「マイキー・マディソンのファンになった」ANORA アノーラ cinema2014さんの映画レビュー(感想・評価)
マイキー・マディソンのファンになった
クリックして本文を読む
カンヌでパルム・ドール(審査員長はグレタ・ガーウィグ)、アカデミーで作品賞その他数々の輝かしい成績をおさめているので、勝手に期待し過ぎていた。
セックスワーカーとして働く主人公。シンデレラを夢見て、客としてやってきた大富豪のバカ息子と結婚したものの、大富豪夫妻の猛反対にあって、主人公が頑張るものの、当の夫であるバカ息子は親の言いなりで、結婚はあっさり取り消され、主人公が泣いて終わる筋書き。「シンデレラストーリーの先へ」「これが現実」「セックスワーカーへの優しい眼差し」…?安全で優位な立場から物語を消費してるだけじゃないの?
セックスシーンのあまりの多さに辟易する。退屈きわまりない。セックスワーカーを主人公に据えるにあたって、職業的プロなのだ、セックスで男に支配されたりしないのだ、と説明するために必要と判断したセックス描写なのかもしれないが、それにしたってこんなに何度も何度も必要?単純に「アホなんじゃないか」と思った。
とはいえ、仕事を終えた帰り道の電車でウトウトする主人公マイキー・マディソンを真正面から捉えたショットはすごく良かったし、『コンパートメントNo.6』に出ていたらしい(観ていない)ユーリー・ボリソフがキャンディー屋のショーケースを金属バットでど突いて割る、あの唐突で過剰な暴力は映画としてとてもよかったと思う。
映画自体はそこまで好きになれないものの、しっかりマイキー・マディソンのファンになってしまった。
コメントする