人種差別に、性差別、職業差別。
彼女は信じたかった(それでも信じようとし続けた)!他人に言われるがままのキャラクターじゃなくて主体性があるのがいい最高にパワフルで魅力的なアノーラを演じるマイキー・マディソンの体当たりな熱演が引っ張り、甘やかされたボンボンクソガキのイヴァンを演じるマーク・エイデルシュテインのノリノリな好演による2人の化学反応を楽しみ、そして目を見張る出来の中盤怒涛のスラップスティックコメディ的ドタバタパート(最高にエネルギッシュだけど編集が上手くて見やすい)から観客に近い視点になっていくイゴールに親しみを覚える。インティマシーコーディネーターを使っていなかったことが発覚して問題になっている本作だけど、自分にとってショーン・ベイカーとは評価されるラリー・クラークみたいな印象だったから、そこはちゃんとしてほしかった思いがある(たとえ役者本人が要らないと言っても)。
金持ちや権力者、一部の特権階級にとって、いかに取るに足らない・替えが利く存在か。なんてことない屁でもない様子で、消費するだけしては、時が来ればあっさり平然と使い捨てる。すべては鶴の一声ならぬ王様の気分次第で決まる怖い社会の縮図。豪邸で働いている掃除婦の人に、"アニー"ことアノーラを重ねられるようだった。きらびやかな"性"か、地味な清掃という違いだけで表裏一体のような。口封じや自分の思い通りに動かすにはとりあえずカネをばら撒いておけばいいと、本人にたとえその気がなくても結局のところ使用人が広義となった駒としか思っていないような。そんな蔑ろにされた扱いなんてガマンならない、リスペクトが肝心だ!彼等は『千と千尋の神隠し』湯婆婆よろしく、名前を剥奪しオマエ(私)は何者でもないのだと、惨めな思いにさせるかもしれない。主人公自らアニー呼びで通しているわけだが。アメリカでは疎かにされがちな名前に込められた意味を理解し、正しい名前で呼ぶこと。それは、光。
彼女がアメリカナイズドされた簡素な呼び方で通して、美しい名前なのにそれを恥じて本名を名乗りたがらないこと、ロシア語を話たがらないこと。監督がロシア人の大富豪を選んだ理由を含めて、そこに込められた意味は何だろうかと考える(作中にヒントが散りばめられているのに見逃している可能性もある)。ロシアに限って言えば、ウクライナ侵攻やプーチンのヤバさからか?…など邪推せずにはいられない。あと、ロシア系アメリカ人だけど名前はロシア語だし歴史の浅い移民なのか、両親不在の意味も…。だけど、如何なる理由があっても、己のバックグラウンドやアイデンティティーを恥じて生きることなんて悲しく辛いことだ。自分を知らないこと、自分を大事にしないこと。利用されないようにするには、先ず自分を知って、大事にする。性を介してしか他者と繋がりを持てないのか?
利己的な人間だらけのクソみたいな世の中で、静かに寄り添う優しい視線
正直、映画の2/3ぐらいを観終わった時点では「まあまあ面白い」ぐらいの感想。
「これでパルムドール?」と思ったが、2021年の『TITANE チタン』以来の、カンヌの独自色強めの受賞なのかと思った。
ところが、終盤のある場面を観てから評価激変。
「この映画、実はとんでもないのでは?」と思うようになった。
最終的には、自分程度の脳みそでは全てを理解することが不可能なほどの、ものすごく深いものが描かれているように感じた。
最初の方は若い男女・アニーとイヴァンの大金を使った豪遊とセックスの場面がずっと続くので、「一体何を見せられているのだろう」と半ば呆れ気味で鑑賞。
イヴァンの両親が、娼婦であるアニーとの結婚を阻止すべく3人の男を送り込み、そいつらがアニーとイヴァンの家に到着してから話が一気に面白くなっていった。
家の中でのアニーVS男たちの戦いは、去年公開『ナミビアの砂漠』の終盤にある喧嘩シーンを彷彿。
中盤、利己的な人間たちによる醜態が、いろいろな場所を巡りながら、ジェットコースタームービー的に繰り広げられていく作り。
前半に出てくるさりげない事象が、中盤に伏線としていろいろ生かされているのは上手いと思った。
ここまでは、まあまあ面白かった。
終盤、飛行機内の場面。
アニーにとって理不尽な展開が起きて絶望している中、近くにいた敵であるはずの一人の男が彼女の可哀想な姿を見て(もしかしたら気のせいかもしれないが)目に涙を浮かべていて、それを観て不意に感動して落涙してしまった。
利己的な人間だらけのクソみたいな世の中で、アニーにとってただ一人の仲間ができた瞬間な気がした(アニー本人はそのことに気づいていないが)。
こんな場面で泣いているのが自分だけな気がして、恥ずかしいので涙を引っ込めようと頑張ってみるも、さっきまで屈強な戦士の顔をしていたその男が、終盤はアニーを心配そうに見つめる優しい横顔に変わっていて、その顔を見るたびに涙腺が刺激されて大変困った。
いろいろあった後、部屋で語り合う二人の男女。
セックスワーカーとして様々な男と体の関係を持ってきたアニーにとって、男とは「女性を性欲処理の道具と思っている動物」に見えていたと思うが、そうではない男に初めて出会ったことで戸惑い、「恋愛」よりも人間にとって大事なものがあることに気づき始めるアニー。
ラスト、車中でアニーが取る行動は、ああいう方法でしか人と対話する方法を知らないから。
しかし、男が無理してそれに応えようとした時、強く拒絶し、号泣するアニー。
男性社会のおぞましい呪縛から解放された瞬間に見えた。
お口直しが 必要な映画
アニーの豊かな表情は一見の価値あり
ニューヨークでストリップダンサーとして生きるアニーことアノーラ。店の客で来たロシア人富豪の息子と数日の契約彼女ののち、衝動的に結婚。周囲の猛反発に奮闘するアニーを描いたドラマ。
この映画はR18だ。エロくないセックスシーンが前半にわんさか出てくるので、事前に覚悟した方が良い。しかし、この乾燥感漂う前半は、途中からアニーのキャラが立ってくるのに役立つのでご安心を。監督は「レッド・ロケット」のショーン・ベイカーだ。なるほどクセが強いはずだ。予告編で想像できるような在り来たりなストーリのはず、なのだが、展開の妙とでも云うのか、観ていて飽きさせない。
音楽とカットもスタイリッシュだ。ナイトクラブ、豪邸でのパーティ、ラスベガス、ニューヨークの夜の街、と話の筋とシーンの使い分けてテンポが良い。
また、本作は、極端なアンバランスを描いて物語に緩急をつけている。セックスワーカーvsググれば名が出る富豪の息子、アニー1人vs放蕩息子取り巻き達、共同生活のアパートvs豪邸、オンボロ車vs高級車、これがこの世界の現実である事を否応なしに見せつけられる。
そして見所は、なんといってもキャストが抜群に良い。
まず主人公アニー役マイキー・マディソンは、正に体を張った演技で、嫌味がない。遠巻きで観ても映える立ち居振る舞いだ。
中でも特筆すべきは、アニーの真顔だ。ストーリのポイントで、彼女は真顔でちょっと考える表情をする。観る者に彼女の心理を想像するタイミングを作るのだ。これがなんとも良い顔だ。ベットで放蕩息子と結婚の話をする時、彼女は一瞬真顔になった。社会の下層で生きる彼女は、目の前の男の力量と性格はどの程度か把握できているはずだ。「ワンチャン、でも、この先こうなるだろう」と予測しているように見えた。ただ、現実の物語は彼女のささやかな賭けを超越する展開になるのだが…
ロシアの富豪の息子イヴァン役マーク・エイデルシュテインも良かった。イケメンだが、私が親なら彼の判断など容易には認めないだろう。それくらいの放蕩息子を演じている、見事。
クセが強い映画なので、好き嫌いはわりとあるかもしれませんが、物語の展開に沿ったアニーの豊かな表情は一見の価値ありです。ぜひ映画館の大画面でご鑑賞ください。
全337件中、241~260件目を表示